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560.それぞれの思惑
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「むむっ。あれは中々、読むのに精神力を削られるわよ。
少しでも集中力を切らせば眠りに誘われるしね。
一種の呪いでもかかっているのかと思っちゃった。
物語としては最低で低俗な部類だったかな。
ただ、あの本からは当時の風俗、地理、世情を読み取れるわ。
挿絵も豊富だしね。あのジェイコブの先祖にしてはいい仕事したわ
まあでも許せいないのはあの貴重な資料にいたずら書きをした輩ね」
シエンナの止まらぬ作品の感想を聴きながら、
誠一はあの本を読破したシエンナの精神力に感心した。
そして、あの駄作から情報を読み取る力に驚きを隠せなかった。
「もうちょっとまじまじと見つめないでよ。
ただ彼の書いた時代と今の時代では
地理が随分と違っているはず。
知らない地名も結構、出て来たからね。
それをこれから魔術院の図書館で調べるつもり」
心底楽しそうな足どり軽く誠一の隣を歩くシエンナであった。
誠一は騙した感じでシエンナへ全面的にこの面倒事を
押し付けたことに引け目を感じてしまった。
「アルは魔術院に何の用?
学院長にバリーシャ女王からの褒賞の件を伺いに行くの?」
「あっうん、そうだね。学院長にその件を伺いに行く。
みんなが命を張ったのに僕個人の希望を伝えてしまって
本当に申し訳ないよ。
各々に褒賞が下賜されないとあの時、
知っていればみんなと相談して別のものにしたんだけどね」
事実、まさか褒賞が自分だけだとは思ってもいなかった。
そのため誠一はシエンナに申し訳なさそうに答えた。
「うーん、私は多分、アルと同じことを聞いたと思うし。
ヴェルはうーん、どうだろうアルに相談しただろうね。
キャロリーヌやロジェさんも基本的に
アルの希望を尊重するしね。
サリナは、どうだろうあのペンダントの
恩があるからああいった場では譲るでしょうね。
アミラは、ヴェルと一緒にいれば、それで満足って感じだし。
別に誰もどうこうって考えていないんじゃない」
納得していない誠一の表情を見て、シエンナは笑った。
「まったくもう、じゃーどこか美味しい料理店にでもみんなを招待して。
無論、アルの全額負担でね。それでこの話はお終いっ!」
シエンナの笑顔に誘われて、誠一も笑った。
「了解!どこかいい場所を探しておくよ」
そう誠一は伝えると少し気分が軽くなった。
魔術院の校舎に入ると二人は分れて、各々目的の場所に向かった。
少しでも集中力を切らせば眠りに誘われるしね。
一種の呪いでもかかっているのかと思っちゃった。
物語としては最低で低俗な部類だったかな。
ただ、あの本からは当時の風俗、地理、世情を読み取れるわ。
挿絵も豊富だしね。あのジェイコブの先祖にしてはいい仕事したわ
まあでも許せいないのはあの貴重な資料にいたずら書きをした輩ね」
シエンナの止まらぬ作品の感想を聴きながら、
誠一はあの本を読破したシエンナの精神力に感心した。
そして、あの駄作から情報を読み取る力に驚きを隠せなかった。
「もうちょっとまじまじと見つめないでよ。
ただ彼の書いた時代と今の時代では
地理が随分と違っているはず。
知らない地名も結構、出て来たからね。
それをこれから魔術院の図書館で調べるつもり」
心底楽しそうな足どり軽く誠一の隣を歩くシエンナであった。
誠一は騙した感じでシエンナへ全面的にこの面倒事を
押し付けたことに引け目を感じてしまった。
「アルは魔術院に何の用?
学院長にバリーシャ女王からの褒賞の件を伺いに行くの?」
「あっうん、そうだね。学院長にその件を伺いに行く。
みんなが命を張ったのに僕個人の希望を伝えてしまって
本当に申し訳ないよ。
各々に褒賞が下賜されないとあの時、
知っていればみんなと相談して別のものにしたんだけどね」
事実、まさか褒賞が自分だけだとは思ってもいなかった。
そのため誠一はシエンナに申し訳なさそうに答えた。
「うーん、私は多分、アルと同じことを聞いたと思うし。
ヴェルはうーん、どうだろうアルに相談しただろうね。
キャロリーヌやロジェさんも基本的に
アルの希望を尊重するしね。
サリナは、どうだろうあのペンダントの
恩があるからああいった場では譲るでしょうね。
アミラは、ヴェルと一緒にいれば、それで満足って感じだし。
別に誰もどうこうって考えていないんじゃない」
納得していない誠一の表情を見て、シエンナは笑った。
「まったくもう、じゃーどこか美味しい料理店にでもみんなを招待して。
無論、アルの全額負担でね。それでこの話はお終いっ!」
シエンナの笑顔に誘われて、誠一も笑った。
「了解!どこかいい場所を探しておくよ」
そう誠一は伝えると少し気分が軽くなった。
魔術院の校舎に入ると二人は分れて、各々目的の場所に向かった。
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