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ゴブダン 20話 ダンジョン攻防戦⑥

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 「いい加減落ち着いたかい、シャーラ? 敵が全く攻めてこないから良いようなもんだけど、頼むからしっかりしておくれよ」

 かれこれ、30分以上収拾がつかず、今しがたやっとシャーラは泣き止み、落ちついたようだ。

 「はい……すみませんでした……」

 シャーラが冷静さを取り戻し謝罪する。

 「ウィネも、いつまでボヤイてんだい!」

 ヒルダがウィネに怒鳴る。

 「はっ!? すまなかったです……」

 ウィネも、我に返り謝る。

 「はぁ~これでやっとまともに話ができるよ」

 ミレーも一安心という感じだ。
 そしてミリシャは笑い疲れて、いつの間にかマリアベルの膝で寝ていた……
 何処までも自由な存在である。

 「まぁ、ミリシャには起きたら決まった話だけ伝えれば良いだろ……」

 ヒルダはミリシャ抜きで話を進める。

 「そうですわね……」

 シャーラも同意する。

 「それで、シャーラ。ミリシャの言うことが本当なら、ゴブリン共がオリハルコン以上の装備で固めているってことで良いんだよね。正直今でも信じられないけど」

 ミレーが改めてミリシャの言った事を確認し、

 「えぇ、私もオリハルコン製の装備は何度か見たことありますし、信じられませんが、間違いないと思います。ダンジョンマスターの装備も、ミリシャが言うのなら間違いないでしょう」

 シャーラも敵の装備に関しては肯定する。

 「それじゃどうするんだい?」

 ヒルダが、それについての打開策を尋ねる。

 「装備に関しては、全身を覆っているわけではありませんから、ガードしていない隙間を狙っていくしかありませんわね。ミスリルでオリハルコン何か叩いたら、こっちの装備が壊れますもの。ただ正直、相手の戦力もあれで全てかわかりませんし、深追いは厳禁だと思いますわ。万が一のときは、撤退も視野に入れて、考えないといけませんわね。ただ撤退するにしても、相手の情報をできるだけ収集してからにしたいですから、遠距離攻撃を警戒しつつ、ひと当てはしておきたいですわ。その上で、砦を攻略できればいいのですが。門はウィネの魔法で破壊するか、ミリシャやミレーなら外壁をひとっ飛びで越えられると思いますから、援護しつつ中から開けて貰うかですわね」

 シャーラはダンジョン攻略より、情報収集に切り替えたようだ。

 「まぁ~確かに外壁って言っても大した高さは無かったし、私やミリシャなら軽く飛び越えられると思うけど」

 外壁の高さは10m程度しかない。
 ミレーの能力なら軽いようだ。

 「なら、それでいこう。下はあたしとシャーラでウィネとマリアベルを守れば良いし、ミリシャは好きに暴れさせた方が楽でいい。門は魔法で破壊できないときは、ミレーが開けとくれ」

 「了解~」

 話はまとまったようだ。

 この後は、ミリシャに今の内用を伝えた、再び全員で砦へ向かう。





 ■□■□■□■□■□■



 俺様は、一向に攻めて来ない冒険者達に苛立ち、ずっと外壁の陰でレミリアとセックスしながら、冒険者達を待っていた。

 「やっと来やがったか、全くどんだけ人を待たせやがる。イヤ……人じゃなかった……どんだけゴブリン様を待たせやがる!! さぁゲームを始めるぞ!」

 人をゴブリン様と言い直し、俺はゲーム感覚でコンソールを開く。
 そして、レミリアの穴からデカチンポを抜き取り、掃除させながら、配下達に号令をかける。

 「マスター、オチンポ様のお掃除が終わりました♡」

 レミリアが、俺様のチンポに頬ずりしながら、うっとりした表情を浮かべる。

 「レミリア、レンジャーの準備も良いな?」

 俺様はレミリアの頭を撫でながら、例の準備ができているか聞く。

 「勿論です、マスター。例の物を取り付けさせて、何時でも射てるように配置しております」

 余りにも暇過ぎて、ゴブリンを6体も産ませてしまったが、準備は整っているようだ。

 では、早速ゲームを始めよう。





 ■□■□■□■□■□■





 「うげ~何あれ~、さっきまであんなの無かったじゃん!」

 攻撃を警戒しながら、砦の門まで後300mというところまで近づき、ミレーが先ほどまで無かったガーゴイルの列を見て、舌をつきだして嫌そうな顔をする。

 「こりゃ、面倒だな。100体くらいはいるかい?」

 ヒルダも嫌な顔をしつつ、ガーゴイルの数を数える。

 「ですが、ガーゴイルは近づかなければ、ただの石像ですわ。1体1体は弱いですし、あれだけ見えているのですから、ある程度、遠距離攻撃で動く前に破壊してしまえば良いでしょう」

 シャーラは問題ないと思っている。

 「まずは私が魔法で吹き飛ばすです。マリアベル、魔法防御は任せたです」

 ウィネがガーゴイルをまとめて破壊する為に、広範囲魔法の詠唱を開始し、

 「わかりました」

 マリアベルが敵の魔法攻撃に警戒する。
 以前のようなミスはしない。

 だが……

 「はい、残念。ポチっとな♪」

 「え!? キャァァァァ」

 突然、ウィネの悲鳴が、辺りに木霊する。






 ■□■□■□■□■□■




 時は、少しさかのぼる。



 「それで、具体的にはどうするんだ?」

 俺様は、侵入者を捕らえる為の作戦を、レミリアに尋ねる。

 「はい、マスター。彼女達を能力には優れていますが、ここは私達の土俵です。ポイントも十分余っていますし、それさえ使えばどうにでもなると思います。まずは念のためにガーゴイルを100体程、外壁から少し離して配置しましょう」

 確かにポイントには余裕があるが、ガーゴイルも1体20ポイント安くはない。
 役に立つだろうか?

 「ガーゴイルを? でも、一撃で瞬殺されてなかったか?」

 そう、地下3階層に配置したガーゴイルは、一瞬でゴミクズにされてしまった。

 「確かに1体ではそうですが、100体では全て倒すのに時間がかかるはずです。また、ガーゴイルの感知範囲は半径30mと狭いですから、砦に近づかないと動きません。魔力をチャージする時間くらいは稼げると思います。ですがこれ自体は、あくまで念のためです。作戦が成功すれば、使う必要もないでしょうが、今後の為にも無駄にはなりませんから、配置して置く方が良いと思います」

 「フム……」

 俺様も少し考える。
 確かに100体もいれば、1~2回くらいは魔力をチャージする時間が稼げるだろうし、腐ったりするような物でもない。
 一度配置しておけば、倒されるまでそこを守るわけだし、ポイントは余っているのだから、問題は無い。

 「彼女達は恐らく、魔法に対しての対策はしてくるはずです。いくら砦の地の理を生かして遠距離から攻撃をしても、1度の総攻撃では倒しきれないでしょう」

 (確かにその通りだろう。だが果たして、それだけでどうにかなるだろうか?)

 「それだけじゃないよな?」

 流石に、これだけでどうにかなるとは、全く思えない。

 「勿論です、マスター。ですが、彼女達が襲撃してくるまでは、これで十分かと思います。大事なのは彼女達が再び襲撃してきた後、つまり戦闘中にどうするかです。先ほども言いましたが、ここは我々の土俵です。そして罠などの配置はマスターが24時間、何時でもおこなえます。例えそれが、戦闘中であろうとも」

 「ん!?」

 (何か今、ピンときたぞ……)

 「お気づきになられましたか、マスター? ポイントさえ余っていれば、いくらでもやりようがあるのです。簡単にいえば、彼女達の足元に落とし穴を配置して、落としてしまえば良いのです。罠に敏感なのは、あの女盗賊だけですから、案外簡単にはまるかもしれませんよ」

 「なるほど、それは気づかなかった」

 (ゲーム感覚でやっていたせいか、設定と戦闘は別で考えていた。というか、そういう大事な事は、もっと早く教えてくれませんかね……そしたら前回の襲撃も、わざわざ迎撃に行かなくて良かったじゃん……あれ実は結構ドキドキもんだったのよ、レミリア君……?)

 俺様は、実は結構なビビりである……
 そして、面倒な事が大嫌いなゴブリンである……
 簡単に強敵を倒せる方法があるなら、迷わず選ぶ!
 ゲームは好きだが、バトルジャンキーではないのだ!
 そんなゴブリンである。

 「とはいえ、そう簡単にいくかは、わかりませんので、時間稼ぎに、ガーゴイルを配置し、襲撃後は、彼女達の退路を、先に塞ぐことを、オススメします。行動範囲を狭めてから、罠や媚薬をばらまき、彼女達を、行動不能にしてしまえば良いと思います」

 「なるほど、良い作戦だ」

 個々の能力では、完全に向こうが上だ。
 いくら装備で差を補っていると言っても限界がある。

 俺様は、早速レミリアの作戦を採用し、砦の外壁から30m~50m離した所にガーゴイルを100体ほどバラバラに配置し、例の薬を作りゴブリン達に持たせて、侵入者達を待ち構えた。


 ダンジョンポイント残り38628

 
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