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内乱かよ!?
俺の言葉に第二王子は意外そうに首を傾けた。そして、尋ねる。
「パウル陛下から国の情勢をお聞きになっていないのですか、セツ様?」
俺はウルスラに視線を向けると、代わりに返事をしてくれた。
「セツ様は三十歳になるまで、陛下により情報を規制されていました。その為、今のセツ様は世の中の情勢を、全くご存じないのです」
「そうだったのですね」
俺はちょっと可哀想な男を演じることにした。ハニートラップってやつだ。いや、三十歳男がハニートラップとか正気か・・俺。
「・・恥ずかしいのですが、二十代の私は陛下の鳥籠で、惰性のままに生きてきました。聖女という名の男妾・・己の事をそう思っていました」
俺が俯きがちにそう呟くと、ブリギッタ殿下は慌てて口を開く。
「セツ様、貴方は聖女です!男妾などと己を卑下するものではありません。セツ様をこの様に追い詰めるとは、陛下には失望しました!」
おう!?
第二王子が思った以上に、俺の適当な話に食い付いてきた。まずい、陛下をフォローしなくては。俺に結婚を申し込んでくれた唯一の人だしな。
「ブリギッタ殿下、それは誤解です。陛下は私を追い詰める様な事はなさっていません。私は聖女として召喚されましたが、異世界に馴染めず・・心を病んでしまいました。私の弱い心を見抜いた陛下は、己の鳥籠に囲い外部の喧騒から守ってくださったのです」
「セツ様」
「ですが、私も三十歳です。陛下が情報の規制を解いたことからも、私に鳥籠から飛び立てと促しているのだと思います。私は陛下の男妾ではなく・・陛下を支える親友になりたいと思っております。ブリギッタ殿下、どうか私に国の情勢を教えて下さい」
俺はブリギッタ殿下に対して頭を下げた。ただし、聖女としての威厳を保つ為にすぐに顔を上げる。
ブリギッタ殿下と視線が絡み合う。やがて、殿下はゆっくりと言葉を紡いだ。
「承知しました、聖女様。セツ様の質問にはできうる限りお答え致します。ウルスラ、お前もセツ様の問には誠実に対応するように」
「承知しました、ブリギッタ殿下」
ウルスラ・・面倒だと表情に現れているぞ。それに比べて、ブリギッタ殿下の優しい微笑み。さて、情報収集だ。
「それでは、ブリギッタ殿下。エクストランド王国がどの国と対立しているのかを教えて頂けますか?」
俺の言葉に第二王子がウルスラに視線を向ける。ウルスラは黙って立ち上がると、執務机に向かった。そして、卓上の用紙を手にすると戻ってくる。
「これは、エクストランド王国の地図ですね?」
地図を手渡された俺はそれを見つめる。ブリギッタ殿下は地図を指差しながら、説明を始めた。
「この地に、アイナ・ハロンステーン公の領地があります。公爵が我が国より独立してハロンステーン公国を樹立すると宣言しました。そして、エクストランド王国に宣戦布告を行ったのです」
「え、それって・・内乱ですか?」
「そうなります、聖女様」
あのお馬鹿なパウル陛下は、内乱が起こるような内政をおこなっているの?
◆◆◆◆◆
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