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歩みの遅い亀って?(マーガレット視点)

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 あの二人の騎士は懲戒解職され、その先どうなったかはわからない。メディチ家はお取り潰しになり、私はカトレーネ・トマス公爵夫人の養女になった。

「マーガレットは、私の実家のマンデリン伯爵家を継ぎなさい。女伯爵になるのです。そうすれば、メイソンとクリストファーの後見人になれる。私も娘ができて、こんなに嬉しいことはない」

 カトレーネ・トマス公爵夫人が、私の手を握っておしゃったからだ。

 私の継いだマンデリン家の王都での屋敷はカトレーネ・トマス公爵夫人の屋敷の隣だった。結局、私はほとんどの時間をカトレーネ・トマス公爵夫人の屋敷で過ごし、二人の子供達に囲まれている。

 メイソンはお勉強が良くできて賢かった。とても、難しい本なども読みこなし、ベンジャミン様と議論する様子は見ていて頼もしい限りだ。

「この子は、すごい子だ! 将来は王家お抱えの学者様かもしれないな」

 私は、目を細めておっしゃるベンジャミン様にクリストファーのことも伝える。

「クリストファーも凄いのですよ。この子には剣の才能があるようです。将来は騎士団長かもしれません」

「まぁーー。なんて素晴らしいことなのでしょうね。けれど、私はこの二人が幸せであれば、それほど偉くならなくてもいいですよ。心の優しい暖かい人間になれば言うことなしです」

 カトレーネ・トマス公爵夫人は、いつもそうおっしゃる。私達は、いつの間にか一つの家族のようになっていた。



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 それから、2年があっという間に過ぎ、ベンジャミン様は私をエスコートして夜会に出席するようになった。王妃様はそのたびに、ベンジャミン様に小さな声でそっとおっしゃる。

「歩みの遅い亀だな」

 今日も、王妃様に言われて苦笑するベンジャミン様だった。私が首を傾げていると王様は大笑いしている。

「マーガレット・マンデリン女伯爵よ。貴女は、まだ若い。おぉ、そうだ! 私の甥っ子で、まだ未婚の者がいる・・・・・・それとお見合いでもしてみるか?」


「っ。それは、駄目です!」

 ベンジャミン・トマス公爵が、王様を不敬にも睨み付けておっしゃったのだった。

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