転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組！だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業？それとも社畜？誰か助けて

124.探索訓練3

「おい、アルフレート。
この場合、黙ってないでお前が答えるべきだろ」
容赦ないラムデールの言葉に彼の顔が悪魔に
見えた誠一であった。

そして、しょんぼりと離れて座っているヴェルが
しっかりと聞き耳を立てているのが誠一には分かった。

誠一がまごついていると、背中から
心地よい匂いが漂ってきた。
誠一が背中に重みを感じると同時に
後ろから両腕が彼の前で交錯した。

「ちょぅ、キャロリーヌさん」

「何してるんですか。キャロリーヌさん。
駄目です、離れてください。
これじゃ休憩になりません」
シエンナは慌てて、誠一に
抱き着いているキャロリーヌを引き剥がそうとした。

「んんん？アル君は、気力充実したみたいだけど。
いやいや、精力かなぁ。ねえ、アル君」

彼女の表情は見られないが、
にやにやしていることだけは想像できた。
目の前のシエンナは、般若のような表情であった。

「ぐぐうっ、ライバルはリシェーヌだけと
思っていたけど、思わぬ強力な伏兵が！
歳上だからと思ってたけど、
アルもまんざらでもなさそうだし」
キャロリーヌから引き剥がしたアルを掴みながら、
ぶつぶつと呟くシエンナであった。

シエンナはキッとキャロリーヌを睨みつけた。
「キャロリーヌさん、はっきりとさせてください。
アルフレートのことをどう思っていますか？」

誠一は誰かこの会話を止めてくれと願い、
周囲を見渡すが、ヴェルは見て見ぬふりで
聞き耳を立てていた。
ラムデールは、話の展開に付いていけずに
呆然としていた。
ロジェは、キャロリーヌに代わり、
周囲の警戒をしているふりをしていた。

「そうねー好き嫌いで言えば、好きかな。
でもまあ、先に歳を重ねて、
老いる私を愛してくれるかしら。
今はリシェーヌとシエンナに
圧勝してるけど、数年後は逆転されてるかな」

数年後、大人びたリシェーヌと
シエンナは美しく魅力的になっているだろう。
しかし、キャロリーヌは更に大人の色気に
磨きがかかり、魅力的になっているだろうと
誠一は思った。
そのキャロリーヌを想像して、
生唾をごくりと飲み込んでしまった。

「くぅううぅ、心にもないことを！
でもはっきりとしました。
今は弟のように可愛がっているようですけど、
アルがもっと大人になったら、
それが愛と気づくパターンですね」
一体、どこでそんなベタなことを
学んだと誠一は心の中でシエンナに
突っ込みを入れずにはいられなかった。

「ちょっと、シエンナ。
変な恋愛小説に影響されすぎ。
今も彼は充分に魅力的。
好きと言うか気になる存在なだけー」

図星を突かれたのだろう。
シエンナの顔が真っ赤になり、
支離滅裂なことをあたふたと言っていた。