468 / 486
番外編
2d、私は冬の景色をわかっていない
しおりを挟む
とうとう目の前からすべての雪が消えると、重なりあった倒木がバランスを崩し、バシャンッと飛沫を上げて水浸しの地面に落ちた。
「っはぁ……、やはり繊細な作業は苦労するな。一気に燃してよければ楽なんだが」
ガルが詰めていた息を吐き出すように大きく息をつく。
「一気にやっちゃダメなんですか?」
「ああ、急激な温度変化によって爆発が起こる可能性がある。それに大きな炎を使って急激に大気を熱すれば、第二の雪崩を誘発しかねないからな」
「なるほど」
今ここでまた雪崩が起きようものなら、この場にいる全員が巻き込まれてしまう。
「すげーな、あんちゃん!」
「魔力切れは大丈夫かー!?」
数本の倒木が横たわる道の向こうから、男達がガルへと声をかける。
「ああ、問題ない!」
すっかりと雪が消え、雪解け水の下に土の見える地面。
人や馬だけであればなんとか倒木を乗り越えて通れるかもしれないけれど、荷車が通るのはまだ難しそうだ。
「今から木をどかす! 木には触れないでいてくれ!」
「おうよ!」
ガルが歩を進め倒木へと手を触れた瞬間、目の前の景色が変わった。
「え?」
パキパキパキ……ズゥンッ
葉のない枝が自重を支えきれずに折れ、重そうな音を立てながら木がその場に転がる。
「あれ? 転移??」
轍が見えていなければ、どこが道なのかもわからなくなりそうなほど広い雪原。
右側数十メートル先には森の入り口が見える。
さきほどの森だろうか?
「ああ、ここなら邪魔にはならないだろう。あとは言付けておけば、町の者達が薪にでもして運んでいくはずだ。あと何度か往復するぞ」
「はいっ」
そうしてガルは雪崩の現場と雪原を数度往復すると、すべての倒木を雪原に積み上げて雪崩の現場に戻った。
「っはぁ……、やはり繊細な作業は苦労するな。一気に燃してよければ楽なんだが」
ガルが詰めていた息を吐き出すように大きく息をつく。
「一気にやっちゃダメなんですか?」
「ああ、急激な温度変化によって爆発が起こる可能性がある。それに大きな炎を使って急激に大気を熱すれば、第二の雪崩を誘発しかねないからな」
「なるほど」
今ここでまた雪崩が起きようものなら、この場にいる全員が巻き込まれてしまう。
「すげーな、あんちゃん!」
「魔力切れは大丈夫かー!?」
数本の倒木が横たわる道の向こうから、男達がガルへと声をかける。
「ああ、問題ない!」
すっかりと雪が消え、雪解け水の下に土の見える地面。
人や馬だけであればなんとか倒木を乗り越えて通れるかもしれないけれど、荷車が通るのはまだ難しそうだ。
「今から木をどかす! 木には触れないでいてくれ!」
「おうよ!」
ガルが歩を進め倒木へと手を触れた瞬間、目の前の景色が変わった。
「え?」
パキパキパキ……ズゥンッ
葉のない枝が自重を支えきれずに折れ、重そうな音を立てながら木がその場に転がる。
「あれ? 転移??」
轍が見えていなければ、どこが道なのかもわからなくなりそうなほど広い雪原。
右側数十メートル先には森の入り口が見える。
さきほどの森だろうか?
「ああ、ここなら邪魔にはならないだろう。あとは言付けておけば、町の者達が薪にでもして運んでいくはずだ。あと何度か往復するぞ」
「はいっ」
そうしてガルは雪崩の現場と雪原を数度往復すると、すべての倒木を雪原に積み上げて雪崩の現場に戻った。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
泡風呂を楽しんでいただけなのに、空中から落ちてきた異世界騎士が「離れられないし目も瞑りたくない」とガン見してきた時の私の対応。
待鳥園子
恋愛
半年に一度仕事を頑張ったご褒美に一人で高級ラグジョアリーホテルの泡風呂を楽しんでたら、いきなり異世界騎士が落ちてきてあれこれ言い訳しつつ泡に隠れた体をジロジロ見てくる話。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
巨乳令嬢は男装して騎士団に入隊するけど、何故か騎士団長に目をつけられた
狭山雪菜
恋愛
ラクマ王国は昔から貴族以上の18歳から20歳までの子息に騎士団に短期入団する事を義務付けている
いつしか時の流れが次第に短期入団を終わらせれば、成人とみなされる事に変わっていった
そんなことで、我がサハラ男爵家も例外ではなく長男のマルキ・サハラも騎士団に入団する日が近づきみんな浮き立っていた
しかし、入団前日になり置き手紙ひとつ残し姿を消した長男に男爵家当主は苦悩の末、苦肉の策を家族に伝え他言無用で使用人にも箝口令を敷いた
当日入団したのは、男装した年子の妹、ハルキ・サハラだった
この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。
借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる
しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。
いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに……
しかしそこに現れたのは幼馴染で……?
魔性の大公の甘く淫らな執愛の檻に囚われて
アマイ
恋愛
優れた癒しの力を持つ家系に生まれながら、伯爵家当主であるクロエにはその力が発現しなかった。しかし血筋を絶やしたくない皇帝の意向により、クロエは早急に後継を作らねばならなくなった。相手を求め渋々参加した夜会で、クロエは謎めいた美貌の男・ルアと出会う。
二人は契約を交わし、割り切った体の関係を結ぶのだが――
婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜
紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。
連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。
義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話
よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。
「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる