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11~20話
12b、やっぱりなんでもないです
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「……」
機嫌の悪そうなグレニスと二人きり。非常にまずい事態だ。
ちなみに、まだばれていない可能性に賭けて顔は横に背けている。
「リヴェリー、一体何をしに来たんだ?」
ばれてた。
おかしいな……。先輩メイドたちなんかだと、普段まとめあげている髪を下ろしてメイクをするだけで、ガラッと雰囲気が変わって別人のようになるのだけれど。
「ややっ、これはこれは旦那様じゃないですか! こんな所で会うなんてなんとも奇遇な」
おやまあと大袈裟に両手を広げ、たった今気付いた風を装って———
「休日まで俺を主人と呼ぶ必要はない。で? ここで何をしているんだ?」
誤魔化せなかった。
「えー……なんと言いますか…………あっ! はちみつレモン水!! そうそう、訓練の差し入れに旦———グレニス様のお好きなはちみつレモン水をお持ちしたんですよ! ちょっと待っててくださいね!」
返事を待たずベンチに駆け戻ると、置き去りにしたままの日傘とバスケットを掴んでグレニスの元へと引き返す。
「これですこれ!」
畳んだ日傘を小脇に抱え、バスケットの中にみっちりと詰まっていた大きな布の塊を証拠を示すかのようにジャーンと取り出す。
冷たさを保つため何重にも巻いた布をくるくると解いていけば、中から銀色の水差しが現れた。
機嫌の悪そうなグレニスと二人きり。非常にまずい事態だ。
ちなみに、まだばれていない可能性に賭けて顔は横に背けている。
「リヴェリー、一体何をしに来たんだ?」
ばれてた。
おかしいな……。先輩メイドたちなんかだと、普段まとめあげている髪を下ろしてメイクをするだけで、ガラッと雰囲気が変わって別人のようになるのだけれど。
「ややっ、これはこれは旦那様じゃないですか! こんな所で会うなんてなんとも奇遇な」
おやまあと大袈裟に両手を広げ、たった今気付いた風を装って———
「休日まで俺を主人と呼ぶ必要はない。で? ここで何をしているんだ?」
誤魔化せなかった。
「えー……なんと言いますか…………あっ! はちみつレモン水!! そうそう、訓練の差し入れに旦———グレニス様のお好きなはちみつレモン水をお持ちしたんですよ! ちょっと待っててくださいね!」
返事を待たずベンチに駆け戻ると、置き去りにしたままの日傘とバスケットを掴んでグレニスの元へと引き返す。
「これですこれ!」
畳んだ日傘を小脇に抱え、バスケットの中にみっちりと詰まっていた大きな布の塊を証拠を示すかのようにジャーンと取り出す。
冷たさを保つため何重にも巻いた布をくるくると解いていけば、中から銀色の水差しが現れた。
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