7 / 8
7 マリーナと皇太子殿下の末路(マリーナ視点)※残酷描写あり。血が流れるシーンあり。R18
しおりを挟む
マリーナ視点 ※残酷描写あります。また血が流れる描写もあります。苦手な方は読まないでください。これを読まなくてもこの先の物語には影響はありません。次回はローズとフィンリーの甘い恋になっていきますので、残酷が苦手な方はこれを飛ばして次回からお読みください。
とてもまずいことになった。皇太子殿下がかばってくれたのはいいけれど2人で賎民になるというのは受け入れがたいことだった。でも死罪よりはマシだ。
待って……どうなのかなぁ……マシなのかな……賤民は人として認められない最下層な者たちを言う。これは虐げてもいい。もっと言えば殺しても罪に問われない者たちのことなのだ。
私たちは宮廷を追放され賎民の住む荒んだ地区に放り出された。住む場所は汚くて狭い長屋で隣近所との壁が薄すぎる。
「皇太子だった俺がなんでこんなことに!」
いつもそう愚痴る悲劇の主人公になった皇太子は少しも素敵じゃなくなった。土木工事の仕事を日雇いでするしかなかった皇太子はすっかり日に焼けて体はたくましくなったけれど精神は病んでしまったようだ。
「お前のせいでこうなったんだ! お前が俺を誘惑してくるからこんなことになったんだ」
私は皇太子に毎日殴られ蹴られた。夫である皇太子が道路工事から帰ってくるのがたまらなく怖い。嫌なことがあった日は腹いせに拳で殴られ腹を蹴られた。いいことがあったときにも景気付けだと言われ、やはり頰を平手で叩かれた。つまりどんな日にも何かしら体に傷を付けられる。まさに地獄だった。
「いい加減にしてよ! 私だって侯爵令嬢だったのにまさか賎民に落とされるなんて思わなかったんだもの。女に手をあげるなんて最低よ! だから廃太子になったんだよね」
つい言い返した私に狂ったように殴りだす皇太子。それはもうまともな人間ではなかった。毎日が夫婦喧嘩の日々で、お互いが憎みあい殴りあう日々。
それでも男の方が力が強いから私はいつもボロ雑巾のようになって床に倒れた。
どうしてこんなことになってしまったんだろう?
いつものように殴られていると隣の部屋の壁がぶち抜かれ隣人が侵入してきた。
「あんた達夫婦はいつもうるさすぎなんだよ。しょっちゅう喧嘩をしていてみんなが迷惑しているんだ。でもね、それもあたしらには都合がよかったよ。だってさー、夫婦喧嘩で刃傷沙汰になり死ぬ人間なんてごまんといるからね。あんたたちの会話は筒抜けだったんだよ。貴族様だったんだろう? だったらその指輪も本物の金なんだよね?」
隣の夫婦は私の指にはまっている指輪を下卑た笑いを浮かべて見つめた。
その手には刃物が光り、下卑た笑いは残忍さを増していく。そして皇太子と私の腹を交互に刺した。赤い血が滴り落ちる。その血の色は鮮やかな赤で、私の罪の深さを洗い流すかのように流れていった。
それでも致命傷では無いから、なかなか死ぬことはできない。焼き付くような傷の痛みはあるが、確実に出血をしていながらもそれほど深くない傷は私を気絶させることもできない。
「さてと、指輪をいただこうかね? あれ、取れないよ。おかしいねぇ。はずれないなら指ごと切り落としてしまえばいいか」
「いやぁー、ぎゃー!! やめてよ、やめて、やめてよー!!」
私は声を限りに叫ぶけれど、誰も助けに来てはくれない。いつも夫婦喧嘩をしている私たちなのでいつものことだと長屋の皆は思っているのだろう。
「頼むからやめてくれ!指を切らないで! 何をするんだ! ぎゃぁーーー」
皇太子の指も切られそうになっていた。恐怖のあまり絶叫し失禁までしている皇太子が滑稽に見える。
指輪をしていた指が切断されそこからも血が噴き出し痛さに顔を歪め、うめき声しかでない。これが皇族を殺そうとした罰、そしてお姉さまを殺そうとした罰なのかもしれない。
「この2人ピアスもおしゃれなものをしているよ?」
「そうだな、耳ごとそいでしまえばいいだろう」
さらに耳を切り落とそうとする隣人夫婦は悪魔に違いない。
ちょっとやめてよ、なんでこんな拷問みたいなことになってるの? 痛い、痛い、痛い、痛い……血の海の中で溺れ散々苦痛を味わった挙句、やっと意識が薄れかけた頃に誰かの笑い声が聞こえた。
「約束通り人間の極限までの苦痛の叫びをもらったぞ!あはははは」
聞き覚えのあるあの美貌の占い師の声が聞こえたような気がした。
お姉様を追い込み、自分が皇后になろうとした私の報いはこのようなことになったのだった。
でも私は本当に皇后になりたかった。あの最高の地位にどうしても就きたかった。
だから、後悔はない……あるとすれば、もっとうまく策略を巡らすことができなかったことが悔やまれるだけ……
とてもまずいことになった。皇太子殿下がかばってくれたのはいいけれど2人で賎民になるというのは受け入れがたいことだった。でも死罪よりはマシだ。
待って……どうなのかなぁ……マシなのかな……賤民は人として認められない最下層な者たちを言う。これは虐げてもいい。もっと言えば殺しても罪に問われない者たちのことなのだ。
私たちは宮廷を追放され賎民の住む荒んだ地区に放り出された。住む場所は汚くて狭い長屋で隣近所との壁が薄すぎる。
「皇太子だった俺がなんでこんなことに!」
いつもそう愚痴る悲劇の主人公になった皇太子は少しも素敵じゃなくなった。土木工事の仕事を日雇いでするしかなかった皇太子はすっかり日に焼けて体はたくましくなったけれど精神は病んでしまったようだ。
「お前のせいでこうなったんだ! お前が俺を誘惑してくるからこんなことになったんだ」
私は皇太子に毎日殴られ蹴られた。夫である皇太子が道路工事から帰ってくるのがたまらなく怖い。嫌なことがあった日は腹いせに拳で殴られ腹を蹴られた。いいことがあったときにも景気付けだと言われ、やはり頰を平手で叩かれた。つまりどんな日にも何かしら体に傷を付けられる。まさに地獄だった。
「いい加減にしてよ! 私だって侯爵令嬢だったのにまさか賎民に落とされるなんて思わなかったんだもの。女に手をあげるなんて最低よ! だから廃太子になったんだよね」
つい言い返した私に狂ったように殴りだす皇太子。それはもうまともな人間ではなかった。毎日が夫婦喧嘩の日々で、お互いが憎みあい殴りあう日々。
それでも男の方が力が強いから私はいつもボロ雑巾のようになって床に倒れた。
どうしてこんなことになってしまったんだろう?
いつものように殴られていると隣の部屋の壁がぶち抜かれ隣人が侵入してきた。
「あんた達夫婦はいつもうるさすぎなんだよ。しょっちゅう喧嘩をしていてみんなが迷惑しているんだ。でもね、それもあたしらには都合がよかったよ。だってさー、夫婦喧嘩で刃傷沙汰になり死ぬ人間なんてごまんといるからね。あんたたちの会話は筒抜けだったんだよ。貴族様だったんだろう? だったらその指輪も本物の金なんだよね?」
隣の夫婦は私の指にはまっている指輪を下卑た笑いを浮かべて見つめた。
その手には刃物が光り、下卑た笑いは残忍さを増していく。そして皇太子と私の腹を交互に刺した。赤い血が滴り落ちる。その血の色は鮮やかな赤で、私の罪の深さを洗い流すかのように流れていった。
それでも致命傷では無いから、なかなか死ぬことはできない。焼き付くような傷の痛みはあるが、確実に出血をしていながらもそれほど深くない傷は私を気絶させることもできない。
「さてと、指輪をいただこうかね? あれ、取れないよ。おかしいねぇ。はずれないなら指ごと切り落としてしまえばいいか」
「いやぁー、ぎゃー!! やめてよ、やめて、やめてよー!!」
私は声を限りに叫ぶけれど、誰も助けに来てはくれない。いつも夫婦喧嘩をしている私たちなのでいつものことだと長屋の皆は思っているのだろう。
「頼むからやめてくれ!指を切らないで! 何をするんだ! ぎゃぁーーー」
皇太子の指も切られそうになっていた。恐怖のあまり絶叫し失禁までしている皇太子が滑稽に見える。
指輪をしていた指が切断されそこからも血が噴き出し痛さに顔を歪め、うめき声しかでない。これが皇族を殺そうとした罰、そしてお姉さまを殺そうとした罰なのかもしれない。
「この2人ピアスもおしゃれなものをしているよ?」
「そうだな、耳ごとそいでしまえばいいだろう」
さらに耳を切り落とそうとする隣人夫婦は悪魔に違いない。
ちょっとやめてよ、なんでこんな拷問みたいなことになってるの? 痛い、痛い、痛い、痛い……血の海の中で溺れ散々苦痛を味わった挙句、やっと意識が薄れかけた頃に誰かの笑い声が聞こえた。
「約束通り人間の極限までの苦痛の叫びをもらったぞ!あはははは」
聞き覚えのあるあの美貌の占い師の声が聞こえたような気がした。
お姉様を追い込み、自分が皇后になろうとした私の報いはこのようなことになったのだった。
でも私は本当に皇后になりたかった。あの最高の地位にどうしても就きたかった。
だから、後悔はない……あるとすれば、もっとうまく策略を巡らすことができなかったことが悔やまれるだけ……
35
あなたにおすすめの小説
冷酷騎士様の「愛さない」は一分も持たなかった件
水月
恋愛
「君を愛するつもりはない」
結婚初夜、帝国最強の冷酷騎士ヴォルフラム・ツヴァルト公爵はそう言い放った。
出来損ないと蔑まれ、姉の代わりの生贄として政略結婚に差し出されたリーリア・ミラベルにとって、それはむしろ救いだった。
愛を期待されないのなら、失望させることもない。
契約妻として静かに役目を果たそうとしたリーリアは、緩んだ軍服のボタンを自らの銀髪と微弱な強化魔法で直す。
ただ「役に立ちたい」という一心だった。
――その瞬間。
冷酷騎士の情緒が崩壊した。
「君は、自分の価値を分かっていない」
開始一分で愛さない宣言は撤回。
無自覚に自己評価が低い妻に、激重独占欲を発症した最強騎士が爆誕する。
以後、
寝室は強制統合
常時抱っこ移動
一秒ごとに更新される溺愛
妻を傷つける者には容赦なし宣言
甘さ過多、独占欲過剰、愛情暴走中。
さらにはリーリアを取り戻そうとする実家の横槍まで入り――?
自己評価ゼロの健気令嬢と愛が一分も我慢できなかった最強騎士。
溺愛が止まらない、契約結婚から始まる甘すぎる逆転ラブコメ
醜女公爵令嬢の私が新婚初夜に「お前の事は愛することはない」と言われたので既成事実を作ったら、冷酷騎士団長の夫が狂ったように執着してきました
スノウマン(ユッキー)
恋愛
醜女と馬鹿にされる公爵令嬢レティーナは、自分とは違い子供は美形になって欲しいと願う。その為に国一番のイケメンである女嫌いで笑わない事で有名な冷酷な騎士団長カイゼルの子種が欲しいと考えた。実家も巻き込み政略結婚でカイゼルと結婚したレティーナだったが彼は新婚初夜に「お前の事は愛することはない」と告げてきた。だがそれくらいレティーナも予想していた。だから事前に準備していた拘束魔法でカイゼルの動きを封じて既成事実を作った。プライドを傷つけられカイゼルは烈火の如く怒っているだろうと予想していたのに、翌日からカイゼルはレティーナに愛を囁き始めて!?
公爵令嬢のひとりごと
鬼ヶ咲あちたん
ファンタジー
城下町へ視察にいった王太子シメオンは、食堂の看板娘コレットがひたむきに働く姿に目を奪われる。それ以来、事あるごとに婚約者である公爵令嬢ロザリーを貶すようになった。「君はもっとコレットを見習ったほうがいい」そんな日々にうんざりしたロザリーのひとりごと。
【4話完結】 君を愛することはないと、こっちから言ってみた
紬あおい
恋愛
皇女にべったりな護衛騎士の夫。
流行りの「君を愛することはない」と先に言ってやった。
ザマアミロ!はあ、スッキリした。
と思っていたら、夫が溺愛されたがってる…何で!?
さようなら、私を「枯れた花」と呼んだ貴方。~辺境で英雄を救って聖女と呼ばれたので、没落した元婚約者の謝罪は受け付けません~
阿里
恋愛
「お前のような見栄えの悪い女は、俺の隣にふさわしくない」
婚約者アレクに捨てられ、辺境へ追いやられたセレナ。
けれど、彼女が森で拾ったのは、アレクなど足元にも及ばないほど強くて優しい、呪われた英雄ライアンだった。
セレナの薬草が奇跡を起こし、王都を救う特効薬となったとき、かつて自分を捨てた男との再会が訪れる。
「やり直そう」と縋り付くアレクに、セレナは最愛の人と寄り添いながら静かに微笑む。
――あなたが捨てたのは、ただの影ではなく、あなたの未来そのものだったのですよ。
公爵夫人は愛されている事に気が付かない
山葵
恋愛
「あら?侯爵夫人ご覧になって…」
「あれはクライマス公爵…いつ見ても惚れ惚れしてしまいますわねぇ~♡」
「本当に女性が見ても羨ましいくらいの美形ですわねぇ~♡…それなのに…」
「本当にクライマス公爵が可哀想でならないわ…いくら王命だからと言ってもねぇ…」
社交パーティーに参加すれば、いつも聞こえてくる私への陰口…。
貴女達が言わなくても、私が1番、分かっている。
夫の隣に私は相応しくないのだと…。
本物の夫は愛人に夢中なので、影武者とだけ愛し合います
こじまき
恋愛
幼い頃から許嫁だった王太子ヴァレリアンと結婚した公爵令嬢ディアーヌ。しかしヴァレリアンは身分の低い男爵令嬢に夢中で、初夜をすっぽかしてしまう。代わりに寝室にいたのは、彼そっくりの影武者…生まれたときに存在を消された双子の弟ルイだった。
※「小説家になろう」にも投稿しています
「美しい女性(ヒト)、貴女は一体、誰なのですか?」・・・って、オメエの嫁だよ
猫枕
恋愛
家の事情で12才でウェスペル家に嫁いだイリス。
当時20才だった旦那ラドヤードは子供のイリスをまったく相手にせず、田舎の領地に閉じ込めてしまった。
それから4年、イリスの実家ルーチェンス家はウェスペル家への借金を返済し、負い目のなくなったイリスは婚姻の無効を訴える準備を着々と整えていた。
そんなある日、領地に視察にやってきた形だけの夫ラドヤードとばったり出くわしてしまう。
美しく成長した妻を目にしたラドヤードは一目でイリスに恋をする。
「美しいひとよ、貴女は一体誰なのですか?」
『・・・・オメエの嫁だよ』
執着されたらかなわんと、逃げるイリスの運命は?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる