110 / 277
21~30話
27c、さっき食べた飴の味
しおりを挟む
誰より悲しませたくない相手……………………、私?
微かに漂った甘い香水の香りにチクリと胸が痛んだけれど、払拭するようにぐりぐりと顔を擦り付ける。
グレニスは、戻ってきてくれた。
マントに閉じ込められて蒸した香りを身体いっぱいに吸い込めば……嗅ぎなれた大好きな香りに安心して、なんだかちょっと泣きそうになった。
「一緒にお出かけ、続けられますか……?」
「当たり前だ、そのために休みを捻出したんだぞ? もう一人で勝手に離れるなよ」
「はい……」
離れない意思の表明のように、おずおずと腕を回してグレニスを抱きしめ返す。
さっきまで石の詰まっていた胸の中は、今はたっぷりと大好きな香りで満たされていた。
すんすんすんすん
「リヴ」
抱きついた私の頬を大きな手のひらが包み込む。
見上げた瞳は優しくて、心地よい手の温もりに目を細めすりすりと頬を寄せる。
「ん、グレン……」
「———っ、あまり煽るな」
「煽る……?」
意味がわからず見つめれば、返事の代わりに優しい口付けが落ちた。
「!」
咄嗟にぎゅっと目を瞑り、唇を引き結んで受け止める。
ちゅ、ちゅ……、ちゅ、
触れて、離れて、また触れて。
小鳥の啄みのようなくすぐったさに小さく身じろぐと、一瞬の隙をついてぬるりと舌が入り込んだ。
微かに漂った甘い香水の香りにチクリと胸が痛んだけれど、払拭するようにぐりぐりと顔を擦り付ける。
グレニスは、戻ってきてくれた。
マントに閉じ込められて蒸した香りを身体いっぱいに吸い込めば……嗅ぎなれた大好きな香りに安心して、なんだかちょっと泣きそうになった。
「一緒にお出かけ、続けられますか……?」
「当たり前だ、そのために休みを捻出したんだぞ? もう一人で勝手に離れるなよ」
「はい……」
離れない意思の表明のように、おずおずと腕を回してグレニスを抱きしめ返す。
さっきまで石の詰まっていた胸の中は、今はたっぷりと大好きな香りで満たされていた。
すんすんすんすん
「リヴ」
抱きついた私の頬を大きな手のひらが包み込む。
見上げた瞳は優しくて、心地よい手の温もりに目を細めすりすりと頬を寄せる。
「ん、グレン……」
「———っ、あまり煽るな」
「煽る……?」
意味がわからず見つめれば、返事の代わりに優しい口付けが落ちた。
「!」
咄嗟にぎゅっと目を瞑り、唇を引き結んで受け止める。
ちゅ、ちゅ……、ちゅ、
触れて、離れて、また触れて。
小鳥の啄みのようなくすぐったさに小さく身じろぐと、一瞬の隙をついてぬるりと舌が入り込んだ。
応援ありがとうございます!
13
お気に入りに追加
1,243
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる