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11 親友の手紙
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私はジャクソン様から渡されたその手紙を丁寧にゆっくりと開いた。親友がお気に入りでつけていた香水のほのかな香りがする。懐かしくて泣きたくなるようなその香りについ涙がこぼれ落ちそうになる。
バラの透かし模様のある便箋には綺麗な文字でこのように書いてあった。
最も信頼する大好きな親友イレーヌへ🍀
私はあなたにずっと黙っていたことがあるの。それは私が幼い頃から心臓が丈夫ではないということなの。子供の頃から、お医者様は私に長生きはできないとおっしゃっていたわ。奇跡的に貴族学園に通えてイレーヌに出会えた事は私にはとても嬉しいことだった。そしてジャクソンと恋に落ち私はとても幸せな時間を過ごせたの。ジャクソンにもこの病気の事は秘密にしていたわ。
妊娠したときにジャクソンはとても喜んでくれたし、イレーヌも自分のことのように喜んでくれたわね? 私もとても嬉しかった。ところがお医者様は私に「出産は心臓に負担がかかりすぎるので命の危険があります」と言ったわ。
「このような場合は子供をあきらめるしかない」
事情を知ってしまったジャクソンに泣いてそう頼まれたけれど、私は産むことを選んだ。私のお腹の中の子には未来があるの。この子を堕ろすなんて恐ろしいことは私にはできなかった。
私はお産が近づいたある日、
「お産で耐えきれずにもし私が死んでしまったら、そしてイレーヌが恋人も作らず1人で悲しんでばかりいるようだったらこの手紙を渡してほしいわ。ここにはね、私の気持ちが入っているの」
こんなふうにね、ジャクソンに言ったわけなのよ。
それで私のお願いなんだけれどもズバリ言うわよ! イレーヌ! ジャクソンと私の子供をお願いしたいの。とてもわがままなお願いだとわかっているわ。だけどね、信頼できる親友だからこそ私の大事な旦那様と子供を託せるの。もちろん他に好きな男性がいたり、ジャクソンなんてとんでもないなんて思っていたらこんなふざけた手紙は破り捨ててちょうだい。
けれど少しでもジャクソンを好ましいと思ってくれて、私の子供をかわいいと思ってくれるならお願いだからそうしてもらいたい。この親友のとんでもないわがままを聞いてちょうだい!
大好きなイレーヌ! あなたの幸せを心から祈っています。あなたが幸せな結婚をした場合にはこの手紙は渡っていないと思うからもう一度言うわよ。お願い!私の子供のお母様になってちょうだい!
勝手でわがままな親友より🍀
私はこの手紙を読みながら子供のように泣きじゃくった。大好きな親友のわがままなお願いは、今の私には救いだった。
「私はもう迷わないわ。あなたのお願いは私の望みでもあるのだから。私に任せておいて」
私はその手紙に向かって泣きながらつぶやいたのだった。
バラの透かし模様のある便箋には綺麗な文字でこのように書いてあった。
最も信頼する大好きな親友イレーヌへ🍀
私はあなたにずっと黙っていたことがあるの。それは私が幼い頃から心臓が丈夫ではないということなの。子供の頃から、お医者様は私に長生きはできないとおっしゃっていたわ。奇跡的に貴族学園に通えてイレーヌに出会えた事は私にはとても嬉しいことだった。そしてジャクソンと恋に落ち私はとても幸せな時間を過ごせたの。ジャクソンにもこの病気の事は秘密にしていたわ。
妊娠したときにジャクソンはとても喜んでくれたし、イレーヌも自分のことのように喜んでくれたわね? 私もとても嬉しかった。ところがお医者様は私に「出産は心臓に負担がかかりすぎるので命の危険があります」と言ったわ。
「このような場合は子供をあきらめるしかない」
事情を知ってしまったジャクソンに泣いてそう頼まれたけれど、私は産むことを選んだ。私のお腹の中の子には未来があるの。この子を堕ろすなんて恐ろしいことは私にはできなかった。
私はお産が近づいたある日、
「お産で耐えきれずにもし私が死んでしまったら、そしてイレーヌが恋人も作らず1人で悲しんでばかりいるようだったらこの手紙を渡してほしいわ。ここにはね、私の気持ちが入っているの」
こんなふうにね、ジャクソンに言ったわけなのよ。
それで私のお願いなんだけれどもズバリ言うわよ! イレーヌ! ジャクソンと私の子供をお願いしたいの。とてもわがままなお願いだとわかっているわ。だけどね、信頼できる親友だからこそ私の大事な旦那様と子供を託せるの。もちろん他に好きな男性がいたり、ジャクソンなんてとんでもないなんて思っていたらこんなふざけた手紙は破り捨ててちょうだい。
けれど少しでもジャクソンを好ましいと思ってくれて、私の子供をかわいいと思ってくれるならお願いだからそうしてもらいたい。この親友のとんでもないわがままを聞いてちょうだい!
大好きなイレーヌ! あなたの幸せを心から祈っています。あなたが幸せな結婚をした場合にはこの手紙は渡っていないと思うからもう一度言うわよ。お願い!私の子供のお母様になってちょうだい!
勝手でわがままな親友より🍀
私はこの手紙を読みながら子供のように泣きじゃくった。大好きな親友のわがままなお願いは、今の私には救いだった。
「私はもう迷わないわ。あなたのお願いは私の望みでもあるのだから。私に任せておいて」
私はその手紙に向かって泣きながらつぶやいたのだった。
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