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9 断罪ーその2
しおりを挟む「この子供達はアメリアが産んだわけではない。だから不倫になるわけがないし、そもそも年齢を考えれば産むには若すぎだと思わないのか?」
「はい。もちろん、そう思いますとも・・・・・・」
「アメリアの姉の子供を実子扱いの養子にすることをわしが認めたのだ。お前は、アメリアを追い出してその女を当主の部屋に住まわせていると聞いたが、それはまことか?」
「あ、えぇと、はい。か、借りていました」
「お前の身体には一滴たりともイシド伯爵家の血は入っていないのに、なぜ愛人をイシド伯爵家の本邸に住まわせる権限があると信じているのかな? しかも当主の部屋だと? 多分、お前は脳に欠陥があるに違いない。早速医学的に調べて解剖を・・・・・・」
「ひっ! 権限がないことは知っていました。ですがイシド伯爵家は病院経営がメインなので、私が仕切っている以上、アメリアは逆らえないと思っていたのです。どうせ子供も産めない女ですし」
俺がその言葉を言うと周囲が一斉に睨んできた。
ーーやばいなぁ、しまった。口が滑った。
こんなに大勢の貴族にこんな醜態を見られたら俺の人生は終わりだし、実家のガンナー男爵家もまずいことになる。
「子供に恵まれなくても、血筋を引く者を養子にすればそれで済むことだ。支え合って助け合ってこその夫婦で子供をつくるためだけが夫婦ではない。この者は、爵位乗っ取り防止法、王族への不敬罪、横領罪など諸々の罪で合計300年の懲役刑に処す。しかし牢屋に閉じ込めていて簡単な仕事をさせるだけでは、慰謝料や使い込んだお金も稼げまい。二人とも特別に外に出してやろう。凶悪犯ばかりが働く炭鉱で仲良く仕事をしなさい。身分は二人とも奴隷とする」
ーーえ? なんでそんなにあっさりと奴隷に落とせるんだ? おかしいだろう?
「す、すいません。おかしいですよ。いきなり奴隷落ちなんて納得いかない。どう考えたって炭鉱で働くなんて無理だ。俺…あ、いや、私は身体が弱いです。身体を動かして金を稼ぐなんて到底無理です」
「ふーーん。それなら医学の為にその身体を提供してもらってもいいですよ。臨床試験の同意をいただけますか? 国王陛下、新薬開発の実験には多くの患者の未来がかかっています。そこで莫大な金も動きますから、私がこの男を買いましょう。奴隷なんだし、死んでもいいですよね?」
背後から、メガネをかけた研究員っぽい男が俺の身体を舐めるように見ていた。
「あ、大丈夫です。えっと、働けます」
「国王陛下お話の最中で大変申し訳ありません。こいつの兄のガンナー男爵です。アメリア様への慰謝料は当家が責任をもって負担しましょう。ですから、こいつとは縁を切らせてください。当家には初めから関わり合いない者としていただけるとありがたいです。あとは、この愚弟を焼くなり煮るなりどうとでもしていただいて構いません!」
「あ、兄上! そ、そんな・・・・・・兄上! 助けてよ!」
「冗談じゃないわ! 国王陛下、私が奴隷に落とされても買ってくれる男がいてアメリアへの慰謝料も払えば自由ですよね? なら、私のお腹の子供の父親に払ってもらいます」
「え? どういうことだ?」
「だから、このお腹の子供ってイアンの子供じゃないです!」
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