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思いの綴り

レウルーラの会合

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 巧がセントヘレナへとやって来て、そしてシェリルと再会してから早くも1週間が経とうとしていた。

 この間、2人は時間を見付けてはちょくちょく互いに水入らずで逢瀬を満喫していたのであり、ハグをしてからキスを交わす、と言うのが定番の流れになっていたのだ。

「ん、んんむ。んちゅっ、ちゅうぅぅ~。クチュクチュ、レロレロ・・・。チュ、チュパッ。ジュルルルッ、ジュルルルルルル~ッッ❤❤❤❤❤」

「ん、んん。チュ、チュルッ。レロレロ、クチュクチュ。チュパッ、ジュルル。ジュルルルッ!!!」

 まだまだ初心な恋人達ではあったけれども、巧もシェリルも“そう言う事”に対してはそれなりに興味を持っているお年頃であり、尚且つ互いに兄弟姉妹もいたモノだから、知識だけは色々と彼等から話を聞いたりして仕入れていたのである。

「ん、んちゅっ。ヂュルル~、ピチャピチャ。クチュクチュクチュ・・・。ちゅぷっ。ふうふう・・・っ!!!チュ、チュッ、チュルチュル。ジュルルル、ジュルルルルルル~ッッ❤❤❤❤❤」

 そんな2人がバードキスやディープキスをするようになるまでには、それほど時間は掛からなかった、それもシェリルからしたのではない、巧から彼女の唇を奪って舌を絡め、恋人王女の口内の性感帯を次々に刺激して行くようになっていった。

 まだ若い砌にも関わらず、波動整体や気功マッサージ等を熟練者レベルで極めていた巧はその技能を駆使して上手に早く、シェリルの感じるポイントや弱い部分を見極めては、そこを集中して責め立てていったのである。

「んんむ、んむんむんむむぅっ。ヂュルルル~ッ、ジュルジュル。ん、んむむっ。あああっ!!?はあはあ・・・っ♪♪♪♪♪プチュッ、クチュクチュクチュ、ブチュウゥゥ~ッ!!!んふぅっ。ふうふう・・・。ん、んんぶっ。ジュルジュル、ジュルルルルルルルル~ッッッ❤❤❤❤❤❤❤❤❤❤」

 大好きな彼氏からもたらされる、濃密な口付けの嵐にシェリルはすぐに意識を蕩かされてしまい、巧にメロメロになっていった、それに熱中するあまり鼻で呼吸をする事も疎かになって行き、口で気吹きをする羽目となる。

 やがて。

「ぷはああぁぁぁっ!!?はぁーっ、はぁーっ、はぁーっ。はああぁぁぁ・・・っ❤❤❤も、もうっ。タクミッたら激し過ぎぃ・・・っ♪♪♪♪♪」

「ふうふう・・・っ!!!あははっ。ゴメンね?シェリル。シェリルが可愛くてつい夢中になっちゃったんだ・・・」

 一頻り、接吻を堪能した巧が顔を離すと肩で荒く息を継ぎながらも名残惜しそうな表情を浮かべつつ恋人王女が彼氏を見つめた。

「ねえタクミ・・・」

「何さ?シェリル・・・」

「私のこと、好き?」

「そんなの、当たり前じゃないか。この世で1番大好きで、とっても大切な女の子さ・・・?」

「・・・・・ッッッ❤❤❤❤❤❤❤❤❤❤」

 シェリルの問い掛けに青年が穏やかな笑みを浮かべてそう応えるモノの、巧はとにかく優しくて、かつ暖かくて頼もしかった、その力強い両腕に抱かれて逞しい肉体に包まれる時にシェリルの胸はこれ以上無い程にまで高鳴り続けて、彼への気持ちが抑えきれなくなってしまう。

 しかし。

 それと同時に彼女は巧にある種の申し訳なさと後ろめたさを覚えて内心で葛藤するモノの、その訳とは。

 彼女が今現在、所属している“ある秘密の組織”にその原因があった。

「シェリル・・・」

「遅いぞ?」

 その日の深夜ー。

 巧との邂逅を終えて部屋に戻ったシェリルが一休みした後に気合いを入れ直して“聖壇”へと向かうとー。

 そこには既に8名の同志達が集結していて一番遅く来た彼女を叱咤するモノの、そんな“仲間達”の言葉に灼熱煌姫は“ごめんなさい”と返すと急いで彼女の玉座へと歩を進めて行ったが、“それ”があるのはここ“王立セントヘレナ学院”の地下10キロの岩盤の中。

 遙かなる古の時代に造られた秘密の神殿の奥底に眠っている“女王の玉璽”と呼ばれている神宝を裏から密かに守り支える純正姫騎士団“レウルーラ”の集会場である。

 古代ケルト語で“明星の乙女”を表すとされる、この選ばれたる女性騎士団の団長にして“灼炎の聖女”と呼ばれていたのが他ならぬシェリル・フィル・コーラッドその人だったのだ。

「今日の議題は他でも無い、新しく転入して来たニューフェイス。“タクミ・ハヤサカ”に関するモノだ・・・」

「シェリル、君のステディな彼氏についての議題だが・・・。私情はなるべく挟まないでくれよ・・・?」

「・・・・・」

 仲間達の言葉に、シェリルは思わず口を閉ざすが“彼女達”が結成されたのは、今からおよそ1,500年ほど前の事であり、ちょうど“クローヴィス王”や“アーサー王”が活躍していた時期と重なる。

 その頃、エウロペ連邦をはじめとして世界各国は“暗黒の時代”に突入していた、理由は神々を感じて共に歩む人々が減少して行き、代わって暴力と奸計とが猛威を振るう、極めて血生臭い状態に陥ってしまっていた為である。

 その為、神々の多くは地上を去って天界に帰還してしまい、地上は更に乱れに乱れる事となったがそんな中に於いても尚、神々の教えを守ってその精神を体現し、慎ましやかに生活を営む人々もごく少数だが残ってはいたのだ。

 そしてそんな人々の誠意と敬虔さに心を打たれた神々は彼等彼女に己の血肉を分け与えて祝福を授けると共に“何かあったら使いなさい”と言って自らの神力を最大限凝縮させた、幾つかの“神宝”を世界各地に残していってくれたのであるモノの、その中の一つこそが。

 シェリル達“レウルーラ”の守護する“女王の玉璽”こと“クイーン・オブ・レガリアス”であり、これを手に入れた者はどのような夢も意のままに叶える事が出来る上に、生きる事の苦しみさえも消え失せる、とされていたのだ。

「彼の事は、初日から見ていたよ。ランボルギーニを破壊した場面からな・・・」

「アスビョルンとの決闘も拝見させてもらった、中々興味深いモノだったな・・・」

「私とシェリルさんも見ていました。あの、ですけど・・・。私の見た感じでは悪い人ではなさそうですが・・・」

 シェリルの隣に座っていた青髪の少女が口を開いた、エレノアだ。

 彼女もまた“レウルーラ”の一員として昼夜を問わずに活動し、シェリル達共々“神宝”を守り続けていた。

「・・・タクミは。彼はとても優しくて良い人よ?みんなだって会えばきっと解ってくれる!!!」

「・・・シェリル。さっき私情は挟むなと言ったばかりだろうが!!!」

「そりゃあんたの気持ちは、解るけどさ?だけどまだ私達としては、あの転入生の本質を見極めちゃいないんだ。まあ確かに見た感じ悪人には見えないけどな?だけど一応は、用心はしておくにしくはないからな!!!」

「・・・・・」

 “タクミはそんな人じゃない・・・!!!”、周囲にいる仲間達の突き上げに、それでもそう応えてシェリルは険しい面持ちのまま厳しい視線を“彼女達”へと叩き付ける。

 “タクミに害を為そうとしたなら許さない”、そう言う意思表示であったが、覚悟と決意を秘めた彼女の眼光と表情はまさに凄絶であって、流石の“レウルーラ”の面々も思わず瞳を逸らした。

「・・・シェリル。そんなに怒るな」

「悪かったよ、許せ・・・?」

「・・・・・」

 漸く場の意見が落ち着いて来て、皆が恋人への追求を停止させた頃合を見計らってシェリルは少しずつ眼光を緩めて行ったがそれは彼女が巧には決して見せない顔であり、歴然の猛者として闘志が漲っていたのである。

「・・・ま、まあ彼についてはもう暫くの間はシェリルに任せておくとして。続いて最近活発化している魔物やモンスター共の退治方法だが」

 会議の内容が他のモノへと移り変わる中で、徐々に強張りを緩めて行ったシェリルであったが正直に言って彼女達は人間としては信用が置けるし、また能力も一般的な兵士や戦士に比較すれば飛び抜けて高かったが如何せん頭が固くて融通が利かない所があり、シェリルとしてはそれがちょっぴり心配であったのだ。

 もっとも。

 それは彼女とて同じ事だった、普段は仲間内でも物腰柔らかくて空気を読んだり、聞き分けの良いシェリルであったが特に巧の事となると俄然一歩も引かずに自分の意見を貫き通す程の頑固さを発揮して周囲をビックリさせていたのである。

 要はそれだけ、シェリルが巧本人の事や彼とのエピソードを大切にしている、と言う現れであったのだが、それがここに来て思いっ切り顕在化するようになって来ていた。

 そうだ、彼女は今やハッキリと、かつ明確に巧に“恋をしていた”訳であり、尚且つ“恋をして変わる女性であった”と言う事が言えたのだ。
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