八百長試合を引き受けていたが、もう必要ないと言われたので圧勝させてもらいます

海夏世もみじ

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第39話

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 昼下がり、空は快晴。
 そんな空から、一人の少女が。砂埃が開けると、そこには巨大なクレーターと人影が見える。

「カッカッカ! お主が儂の妹イアを誑かしておる男《おのこ》かぁ? 是非とも手合わせを願いたいんじゃがのう? できればボコボコにしたいものじゃ……!!」

 低身長で黒い軍服に軍帽を被る少女。赤髪と翡翠色の目はイアと同じだ。しかし、つり目とモフモフの髪が違いを物語っている。

「ん……アッシュ、私のお姉ちゃんは、
「そりゃ……戦いがいがあるってもんかな!」

 なぜこんな事態になったのか。それは今朝まで遡ることになる……。


###


 ルクスにとある提案をされた翌朝、彼から詳細を聞くことにした。

「ルクス、昨日言ってた件についてなんだが、詳しく説明してくれ」
「わかりました。まずですね、国にも、冒険者ギルドにもどこにも属さない職場なんて存在しません。なのでまずは、国にお願いをするところから始まります」

 まぁ確かに、どこにも属さない機関なんかそこら中にあったら無法地帯まっしぐらになってしまうからな。
 険しい道かもしれないか。

「お前の宿屋の二階で働くんだよな?」
「そうです」
「言っちゃえば『何でも屋』みたいなことをするんだよな?」
「おっしゃる通り」
「……銀髪パーマにするべきか……?」
「???」

 まぁとにかく、国に……もとい、王様に言うしかないってわけか。
 だが田舎から出てきたばかりのこの僕に会ってくれるなんてことはないだろう。ここは助けを呼ばなければな。

「イア? 昨夜会ったばっかりだけど、今から僕のところ来れるか?」
《ん、いいよ。今から向かうね》
「次は……。シエルお嬢様、今からお嬢様の父さんに会いたいんですが、許可もらえないですかね?」
《な、えッ!? い、言ってみるわ! ここここれって、親への挨拶……っ!!?》

 これで良し。勇者のシアンを呼ぶのも考えたが、あいつが来たら逆に面倒なことになりそうだったので却下した。
 イアがすぐに【空間転移テレポート】してきたので、かくかくしかじか説明をする。

「成る程、それなら色んなとこと精通できる。いい職場だね」
「まさか社長になるとは思ってなかったけどな……」
「料理人として私を雇うのもあり」
「いいね、それ」

 和気藹々と話をしていたが、善は急げだ。早速王様のところに向かうとしよう。

 イアと二人で街を歩いているが、やはり人気者ゆえに目立って視線が凄まじい。気にせず歩き続け、城の前まで到着した。
 門番の騎士に止められるが、イアの顔を見て驚いているようだ。

「あ、あの星空の魔女!?」
「何か重大なことでもあるのだろうか……」

 流石は有名人。顔パスが効きそうだ。
 だがこれではまだダメだ。多分もうすぐ、伝言役が来るだろうが……。

「伝言だ! アッシュという男が来るらしいから、そのお方を招待しろとのことだ!」

 時間ピッタシ。
 僕らは無事に門を通り抜け、城内に入ることが許された。

「初謁見だ。大丈夫かな」
「ん、心配ない」

 王の間に向かうため、長い長い廊下を歩いていると、見たことのある銀髪の少女が目に入る。
 発見すると同時に、この少女も僕を見つけてこちらに駆け寄ってきた。

「アッシュ! 久しぶりね」
「お久しぶりですお嬢様。急なお願い事を聞いていただきありがとうございます」
「ふふん、感謝しなさいよねっ。……えっと、ところでこの女の人って〝星空の魔女〟よね……?」

 シエルお嬢様はジトーッとイアのことを見つめており、何やら不満げな様子だ。

「ん、私はアッシュの。いずれ結婚して子を成すことを確定した女」
「ぶっ」
「な、なななっ!? どーゆーことなのよアッシュ!!!」

 顔を真っ赤にして僕の胸ぐらを掴んで揺らすお嬢様。
 イアは間違ってはいない。間違っていないんだが……面倒ごとに発展しそうだからこおでは言わないで欲しかった!
 そしてなぜドヤ顔をしているんだ、イア。

「所で、国王の娘はアッシュとどういう関係? 私の方が仲がいい。ね、アッシュ」
「え、僕に聞かないで……面倒ごとになるだろ……」
「わ、私はっ! 私も将来を誓い合った仲だけど悪いかしらっ!!?」
「……へぇ……」
「んッ!?」

 な、何を言いだすんだお嬢様! それと冷たいオーラを出さないでくれイア!
 バチバチと火花を散らす二人を、僕はハラハラしながら見守ることしかできない。

「ち、因みにだけど……私はアッシュと寝たことあるのよっ!」
「ふーん。私は3回寝た。しかもお風呂一緒に入った」
「なぁっ!? あっしゅぅ! 私を裏切ったのぉ!?」
「いや……別に裏切ってはいないと思いますが……」

 その後も、謁見なんて知らないと言わんばかりに謎の争いが繰り広げられるのであった。
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