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167.閑話 とあるスーパーでの情景3

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「こんにちはー」

「おー昼間っから、アクセスしてとは、
千晴も立派なユーザに成長したのー」

「佐藤さんは、今、どの辺りにいるの?」

「テルトリアの魔物討伐でボスを倒したから、完了かな。
上位魔人とか言うのを倒したよ」

「えっ」「はっ」

二人が同時に書き込んだ。

恐らくモニターの前でも同じ言葉を
発していただろうと千晴は想像した。

「ないわー絶対にないわー。
テルトリア周辺にそんなの出る訳ないし。
そもそも千晴の愛しのアル君じゃ無理でしょ。
オーガとかトロル辺りと間違えてない?」
まず、莉々子が否定した。

そして、それに清涼も続いた。
「後で討伐情報でも見てみるよ。
ギルドに完了依頼出すでしょ。
そしたら、真偽の程が分かるから。
佐藤さんはまだ、あまり慣れてないから、
見間違えたんだよ」

頭から信じない二人に千晴は少しイラっとしたが、
あまりモンスターに詳しくないため、
その可能性もあるかもと思い、反論を控えた。
「それとね、オニヤとかいう侍風のNPCが
今、同行してるよ。
それが結構、むっつり系のスケベで笑えるし、
3本の刀を持っているとか重くないのかな」

「はっ」「えっ」

「何々、千晴、侍ぽいのをパーティーに加えたからって、
侍がみんな、オニヤって訳じゃないのよ」

「そうだよ。伝説の放浪者がそもそも何で
テルトリアにいるんだよ。
さっきから、適当なことを言い過ぎだよ。
正直、不愉快だね」

どうやら千晴の言動はヘビーユーザにとって、
面白くないようだった。

「千晴、そのオニヤって三本の刀を持っていたよね。
どんな技を使ったの?」
莉々子は少し気になったのか、
千晴から情報を引き出そうとした。

「技の名前は言ってなかったけど、魔人を両断したよ」

「ははーん。そう言うことね。
侍風のキャラが派手に魔物を両断したから、
ネットで検索して得た情報から、オニヤって思った訳ね。
佐藤さん、そういうの気を付けた方がいいよ。
粘着して、嫌がらせする輩もいるからさ」
清涼は自分の考えで納得したようだった。

全く信じて貰えずに何となく面白くない千晴だった。

「ちょっと、待って、清涼。
別のチャットルームで騒ぎになってる。
ってあれ!
これって、テルトリアのキャラ限定依頼のクリア情報だよ。
ちょっ、マジ。本当に上位魔人、討伐されるって。
なに、なんでオニヤが千晴のパーティにいるの?
なんでちょっと、なんでよ」

「おいおい、莉々子。落ち着けって。あり得ないって」
そう言うと、清涼は別のチャットルームを覗いた。
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