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10 断罪ーその3(アメリア視点)
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「え? お腹の子供が俺の子じゃないって・・・・・・それならいったい誰の子なんだよ?」
「これは、カイデン公爵の子です!」
「え?」
王妃陛下の横にいたイブ・カイデン公爵夫人が気絶すると、少し離れたところにいたカイデン公爵は慌てて駆け寄りイブ様を抱きかかえた。
周りの貴族達の動揺はおさまらない。子供はいないもののおしどり夫婦で有名な夫妻のこの事件にどよめきがいつまでも続くなか、彼の侍従が青ざめながらその場を立ち去ろうとするその腕をキャサリンがしっかりと捕まえた。
「ほら、この方ですわ!カイデン公爵様、私を買ってくださいませ。だって、この子は自分の子だと言ってくださいましたよね?」
「いや、人違いだ……私はお前など知らない」
「嫌だぁーー。私との情事を真実の愛だとおっしゃいましたよね?」
なおもすがりつくキャサリンを乱暴に払いのけた男を、王家の騎士が捕らえた。
「最近、高位貴族になりすまして、女性を妊娠させる悪質な遊び人がこいつのようですね」
その騎士が吐き捨てるように言った言葉に国王陛下は苦笑した。
「キャサリンとやらの迂闊な言葉も、たまにはいい効果をうむなぁ。自らの罪が増えていくのも気がつかない愚か者だがな。しかし巷を騒がせている結婚詐欺師が、カイデン公爵様家の侍従だったとは驚いたなぁ」
「高位貴族のふりをして甘い言葉で女性を誘って、妊娠すると逃げる卑怯者は厳重に処罰するべきですわ。ただの詐欺罪ではありません。その女性の人生を台無しにして子供までも不幸にする重罪と思います。こんな男が軽い刑罰で済むなら、同じことをする男がまた出てきますわ」
王妃殿下は涙をためて国王陛下を見上げていた。私も、もちろんその意見には賛成だ。女性が子供を産むことだけでも大変なのに、騙されて産むなんて辛すぎる。そして、その子供は誰にも祝福されない・・・・・・被害者が4人だ。その女性の両親も娘の出産を喜ぶどころか悲しみ呪うようになる。
ーーなんと罪深いことか・・・・・・。
ヘラヘラしたこの侍従は事の重大さがわかっていないのだろう。開き直ったその態度は生意気で反抗的だった。
「国王陛下に申しあげます。お互い合意の上で行為に及んだものです。カイデン公爵家のことをほんの少し話したら相手の女が勘違いしただけです。無理矢理、襲ったわけじゃないんだ! 喜んで、股を広げたのはお前らだろう? お互い気持ちの良いことしたんだ! なんで、男の私だけが責められるのですか? 女のほうが快楽に貪欲な浅ましい生き物なのを忘れていますよ!」
下卑た笑いを浮かべてそんな言葉を口にする男は、自分も母親から産まれてきたことを忘れているのだろう。
「お前の今の言葉は全ての女性に対する冒涜・不敬である。被害にあった女性に対する慰謝料と子供への養育費を払うためにも、お前もやはり炭鉱かのぅ。こいつは、詐欺師ばかりがいる炭鉱におくるか。年数は女性に対する冒涜・不敬で100年! なぜなら王太后も王妃も女性だからな。詐欺罪は一人あたり10年なので4人の被害者の女性とその子供で2倍の8人。180年だな。」
「詐欺師ばかりがいる炭鉱に180年?」
「そうとも。お前のような口八丁手八丁のクズな輩がうごめく炭鉱では、嘘つきゲームが繰り広げられているらしい。命を賭けたゲームだと言うがどんなものかなぁ。運良く生きて出られたら手記でも書いてみろ。もちろん売り上げは子供達の養育費になるがな!」
「・・・・・・180年も生きられるわけがない・・・・・・そんなの実質、死刑じゃないか」
侍従は泣き叫んで最後に言った言葉が『お母さん、助けて』だった。そして、まわりの貴族たちから失笑をかったのだった。
イアンもキャサリンもあの侍従も奴隷の身に落とされ、過酷な炭鉱おくりになった。キャサリンは出産後の刑となり、この赤ちゃんは私が裕福な子供に恵まれない商人の夫婦を探し養子にさせた。産まれてきた赤ちゃんは親を選べないのだから、その子には罪はないと思う。
イシド伯爵家の本邸に子供達と戻った私は、ヴィセンテも交えて楽しい生活を送っている。
「その大好きな貴族の女性も誘ってピクニックをしましょうよ。恋仲にはなれなくても健全な友情なら育めるのではないかしら? 私も協力するわ」
そう言っても困ったように笑うヴィセンテは気の毒だったけれど・・・・・・子供達はますますヴィセンテになつくのだった。
。:.゚ஐ⋆*🍓・:*ೄ‧͙·*✨ஐ⋆*🍓・:*ೄ‧͙·*♪
次回は、それぞれの末路
そして、アイリスの幸せ(恋)です
「これは、カイデン公爵の子です!」
「え?」
王妃陛下の横にいたイブ・カイデン公爵夫人が気絶すると、少し離れたところにいたカイデン公爵は慌てて駆け寄りイブ様を抱きかかえた。
周りの貴族達の動揺はおさまらない。子供はいないもののおしどり夫婦で有名な夫妻のこの事件にどよめきがいつまでも続くなか、彼の侍従が青ざめながらその場を立ち去ろうとするその腕をキャサリンがしっかりと捕まえた。
「ほら、この方ですわ!カイデン公爵様、私を買ってくださいませ。だって、この子は自分の子だと言ってくださいましたよね?」
「いや、人違いだ……私はお前など知らない」
「嫌だぁーー。私との情事を真実の愛だとおっしゃいましたよね?」
なおもすがりつくキャサリンを乱暴に払いのけた男を、王家の騎士が捕らえた。
「最近、高位貴族になりすまして、女性を妊娠させる悪質な遊び人がこいつのようですね」
その騎士が吐き捨てるように言った言葉に国王陛下は苦笑した。
「キャサリンとやらの迂闊な言葉も、たまにはいい効果をうむなぁ。自らの罪が増えていくのも気がつかない愚か者だがな。しかし巷を騒がせている結婚詐欺師が、カイデン公爵様家の侍従だったとは驚いたなぁ」
「高位貴族のふりをして甘い言葉で女性を誘って、妊娠すると逃げる卑怯者は厳重に処罰するべきですわ。ただの詐欺罪ではありません。その女性の人生を台無しにして子供までも不幸にする重罪と思います。こんな男が軽い刑罰で済むなら、同じことをする男がまた出てきますわ」
王妃殿下は涙をためて国王陛下を見上げていた。私も、もちろんその意見には賛成だ。女性が子供を産むことだけでも大変なのに、騙されて産むなんて辛すぎる。そして、その子供は誰にも祝福されない・・・・・・被害者が4人だ。その女性の両親も娘の出産を喜ぶどころか悲しみ呪うようになる。
ーーなんと罪深いことか・・・・・・。
ヘラヘラしたこの侍従は事の重大さがわかっていないのだろう。開き直ったその態度は生意気で反抗的だった。
「国王陛下に申しあげます。お互い合意の上で行為に及んだものです。カイデン公爵家のことをほんの少し話したら相手の女が勘違いしただけです。無理矢理、襲ったわけじゃないんだ! 喜んで、股を広げたのはお前らだろう? お互い気持ちの良いことしたんだ! なんで、男の私だけが責められるのですか? 女のほうが快楽に貪欲な浅ましい生き物なのを忘れていますよ!」
下卑た笑いを浮かべてそんな言葉を口にする男は、自分も母親から産まれてきたことを忘れているのだろう。
「お前の今の言葉は全ての女性に対する冒涜・不敬である。被害にあった女性に対する慰謝料と子供への養育費を払うためにも、お前もやはり炭鉱かのぅ。こいつは、詐欺師ばかりがいる炭鉱におくるか。年数は女性に対する冒涜・不敬で100年! なぜなら王太后も王妃も女性だからな。詐欺罪は一人あたり10年なので4人の被害者の女性とその子供で2倍の8人。180年だな。」
「詐欺師ばかりがいる炭鉱に180年?」
「そうとも。お前のような口八丁手八丁のクズな輩がうごめく炭鉱では、嘘つきゲームが繰り広げられているらしい。命を賭けたゲームだと言うがどんなものかなぁ。運良く生きて出られたら手記でも書いてみろ。もちろん売り上げは子供達の養育費になるがな!」
「・・・・・・180年も生きられるわけがない・・・・・・そんなの実質、死刑じゃないか」
侍従は泣き叫んで最後に言った言葉が『お母さん、助けて』だった。そして、まわりの貴族たちから失笑をかったのだった。
イアンもキャサリンもあの侍従も奴隷の身に落とされ、過酷な炭鉱おくりになった。キャサリンは出産後の刑となり、この赤ちゃんは私が裕福な子供に恵まれない商人の夫婦を探し養子にさせた。産まれてきた赤ちゃんは親を選べないのだから、その子には罪はないと思う。
イシド伯爵家の本邸に子供達と戻った私は、ヴィセンテも交えて楽しい生活を送っている。
「その大好きな貴族の女性も誘ってピクニックをしましょうよ。恋仲にはなれなくても健全な友情なら育めるのではないかしら? 私も協力するわ」
そう言っても困ったように笑うヴィセンテは気の毒だったけれど・・・・・・子供達はますますヴィセンテになつくのだった。
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次回は、それぞれの末路
そして、アイリスの幸せ(恋)です
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