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197.北方戦役7
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バルコニーのダンブルの様子を
見ていたデカルドは、鼻で笑っていた。
「ふん、王の上に立つ白き英雄か。
それで皇の文字を新たな言葉に選んだのか。
それで皇帝とわな。くだらない字遊びだ」
「おおお、デカルド、お前、頭良いな。
俺は全然、分からなかったぞ。
でもまあ、上手く士気をあげたものよ」
感心するナサレノだった。
「そんなことはどうでもいい。
貰った金の分だけ働くだけだろうよ」
シャクマトは、短剣を弄びながら、
つまらなそうに言った。
「ダンブルの大盤振る舞いに冒険者は
かなりこちらに流れて来ているようだな。
貴族どもは、どうも爵位を誇るような
アホウしか集まっていないのが気になるが」
バルフォードが熱狂冷めやらぬバルコニーの方を
見ていた。
「そんなことは、どうでもいい。
俺は、フリッツを殺したいんだよ。
ついでに名のある奴らをぶち殺して、
誰が最強か知らしめてやりたいんだよ」
ナサレノは、飽きたのか、地下室に向かうと
言い残して、部屋を出た。
「また、罪人切りか。
あいつは、血を見ないと落ち着かないのか」
呆れたようにデカルドがナサレノを評した。
演説はまだ、続いていた。
「この地、グレートウォールを帝都とする。
この都を世界の中心として、世界に覇を唱える」
騎士団の熱狂は冷める事無く続いていた。
グレートウォールとヴェルトール王国の主城を
結ぶ街道の国境線の北関にドレルアン将軍を
中心とした王国軍が集結していた。
古来、北から主城に入る交通の要衝であり、
蛮族からの侵入を防ぐ軍事の要地であった。
しかし、今は、反乱軍からの侵攻を防ぐための
最大の要所となっていた。
ドレルアン将軍は、殿軍のアーロン卿、
レドリアン導師を迎え入れた。
彼等を慰労すると、今後について話を始めた。
「ここを拠点として、防衛戦を展開するのが上策だな」
ドレルアンの言葉に二人が呼応した。
「兵員と糧秣の補充、特に魔術師が必要でしょう。
反乱軍には魔物、蛮族、そして恐らく闇の勢力を
引き入れています。
兵数からして、籠城が得策かと、専守防衛に徹しましょう」
レドリアンが具体案を提示した。
「うむ、既に王都には、状況を伝えてある」
「アーロン卿、蛮族どもの力はどうだ?」
「はっ、個人の武勇としては、
侮れない力がありますが、統率がとれているかと言えば、
いかがなものでしょうか」
「アーロン卿が認める武勇はあるということか。
やれやれ、王都からの援軍を待って、反撃とするか」
ドレルアンは、その柔らかい言葉とは裏腹に眉間には、
青筋が立っていた。
見ていたデカルドは、鼻で笑っていた。
「ふん、王の上に立つ白き英雄か。
それで皇の文字を新たな言葉に選んだのか。
それで皇帝とわな。くだらない字遊びだ」
「おおお、デカルド、お前、頭良いな。
俺は全然、分からなかったぞ。
でもまあ、上手く士気をあげたものよ」
感心するナサレノだった。
「そんなことはどうでもいい。
貰った金の分だけ働くだけだろうよ」
シャクマトは、短剣を弄びながら、
つまらなそうに言った。
「ダンブルの大盤振る舞いに冒険者は
かなりこちらに流れて来ているようだな。
貴族どもは、どうも爵位を誇るような
アホウしか集まっていないのが気になるが」
バルフォードが熱狂冷めやらぬバルコニーの方を
見ていた。
「そんなことは、どうでもいい。
俺は、フリッツを殺したいんだよ。
ついでに名のある奴らをぶち殺して、
誰が最強か知らしめてやりたいんだよ」
ナサレノは、飽きたのか、地下室に向かうと
言い残して、部屋を出た。
「また、罪人切りか。
あいつは、血を見ないと落ち着かないのか」
呆れたようにデカルドがナサレノを評した。
演説はまだ、続いていた。
「この地、グレートウォールを帝都とする。
この都を世界の中心として、世界に覇を唱える」
騎士団の熱狂は冷める事無く続いていた。
グレートウォールとヴェルトール王国の主城を
結ぶ街道の国境線の北関にドレルアン将軍を
中心とした王国軍が集結していた。
古来、北から主城に入る交通の要衝であり、
蛮族からの侵入を防ぐ軍事の要地であった。
しかし、今は、反乱軍からの侵攻を防ぐための
最大の要所となっていた。
ドレルアン将軍は、殿軍のアーロン卿、
レドリアン導師を迎え入れた。
彼等を慰労すると、今後について話を始めた。
「ここを拠点として、防衛戦を展開するのが上策だな」
ドレルアンの言葉に二人が呼応した。
「兵員と糧秣の補充、特に魔術師が必要でしょう。
反乱軍には魔物、蛮族、そして恐らく闇の勢力を
引き入れています。
兵数からして、籠城が得策かと、専守防衛に徹しましょう」
レドリアンが具体案を提示した。
「うむ、既に王都には、状況を伝えてある」
「アーロン卿、蛮族どもの力はどうだ?」
「はっ、個人の武勇としては、
侮れない力がありますが、統率がとれているかと言えば、
いかがなものでしょうか」
「アーロン卿が認める武勇はあるということか。
やれやれ、王都からの援軍を待って、反撃とするか」
ドレルアンは、その柔らかい言葉とは裏腹に眉間には、
青筋が立っていた。
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