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244.出陣4

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「結構な数のオーガがいるね。
ほんと、嫌なことを思い出させる」

「初等部の昇格試験では後れを取ったが、
あのランクのオーガなら、最早、俺の敵ではないっ」

「ヴェル、油断するな。腐ってもオーガ。
それに周りにはホブゴブリンに指揮されたゴブリンの群れ。
簡単じゃないよ」
素早く鑑定眼でオーガの能力を確認する誠一だった。
ランクが低い魔物たちであるが、油断できる相手ではなかった。

「アル!腐ってもって、腐ってたら、ゾンビだろ!
そんときゃ、僧侶を呼ぶべきだぞ」
ヴェルには本当に言語学の勉強を本気でして欲しいと
真に思う誠一だった。
肩透かしを食らった気分だったが、緊張気味だった誠一は、
良い感じで肩の力を抜くことができた。

「サンキューヴェル」

「何のことか分からないが、俺のハルバートが
戦いを求めてやがる。
こんな後方じゃなく、最前線に行くぞ!
アル、シエンナ、ついて来い!」
ヴェルは最前線までの導線を見定めると、
定番のフレイムチャージを繰り出した。
「うおおおぅー魔道槍兵、ヴェルナー・エンゲルスここにあり!
いくぞ、フレイムチャージ」

「ヴェル、称号は秘匿しなさーいい。対策されるわよ」
シエンナの叫び虚しく、ヴェルが連呼しながら、
ホブゴブリンを中心としたゴブリンの群れに突っ込んでいった。
毎度の事と思いつつも誠一も急いでヴェルの後を追った。
「シエンナ、僕が後を追う!うおおおぅーエアチャージィー」

「ははは、あの二人はどうなろうとも変わらずだね」
いつの間にかシエンナの隣にいるラムデールが馬上で笑っていた。

「あら、ラムデール!あなたは、追わないの?」

「流石に僕まで突貫したら、示しがつかないでしょう。
あのような無茶はあの二人だけで充分ですよ。
僕らの隊に課せられたことは、戦線を押し返すことですから」

シエンナはにやりとした。
その笑いに少し気圧されたような仕草をしたラムデールだった。

「学園で少しは学んだようね。
あの二人とはえらい違い!
でもまあ、小さく纏まらないようにね。
じゃ、私も行くから、後は上手くやっといてね」
杖を振り回して、近くの魔犬や魔物を撲殺しながら、
シエンナは誠一たちの後を追った。

そんな彼女の後姿を目で追いながらも
決して後を追うことはないラムデールが自嘲した。
「まったく勝手な事を言ってくれる」
課せられた役割が立場が違う。
ほんの少しだけ彼らの自由さを羨ましく思ったが、
その思いを断ち切るように首を左右に振ると、
課せられた使命を全うすべく動き出した。
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