(完)浮気ぐらいで騒ぐな?ーーそれを貴方が言うのですか?

青空一夏

文字の大きさ
9 / 19

9 断罪ーその2

しおりを挟む
 
「この子供達はアメリアが産んだわけではない。だから不倫になるわけがないし、そもそも年齢を考えれば産むには若すぎだと思わないのか?」

「はい。もちろん、そう思いますとも・・・・・・」

「アメリアの姉の子供を実子扱いの養子にすることをわしが認めたのだ。お前は、アメリアを追い出してその女を当主の部屋に住まわせていると聞いたが、それはまことか?」

「あ、えぇと、はい。か、借りていました」

「お前の身体には一滴たりともイシド伯爵家の血は入っていないのに、なぜ愛人をイシド伯爵家の本邸に住まわせる権限があると信じているのかな? しかも当主の部屋だと? 多分、お前は脳に欠陥があるに違いない。早速医学的に調べて解剖を・・・・・・」

「ひっ! 権限がないことは知っていました。ですがイシド伯爵家は病院経営がメインなので、私が仕切っている以上、アメリアは逆らえないと思っていたのです。どうせ子供も産めない女ですし」
 俺がその言葉を言うと周囲が一斉に睨んできた。

ーーやばいなぁ、しまった。口が滑った。

 こんなに大勢の貴族にこんな醜態を見られたら俺の人生は終わりだし、実家のガンナー男爵家もまずいことになる。

「子供に恵まれなくても、血筋を引く者を養子にすればそれで済むことだ。支え合って助け合ってこその夫婦で子供をつくるためだけが夫婦ではない。この者は、爵位乗っ取り防止法、王族への不敬罪、横領罪など諸々の罪で合計300年の懲役刑に処す。しかし牢屋に閉じ込めていて簡単な仕事をさせるだけでは、慰謝料や使い込んだお金も稼げまい。二人とも特別に外に出してやろう。凶悪犯ばかりが働く炭鉱で仲良く仕事をしなさい。身分は二人とも奴隷とする」

ーーえ? なんでそんなにあっさりと奴隷に落とせるんだ? おかしいだろう?

「す、すいません。おかしいですよ。いきなり奴隷落ちなんて納得いかない。どう考えたって炭鉱で働くなんて無理だ。俺…あ、いや、私は身体が弱いです。身体を動かして金を稼ぐなんて到底無理です」


「ふーーん。それなら医学の為にその身体を提供してもらってもいいですよ。臨床試験の同意をいただけますか? 国王陛下、新薬開発の実験には多くの患者の未来がかかっています。そこで莫大な金も動きますから、私がこの男を買いましょう。奴隷なんだし、死んでもいいですよね?」
 背後から、メガネをかけた研究員っぽい男が俺の身体を舐めるように見ていた。

「あ、大丈夫です。えっと、働けます」

「国王陛下お話の最中で大変申し訳ありません。こいつの兄のガンナー男爵です。アメリア様への慰謝料は当家が責任をもって負担しましょう。ですから、こいつとは縁を切らせてください。当家には初めから関わり合いない者としていただけるとありがたいです。あとは、この愚弟を焼くなり煮るなりどうとでもしていただいて構いません!」

「あ、兄上! そ、そんな・・・・・・兄上! 助けてよ!」

「冗談じゃないわ! 国王陛下、私が奴隷に落とされても買ってくれる男がいてアメリアへの慰謝料も払えば自由ですよね? なら、私のお腹の子供の父親に払ってもらいます」

「え? どういうことだ?」

「だから、このお腹の子供ってイアンの子供じゃないです!」
しおりを挟む
感想 179

あなたにおすすめの小説

【完結】離縁ですか…では、私が出掛けている間に出ていって下さいね♪

山葵
恋愛
突然、カイルから離縁して欲しいと言われ、戸惑いながらも理由を聞いた。 「俺は真実の愛に目覚めたのだ。マリアこそ俺の運命の相手!」 そうですか…。 私は離婚届にサインをする。 私は、直ぐに役所に届ける様に使用人に渡した。 使用人が出掛けるのを確認してから 「私とアスベスが旅行に行っている間に荷物を纏めて出ていって下さいね♪」

〖完結〗旦那様には出て行っていただきます。どうか平民の愛人とお幸せに·····

藍川みいな
恋愛
「セリアさん、単刀直入に言いますね。ルーカス様と別れてください。」 ……これは一体、どういう事でしょう? いきなり現れたルーカスの愛人に、別れて欲しいと言われたセリア。 ルーカスはセリアと結婚し、スペクター侯爵家に婿入りしたが、セリアとの結婚前から愛人がいて、その愛人と侯爵家を乗っ取るつもりだと愛人は話した…… 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 全6話で完結になります。

義母と義妹に虐げられていましたが、陰からじっくり復讐させていただきます〜おしとやか令嬢の裏の顔〜

reva
ファンタジー
貴族の令嬢リディアは、父の再婚によりやってきた継母と義妹から、日々いじめと侮蔑を受けていた。 「あら、またそのみすぼらしいドレス? まるで使用人ね」 本当の母は早くに亡くなり、父も病死。残されたのは、冷たい屋敷と陰湿な支配。 けれど、リディアは泣き寝入りする女じゃなかった――。 おしとやかで無力な令嬢を演じながら、彼女はじわじわと仕返しを始める。 貴族社会の裏の裏。人の噂。人間関係。 「ふふ、気づいた時には遅いのよ」 優しげな仮面の下に、冷たい微笑みを宿すリディアの復讐劇が今、始まる。 ざまぁ×恋愛×ファンタジーの三拍子で贈る、スカッと復讐劇! 勧善懲悪が好きな方、読後感すっきりしたい方にオススメです!

【短編】婚約破棄?「喜んで!」食い気味に答えたら陛下に泣きつかれたけど、知らんがな

みねバイヤーン
恋愛
「タリーシャ・オーデリンド、そなたとの婚約を破棄す」「喜んで!」 タリーシャが食い気味で答えると、あと一歩で間に合わなかった陛下が、会場の入口で「ああー」と言いながら膝から崩れ落ちた。田舎領地で育ったタリーシャ子爵令嬢が、ヴィシャール第一王子殿下の婚約者に決まったとき、王国は揺れた。王子は荒ぶった。あんな少年のように色気のない体の女はいやだと。タリーシャは密かに陛下と約束を交わした。卒業式までに王子が婚約破棄を望めば、婚約は白紙に戻すと。田舎でのびのび暮らしたいタリーシャと、タリーシャをどうしても王妃にしたい陛下との熾烈を極めた攻防が始まる。

平民の娘だから婚約者を譲れって? 別にいいですけど本当によろしいのですか?

和泉 凪紗
恋愛
「お父様。私、アルフレッド様と結婚したいです。お姉様より私の方がお似合いだと思いませんか?」  腹違いの妹のマリアは私の婚約者と結婚したいそうだ。私は平民の娘だから譲るのが当然らしい。  マリアと義母は私のことを『平民の娘』だといつも見下し、嫌がらせばかり。  婚約者には何の思い入れもないので別にいいですけど、本当によろしいのですか?    

【完結】お城で愛玩動物を飼う方法~わたくしの小鳥さん達~

月白ヤトヒコ
恋愛
わたくしには、飼っている小鳥がおります。 綺麗な声で歌う小鳥さんと、綺麗な音を奏でる小鳥さん。 わたくしの我儘で・・・檻の中へと閉じ籠こめてしまった小鳥さん達。 わたくしへ安らぎを教えてくれた小鳥さん。 わたくしは大丈夫よ、大丈夫だから。 後で、ちゃんと……この手を、放すから―――― お城へ、殿下へ嫁ぐその前には―――― 一人になっても、平気なように頑張るから。 だからどうか――――それまでは、待っていて? わたくしの、・・・小鳥さん達。 と、思っていたのに、王子に婚約解消を切り出されたので、これ幸いと忠告だけして小鳥さん達と出奔するお話。 令嬢がした忠告は、『お城で愛玩動物を飼う方法』にて。 メリバ風味→ハピエン風味に。 設定はふわっと。『お城で愛玩動物を飼う方法』を読んでなくても大丈夫です。

私に姉など居ませんが?

山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」 「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」 「ありがとう」 私は婚約者スティーブと結婚破棄した。 書類にサインをし、慰謝料も請求した。 「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」

エメラインの結婚紋

サイコちゃん
恋愛
伯爵令嬢エメラインと侯爵ブッチャーの婚儀にて結婚紋が光った。この国では結婚をすると重婚などを防ぐために結婚紋が刻まれるのだ。それが婚儀で光るということは重婚の証だと人々は騒ぐ。ブッチャーに夫は誰だと問われたエメラインは「夫は三十分後に来る」と言う。さら問い詰められて結婚の経緯を語るエメラインだったが、手を上げられそうになる。その時、駆けつけたのは一団を率いたこの国の第一王子ライオネスだった――

処理中です...