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673.氷竜18
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『そこの娘を起こせ』
ヴェルはアミラの頭を太腿に乗せると、
強烈気付け薬を口に含ませた。
「がっ」
短く叫ぶとアミラは目を覚ました。
アミラはすぐさまヴェルを振り解き、
その場を離れようとした。
しかし彼はそれを許さずにしかっりと
アミラを抑えつけていた。
アミラの瞳から涙が零れ、
涙が彼の瞳に映らないように顔を逸らした。
「アミラ、聞いてくれて。元の姿に戻りたいんだろう。
大丈夫だ心配するな。そこにいる氷竜が何とかしてくれる」
『霊峰氷山の主たる我、誓う。
その生をカスペール・アミラに捧げる。
我が主、アミラよ、我に名を授けよ』
その氷竜の言葉が白い雪が彩る世界に響くとアミラの姿は
次第に元に戻っていった。アミラは涙を拭って立ち上がった。
「カスペール・アミラはその誓いを受け入れる。
スケードという名を授けよう」
『スケードか、良かろう』
誠一はアミラを鑑定した。竜人(極)が竜人(小)となっていた。
そして竜騎士の称号が追加されていた。
つまりはそう言うことかと納得した。
竜人(極)は竜騎士の称号を得ることで竜人(小)に
抑えられるということか。
竜との絆がある限り竜人(極)は
余程の事がない限り発現しないと誠一は理解した。
竜と人との強い絆が死や別離によって引き裂かれた時、
強い感情が発露すると、ザルバードのように竜人(極)が
本来は発現するのだろう。今回のアミラの件は、余程、
稀なケースだったということか。
誠一は自分なりに納得すると、強い眠気が襲って来た。
キャロリーヌの太腿に後はよろしくと指でなぞり、目を閉じた。
「これはこれはまっこと珍しき場面に巡りあえたでござる。
しかし、ネーミングセンスはアミラ殿にはないでござるな。
一捻り欲しかったのだが、至極残念。
ポチとかチンとかもっとあるでござろうに」
満足そうな剣豪であった。
しかし、剣豪を見るマリアンヌの目は、
嫌なものでも見ている様な表情であった。
「目の前の奇跡の情景が貴殿の今の言葉で
台無しになってしまったよ」
そんなくだらない会話をよそにヴェルは
力強くアミラを抱きしめていた。
アミラはあわあわと慌てていたが、
ヴェルのしたいようにさせていた。
「馬鹿野郎、勝手に勘違いして、勝手に消えようとするな。
どこに居ようと俺の眼はお前を捕えて離さないからな」
力強い声でヴェルはアミラに伝えた。
続けて紡いだ言葉は、おどおどした様な遠慮気味な声だった。
「まあ、そのなんだな。
おまえに好きな奴ができて、
クランを離れるような事があったらな、
そのなんだ、その時は大丈夫だからな」
不満げな声でアミラは呟いた。
「むっ、そんなことは絶対にないです。
あたなの瞳が別の女性を捕えて離さない方が
心配なのです」
「なっ、そんな。痛って」
ヴェルが右腕で頭部を抑えた。
「はいはい、感動のシーンで申し訳ないけど、そろそろいいでしょ。
それよりそこのでか物どうるすのよ。それに竜の雫を入手しないと」
ヴェルトアミラはシエンナに話しかけられて、
周囲から集まる生暖かい視線に始めて気づいた。
そして、お互い真っ赤な顔ですぐさま二人は離れた。
ヴェルの背の蒼い炎はいつのまにか消えていた。
ヴェルはアミラの頭を太腿に乗せると、
強烈気付け薬を口に含ませた。
「がっ」
短く叫ぶとアミラは目を覚ました。
アミラはすぐさまヴェルを振り解き、
その場を離れようとした。
しかし彼はそれを許さずにしかっりと
アミラを抑えつけていた。
アミラの瞳から涙が零れ、
涙が彼の瞳に映らないように顔を逸らした。
「アミラ、聞いてくれて。元の姿に戻りたいんだろう。
大丈夫だ心配するな。そこにいる氷竜が何とかしてくれる」
『霊峰氷山の主たる我、誓う。
その生をカスペール・アミラに捧げる。
我が主、アミラよ、我に名を授けよ』
その氷竜の言葉が白い雪が彩る世界に響くとアミラの姿は
次第に元に戻っていった。アミラは涙を拭って立ち上がった。
「カスペール・アミラはその誓いを受け入れる。
スケードという名を授けよう」
『スケードか、良かろう』
誠一はアミラを鑑定した。竜人(極)が竜人(小)となっていた。
そして竜騎士の称号が追加されていた。
つまりはそう言うことかと納得した。
竜人(極)は竜騎士の称号を得ることで竜人(小)に
抑えられるということか。
竜との絆がある限り竜人(極)は
余程の事がない限り発現しないと誠一は理解した。
竜と人との強い絆が死や別離によって引き裂かれた時、
強い感情が発露すると、ザルバードのように竜人(極)が
本来は発現するのだろう。今回のアミラの件は、余程、
稀なケースだったということか。
誠一は自分なりに納得すると、強い眠気が襲って来た。
キャロリーヌの太腿に後はよろしくと指でなぞり、目を閉じた。
「これはこれはまっこと珍しき場面に巡りあえたでござる。
しかし、ネーミングセンスはアミラ殿にはないでござるな。
一捻り欲しかったのだが、至極残念。
ポチとかチンとかもっとあるでござろうに」
満足そうな剣豪であった。
しかし、剣豪を見るマリアンヌの目は、
嫌なものでも見ている様な表情であった。
「目の前の奇跡の情景が貴殿の今の言葉で
台無しになってしまったよ」
そんなくだらない会話をよそにヴェルは
力強くアミラを抱きしめていた。
アミラはあわあわと慌てていたが、
ヴェルのしたいようにさせていた。
「馬鹿野郎、勝手に勘違いして、勝手に消えようとするな。
どこに居ようと俺の眼はお前を捕えて離さないからな」
力強い声でヴェルはアミラに伝えた。
続けて紡いだ言葉は、おどおどした様な遠慮気味な声だった。
「まあ、そのなんだな。
おまえに好きな奴ができて、
クランを離れるような事があったらな、
そのなんだ、その時は大丈夫だからな」
不満げな声でアミラは呟いた。
「むっ、そんなことは絶対にないです。
あたなの瞳が別の女性を捕えて離さない方が
心配なのです」
「なっ、そんな。痛って」
ヴェルが右腕で頭部を抑えた。
「はいはい、感動のシーンで申し訳ないけど、そろそろいいでしょ。
それよりそこのでか物どうるすのよ。それに竜の雫を入手しないと」
ヴェルトアミラはシエンナに話しかけられて、
周囲から集まる生暖かい視線に始めて気づいた。
そして、お互い真っ赤な顔ですぐさま二人は離れた。
ヴェルの背の蒼い炎はいつのまにか消えていた。
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