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思いの綴り
ファーストコンタクト
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シェリルが巧と初めて出会ったのは彼女が6歳、彼が4歳の時の事である。
シェリルの実家であるコーラッド王家に巧の早川家が極秘裏に招かれ、ささやかながら宮廷で晩餐会が催される事となったのだが、その席上で巧は初めてシェリルと相対したのであった。
「・・・・・」
「・・・・・っ!!!!!?」
巧を見たその刹那。
シェリルの周囲の時間は一瞬にして凍り付き、感覚が世界を超越した、胸の奥底から電気が走ったようになり頭の中にハッキリと彼と共にバージンロードを歩く花嫁姿の自分が情景として浮かんだのである。
そしてその直後。
シェリルは何となくしかし、直感としてハッキリと感じ取ったのである、“自分は大きくなったらこの人と結婚するんだ・・・!!!”と言う事を。
もっともそれはそれとして、この時以降もシェリルは巧の事を殊更に追い求めたり特別扱いはして来なかった、“そう言う事もあるかも知れない”等と言う思いを密かに抱きつつ、時にはこの異国の少年の事を注視したり、また時には一緒に遊んだりして同じ世界を生きるように心掛けては来たのだが、それはあくまで異国の友人と言う関係を逸脱したモノでは無かったのだ。
ただし。
確かに巧と遊んでいる時は、彼女はその瞬間、その瞬間に夢中になれたし、忖度抜きにしてかなり楽しい一時を過ごす事が出来ていたのである。
それに。
巧はシェリルのする話を巫山戯たり茶化したりする事無く真面目に真剣に聞いてくれて、その都度自分の感想や考えを述べ立ててくれており、そこが今まで彼女の周囲にはいないタイプの人物でもあった。
「・・・ねえタクミ」
「何さ?シェリル・・・」
「タクミって優しいね・・・」
「優しい?なんで?」
「だって私の話を一生懸命に聞いてくれるじゃない?ちゃんと受け答えもしてくれるし・・・」
「えっ、なんでなんで?それって当たり前の事なんじゃないの!!?」
「・・・他のお友達はすぐに否定したり茶化したりするのよ?“お前の言っている事はお伽噺だ”とか“空想で物語を作っているんじゃないのか?”とか。酷い場合だと“偉そうにするな!!!”とか言って髪の毛を引っ張ったり抓ったりしてくる人もいるんだから!!!」
「なにそれ!!?酷いよ、そんな事するなんて。それに“真剣に話をする人のことを嘲笑ってはいけない”ってお父さんも言ってるし、僕もその通りだと思うよ?」
「・・・そうよね?よく考えたら本当に酷い人達だわ!!!」
“思い返したら腹が立って来ちゃった!!!”と怒り顔で掌を握り締めつつシェリルは言うが、それを見た巧は“シェリルって強いんだ”と思った、“女の子は大切にしてあげないといけない”と父から教わって来たのだが、シェリルは何だか人に守られるのが好きじゃないみたいにこの時の少年には感じられたのだ。
しかし。
「ねえタクミ・・・」
「何さ?シェリル・・・」
「これからも良いお友達でいてくれる?ちゃんと話し相手になってくれるかしら・・・」
「・・・うん、良いよ?僕で良ければ」
「本当に?約束よ、それでいざという時には私の事を守ってね?」
「・・・・・っ。う、うん。大丈夫!!!僕、ちゃんとシェリルの事を守るから」
「・・・本当に?」
「うん、本当に!!!」
「約束よ?絶対だからね!!?」
「うん、絶対に!!!」
「・・・大丈夫かしら?あなたは私よりも小さいし、何だか頼り無いのだけれど」
「ううん。僕、すっごい強いよ?毎日いっぱい修業しているからね。だから安心して良いよ?シェリル!!!」
「・・・ふふっ。そうなの?それじゃあ信じるからね?私のナイト」
「うん、僕。シェリルのナイトになる、どんな奴からでも必ず守ってあげるからね!!!」
そんな誓いを密かに立て合った二人であったがそれから僅か1年と少しの後に、たった一人で挑んだ迷宮の奥でこの時の約束を巧が果たしてくれる事になるとはシェリル本人も考えもしなかった、そしてその時を境にして彼女の彼を見つめる眼差しが徐々に変化して行く事になるのであった。
シェリルの実家であるコーラッド王家に巧の早川家が極秘裏に招かれ、ささやかながら宮廷で晩餐会が催される事となったのだが、その席上で巧は初めてシェリルと相対したのであった。
「・・・・・」
「・・・・・っ!!!!!?」
巧を見たその刹那。
シェリルの周囲の時間は一瞬にして凍り付き、感覚が世界を超越した、胸の奥底から電気が走ったようになり頭の中にハッキリと彼と共にバージンロードを歩く花嫁姿の自分が情景として浮かんだのである。
そしてその直後。
シェリルは何となくしかし、直感としてハッキリと感じ取ったのである、“自分は大きくなったらこの人と結婚するんだ・・・!!!”と言う事を。
もっともそれはそれとして、この時以降もシェリルは巧の事を殊更に追い求めたり特別扱いはして来なかった、“そう言う事もあるかも知れない”等と言う思いを密かに抱きつつ、時にはこの異国の少年の事を注視したり、また時には一緒に遊んだりして同じ世界を生きるように心掛けては来たのだが、それはあくまで異国の友人と言う関係を逸脱したモノでは無かったのだ。
ただし。
確かに巧と遊んでいる時は、彼女はその瞬間、その瞬間に夢中になれたし、忖度抜きにしてかなり楽しい一時を過ごす事が出来ていたのである。
それに。
巧はシェリルのする話を巫山戯たり茶化したりする事無く真面目に真剣に聞いてくれて、その都度自分の感想や考えを述べ立ててくれており、そこが今まで彼女の周囲にはいないタイプの人物でもあった。
「・・・ねえタクミ」
「何さ?シェリル・・・」
「タクミって優しいね・・・」
「優しい?なんで?」
「だって私の話を一生懸命に聞いてくれるじゃない?ちゃんと受け答えもしてくれるし・・・」
「えっ、なんでなんで?それって当たり前の事なんじゃないの!!?」
「・・・他のお友達はすぐに否定したり茶化したりするのよ?“お前の言っている事はお伽噺だ”とか“空想で物語を作っているんじゃないのか?”とか。酷い場合だと“偉そうにするな!!!”とか言って髪の毛を引っ張ったり抓ったりしてくる人もいるんだから!!!」
「なにそれ!!?酷いよ、そんな事するなんて。それに“真剣に話をする人のことを嘲笑ってはいけない”ってお父さんも言ってるし、僕もその通りだと思うよ?」
「・・・そうよね?よく考えたら本当に酷い人達だわ!!!」
“思い返したら腹が立って来ちゃった!!!”と怒り顔で掌を握り締めつつシェリルは言うが、それを見た巧は“シェリルって強いんだ”と思った、“女の子は大切にしてあげないといけない”と父から教わって来たのだが、シェリルは何だか人に守られるのが好きじゃないみたいにこの時の少年には感じられたのだ。
しかし。
「ねえタクミ・・・」
「何さ?シェリル・・・」
「これからも良いお友達でいてくれる?ちゃんと話し相手になってくれるかしら・・・」
「・・・うん、良いよ?僕で良ければ」
「本当に?約束よ、それでいざという時には私の事を守ってね?」
「・・・・・っ。う、うん。大丈夫!!!僕、ちゃんとシェリルの事を守るから」
「・・・本当に?」
「うん、本当に!!!」
「約束よ?絶対だからね!!?」
「うん、絶対に!!!」
「・・・大丈夫かしら?あなたは私よりも小さいし、何だか頼り無いのだけれど」
「ううん。僕、すっごい強いよ?毎日いっぱい修業しているからね。だから安心して良いよ?シェリル!!!」
「・・・ふふっ。そうなの?それじゃあ信じるからね?私のナイト」
「うん、僕。シェリルのナイトになる、どんな奴からでも必ず守ってあげるからね!!!」
そんな誓いを密かに立て合った二人であったがそれから僅か1年と少しの後に、たった一人で挑んだ迷宮の奥でこの時の約束を巧が果たしてくれる事になるとはシェリル本人も考えもしなかった、そしてその時を境にして彼女の彼を見つめる眼差しが徐々に変化して行く事になるのであった。
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