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211.閑話 とある女の休日の情景2
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盗賊は跪き、夜空に向かって、
祈り、否、悔恨の念を激しく申し立てていた。
『おおっ、神をお役に立てずに申し訳ございません。
この一命を捧げます故にお許しください』
地面に頭を打ち付けて、頭を垂れた。
「いや、いいから、さっさとその場から、
立ち去りなさい。いつも通り諜報活動をよろしく」
指示を出すと、盗賊はすぐさま立ち上がり、
最敬礼をすると、オニヤにこの借りは返すと言い残し、
闇に消えた。
最後までにやにやとするオニヤに
若干のイラつきを感じる莉々子であった。
そして、こいつに関わると碌な事にならないと思い、
オニヤに今後、関わらないことを心に誓った。
とあるチャットルームにて、清涼と莉々子が
情報交換をしていた。
「私は、アレには今後、関わらないわ。
あながちクラン壊滅の件もあり得る話だわ」
「確かにそれなりの実力はありそうだよな。
しかし、むかつく。搦手は藪蛇になりそうだな。
俺は敵対したら、あいつは、全力をもって、コロス。
絶対に殺す」
「まあ、気持ちは分からなくないけど、
実力の底は見えないでしょ。
本当に崩壊して、ゲームから撤退になりそうじゃない」
「ふん、あんなHRなんてもうどうでもいい。
それより、俺は、両陣営に冒険者を送り込んでる。
この戦乱がどう転がるにせよ国の中枢を握るぞ」
「はいはい、それで3連休はどうやらゲームで終わりそうね。
たまには外出しなさいよ」
「うるせよ。莉々子だって同じようなもんだろ」
「一人暮らししていると、それなりに
外出する機会はあるわよ。
千晴だって、それなりに外出しているわよ」
「あーむかつく。佐藤が余計な情報を
送って来るから無駄な時間を過ごしちまったよ」
「本人を前にすれば、さん呼びなのにね」
「ったく。
それより島崎のセクハラが鳴りを潜めてるけど、
本当に大丈夫かな。
あいつねちっこそだしな」
「さあ?
でもまあ、噂だと他部署の女性に
訴えられたとかどうとかで、会長の逆鱗に
触れたらしいってことしかね」
「まっ、どうでもいいか。
佐藤のお気に入りがどんなもんか、
ちょっと、いらない冒険者でも戦乱に乗じて、
けしかけてみるわ」
「あーでたえた。プレーヤーキルね。
あんまり感心しないわよ」
「おまえだって、愛しのアルフレート様が
どの程度か知りたいだろ。
動かすのは1チームだし、あとは金で雇う冒険者を
送り込むだけだよ」
「それって完全な逆恨みじゃん。ほっときなよ」
「違う違うって、少し調子にのってる佐藤に
このゲームの厳しさを先輩として、
少し教えてあげるだけだよ。
そもそもこのゲームを1キャラだけで
やっている方がおかしいだろ」
「まあ、千晴に気づかれないようにね。
あんた、千晴と会社でも同じフロアで
仕事してるでしょ」
画面の前に呆れた表情の莉々子であった。
「ああ、もちろんさ。
そんなヘマは、しないさ」
画面の前で薄笑いをしている清涼であった。
二人はチャットルームを退出すると、
また、各々ゲームの世界に戻っていった。
祈り、否、悔恨の念を激しく申し立てていた。
『おおっ、神をお役に立てずに申し訳ございません。
この一命を捧げます故にお許しください』
地面に頭を打ち付けて、頭を垂れた。
「いや、いいから、さっさとその場から、
立ち去りなさい。いつも通り諜報活動をよろしく」
指示を出すと、盗賊はすぐさま立ち上がり、
最敬礼をすると、オニヤにこの借りは返すと言い残し、
闇に消えた。
最後までにやにやとするオニヤに
若干のイラつきを感じる莉々子であった。
そして、こいつに関わると碌な事にならないと思い、
オニヤに今後、関わらないことを心に誓った。
とあるチャットルームにて、清涼と莉々子が
情報交換をしていた。
「私は、アレには今後、関わらないわ。
あながちクラン壊滅の件もあり得る話だわ」
「確かにそれなりの実力はありそうだよな。
しかし、むかつく。搦手は藪蛇になりそうだな。
俺は敵対したら、あいつは、全力をもって、コロス。
絶対に殺す」
「まあ、気持ちは分からなくないけど、
実力の底は見えないでしょ。
本当に崩壊して、ゲームから撤退になりそうじゃない」
「ふん、あんなHRなんてもうどうでもいい。
それより、俺は、両陣営に冒険者を送り込んでる。
この戦乱がどう転がるにせよ国の中枢を握るぞ」
「はいはい、それで3連休はどうやらゲームで終わりそうね。
たまには外出しなさいよ」
「うるせよ。莉々子だって同じようなもんだろ」
「一人暮らししていると、それなりに
外出する機会はあるわよ。
千晴だって、それなりに外出しているわよ」
「あーむかつく。佐藤が余計な情報を
送って来るから無駄な時間を過ごしちまったよ」
「本人を前にすれば、さん呼びなのにね」
「ったく。
それより島崎のセクハラが鳴りを潜めてるけど、
本当に大丈夫かな。
あいつねちっこそだしな」
「さあ?
でもまあ、噂だと他部署の女性に
訴えられたとかどうとかで、会長の逆鱗に
触れたらしいってことしかね」
「まっ、どうでもいいか。
佐藤のお気に入りがどんなもんか、
ちょっと、いらない冒険者でも戦乱に乗じて、
けしかけてみるわ」
「あーでたえた。プレーヤーキルね。
あんまり感心しないわよ」
「おまえだって、愛しのアルフレート様が
どの程度か知りたいだろ。
動かすのは1チームだし、あとは金で雇う冒険者を
送り込むだけだよ」
「それって完全な逆恨みじゃん。ほっときなよ」
「違う違うって、少し調子にのってる佐藤に
このゲームの厳しさを先輩として、
少し教えてあげるだけだよ。
そもそもこのゲームを1キャラだけで
やっている方がおかしいだろ」
「まあ、千晴に気づかれないようにね。
あんた、千晴と会社でも同じフロアで
仕事してるでしょ」
画面の前に呆れた表情の莉々子であった。
「ああ、もちろんさ。
そんなヘマは、しないさ」
画面の前で薄笑いをしている清涼であった。
二人はチャットルームを退出すると、
また、各々ゲームの世界に戻っていった。
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