（完）私の恋人を奪う人妻の姉

こんなはずじゃなかった(イザベラの母親視点）その１

　私の夫は、急に心筋梗塞で亡くなった。絶対に、おかしい。その夜は元気で、朝起きたら死体になっていた。
アーロンは、さっさと、死亡判断書を書いて王宮の中のお役所に提出した。

　身内だけのお葬式がいいと言われて、誰も呼ばずに火葬された。あっけなかった。

「こんなことは、おかしいでしょう？　なんで･･････」

　言葉を言い終わらぬうちに、平手が頬に飛んできた。

「うるさいですねぇ。貴女方が言ったんですよ？　お義父様を殺すのは、気が進まなかったんですけれどね。貴女方が、病院で掃除婦のように働くのが嫌って言ったからやってあげたんですよ？　私達は共犯者ですからね」

　ぞっとするような笑顔で、そう言うと夫が大切にしていたブランデーを、嬉しそうに開けて飲んではニタニタと笑った。

「あぁ、お義母様。貴女にも、いいお仕事を見つけました。いやぁーー探しましたよぉーー。少し、マニアックなお店で申し訳ないのですが『熟女とあっちっち』というピンクなお店、見つけましたぁ。お義母様も、まだ、あっちのほうは元気なようですので。ほら、お金をもらえたほうがいいでしょう？」

「え？　なんで？　どういうことなの？」

「貴女とイザベラは、もう私の奴隷のようなもんですよ？　私が作った借金の保証人欄に貴女方の印鑑が押してありますからね」

「なんですって？　そんなのおかしいわ！　裁判所に訴えてやる！　この人でなし！」

「ふーーん。お義母様が、こないだ外出した時に撮った写真が、ここにあります。これ、自分の息子ぐらいな歳でしょう？　よくも、まぁ、こんな若いのと、公園でいいことしていたとは･･････訴えるならどうぞーー。貴女の、この恥ずかしい写真も全部ばらまきますよ。けっこう、よく撮れてるんだな、これが。あっはは」

「ひとでなし！　この鬼畜！　死んじまえ！」

「おい、おい！　どの口が言ってんだよ？　旦那がいる時も、浮気三昧、無駄遣いの女王だったんだろ？　旦那が死んでもなお、若いのと･･････そんなに男が欲しいなら、お金貰って来いよ！　ねぇ、お義母様。因果応報って言葉は貴女とイザベラの為にあるんですよ」

　そんな･･････なんでよ？　なにが、いけないの？　私は、どこで、間違ったんだろう。
あぁ、そうだ･･････ジェネシスに助けてもらえないかしら･･････

　そうよ！　ジェネシスは、私の子だわ。今こそ、あの子を取り戻そう！