文字の大きさ
大
中
小
161 / 500
9章
衝撃と混乱の
ニヴェスに急ぎめで走ってもらって王都を出発して一週間をすぎた。ようやくベヌグまであと半分ほど。
街には寄ってアーロンさんやブラン団長達とは手紙のやり取りをしているけど、村はスルーさせてもらっている。
ドナルドさんの情報によると、ガルドさんはベヌグの街の冒険者ギルドで簡単な依頼を受けているらしい。
アーロンさんや私の名前を出して留まってもらうかという話にもなったんだけど、助けてくれたのに勝手にいなくなった私に会いたくないかもしれないからやめておいた。
なんて聞こえはいいけど、本当は自分がショックを受けることを言葉にされたくなくて先送りにしたいだけ。
ちゃんと会えたら嬉しいけど、ダメそうだったら無事を確認してそっとしておこうと思う。
ただ、私のことをギルドに聞いたことを考えると、ガルドさん達も会いたいと思ってくれてるんじゃないのかな? なんていい方向に想像をしてしまう。
ネラース達に周りの魔物を狩ってもらっているため、道中で魔物と遭遇はしていない。グレンも〈体が鈍る〉とたまに狩りに出かけていた。
おかげで魔物のお肉は大量に在庫が増えている。
私は連日コテージに籠って料理と実験に精を出していた。
精霊の子に糸車を作ってもらえたのでスニーカーもできたし、炭も大量に作ってもらった。
もし、ガルドさん達と対面できたときに渡そうとお守りのネックレスも作った。
◇
お昼ご飯を食べたあと、コテージのキッチンで作業をしているとクラオルに改まって話しかけられた。
『ねぇ、主様。あの人達に会ったとき、ステータス見せるの?』
「ん?」
『前に確認のとき見せたでしょ? 本当に記憶を取り戻したって証明するために見せるのかと思ったんだけど……』
クラオルに言われるまでステータスのことはスッポリ頭から抜けていた。指摘されて思わずキッチンで野菜を洗っていた手が止まる。
「そう言われるとそうだね」
私のステータスには見せられないものも多い。鑑定されるならパパ達が隠蔽してくれている情報が表示されるだろうけど、自分で見せるとなったら話は別だ。見せるところを選択しなきゃ混乱させちゃう。
特に称号の“異世界転生者”なんて見せちゃいけないモノの代表だと思う。
「しばらくステータス見てないし、見せても大丈夫なものとダメなものの確認しないとだね」
『それがいいと思うわ』
魔物も倒してたからレベルも上がってそう。前に一度確認したときもレベルが高かった。どうなっているんだろうか……
リビングのソファに座って、深呼吸した後ステータスを開いてみる。
┏【ステータス】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
【名前】 セナ・エスリル・ルテーナ
【種族】神人(*隠蔽中)
【年齢】5歳
【職業】Cランク冒険者・行商人
【レベル】208(*隠蔽中)
【状態】健康
【ユニークスキル】(*隠蔽中)
看破
無限収納EX
全言語理解
特殊隠蔽
音楽再生
【スキル】(*隠蔽中)
・水魔法500・風魔法500・氷魔法488・雷魔法474・光魔法412・闇魔法318・無魔法356・空間魔法452・火魔法250・土魔法250・草魔法250
・付与422・鍛冶361・木工491・採掘102・解体250・家事462・直感389・察知354・索敵428・探査322・隠密399・結界427・魔力精密制御439・夜目287・薬学360・錬金術426・身体強化407・意思疎通368・使用魔力減少319・メモリー401・念話408・歌唱398・演奏321・武器術293・武闘術262・自然回復306
【耐性】(*隠蔽中)
状態異常耐性500・精神耐性500・物理攻撃耐性500・魔法攻撃耐性500
【従魔】・ヴァインタミア→クラオル
・エキュルスタミア→グレウス
・スピーアスパイダー→ポラル
・古代龍(赤龍)→グレン
・ザラムパルドゥス→ネラース
・グレッチャジャマド→アクラン
・不死鳥→ルフス
・フェーリスウールヴ→ニヴェス
・ミノタウローナ→シュティー
・サテュロナ→カプリコ
【契約精霊・妖精】・元精霊王→エルミス
・元精霊王→プルトン
・精霊帝→ウェヌス
・ブラウニー→キヒター
【称号】(*隠蔽中)
・異世界転生者
・パナーテルの愛を受け取りし者
・神を土下座させた者
・アクエスの愛娘
・エアリルの愛娘
・イグニスの愛し子
・ガイアの愛し子
・ヴァインタミア族の英雄
・神達に愛されし者
・精霊に愛されし者
・癒しのマスコット
・ラブハンド
・天災級魔獣の討伐者
・キアーロ国の救世主
・女神と呼ばれし者
・家族を愛し家族に愛される者
・弱き者の味方
・魔物大量発生ダンジョン踏襲者
・稀代の発明家
・食の伝導者
・○☆$!#*?&
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
「な……」
『な?』
「ななななんじゃこりゃあぁぁぁぁ!!!!」
コテージに私の絶叫が響き渡った。
まず長い! 称号多すぎ! 最後の文字化けって何なの!? ツッコミどころありすぎでしょ!
《セナちゃん!?》
《主!》
〔ゴシュジンサマ〕
私の叫び声を聞いて各々コテージ内で過ごしていた精霊達とポラルが駆けつけてくれた。
《大丈夫!?》
《何があった?》
〔ゴシュジンサマ?〕
『問題ないわ』
「ごめん。久しぶりにステータス見たら驚いちゃっただけ」
私が謝ると、三人とも安心したのか戻っていった。お騒がせして申し訳ない。
今度は叫ばないように気を引き締めつつ、ちょっとでも落ち着くようにとグレウスをモフモフしながら見てみる。
「ねぇ、クラオル。このステータスおかしいよ?」
『何がおかしいの?』
「まずレベル高すぎ」
『何言ってるのよ。いくつかは知らないけど、主様が倒してきた魔物と魔獣の数と種類考えてみなさい』
倒した魔物と魔獣……何倒したっけ?
前回ステータスを見たのはカリダの街で保護されてすぐ。それ以降に倒したのを思い出さなければ。
(まず、ピンクオークでしょ? 次がデカ蜘蛛と子分蜘蛛……あ! ウツボか! あれレイドボスっぽかったもんね。あとはダンジョンか……スライムと……この前の魔物大量発生でオークもそうだしボスも特殊っぽかったもんね……)
「あぁ……ちょっと納得したかも」
『主様、すぐ無理して一人で戦おうとするんだから! ワタシ達を頼って欲しいわ!』
「めっちゃ頼ってるし、クラオルとグレウスは私の癒しだよ?」
今現在ネラース達に狩ってもらってるし、普段私がやってることと言ったらみんなのご飯を作るくらい。
あれ? むしろみんなに甘えすぎじゃない?
『主様? なにか変なこと考えてない?』
「え? イヤダナー。考えてないよー。さ、他のもちゃんとチェックしないとね」
ジト目で見てくるクラオルから視線を外して話題を変えさせてもらった。
「ユニークスキルは変わってないし、スキルは……って、えぇ!?」
『今度はなぁに?』
「なんか火魔法と土魔法と草魔法が載ってるんだけど!」
『あぁ、それは神達が主様に加護付けたからよ。やっぱり気付いてなかったのね』
「知らなかったよ……いつの間に……言ってくれればいいのに……」
『ビックリさせたかったみたいよ。そういう意味では成功したわね』
「驚いたなんてもんじゃないよ」
自分でできるならみんなに頼まなくても自分でできたじゃんか……
『みんな主様の役に立ちたいんだから、全部一人でやっちゃったらワタシ達泣いちゃうわ』
「え!?」
『主はもうボクいらないですか?』
「そんなワケないでしょ? クラオルもグレウスも離れたら寂しいよ。二人が望むなら……いや。多分っていうか絶対耐えられないからバイバイなんかヤダ」
『ふふっ。嬉しいわ』
『ボクも離れたくないですっ』
おなかにグリグリと体をこすりつけてくる可愛い二人をモフモフしまくって堪能させてもらう。
満喫させてもらってからステータスの続きを見ていく。
スキルはスキルレベルが上がってるくらいっぽい。前の数値を覚えてないから比較できないのが大きい。
(スキルは変なのなさそうだよね。従魔も精霊も。ネラース達の種族名初めて知ったけど、ルフス不死鳥だったのか……まぁ、この辺は今さらすぎるから気にしなくてもいいかな? ルフスが不死鳥だとすると、ネラース達の種族も特殊っぽくて知るのが怖い……)
「問題は……称号だよね……パパ達の加護が“愛娘”になってるし、イグ姐とガイ兄は“愛し子”だし……可愛がってくれてるのはありがたいしわかるけど、“神達に愛されし者”って内容ダブってない?」
『それだけ神達に気に入られているってことだと思うわ』
私の何がそんなに気に入ったのかがわからないんだよね。パパ達のスキルのおかげで楽に生活してるし、かなり自己中に動き回ってるのに……あ! 料理かな? 食べたことないもの私が作るから。
「私もパパ達好きだから嬉しいんだけどね。私もいつかちゃんとパパ達の役に立てたらいいな。それまでは料理頑張らないとね!」
『(また主様ったら勘違いして……)』
「って言うか、ラブハンドと癒しのマスコットって何? マスコットってマスコット人形? 愛の手って意味わかんない」
『神達が癒されるって言ってたからじゃない? 手は、主様に撫でられるの気持ちいいからワタシ好きよ?』
そういえばブラン団長とかも言ってた気がする。お疲れな気分の問題かと思ってたけど、ちゃんと効能があったのか!
手も……グレンが撫でられるの気に入ったのってこれのせいじゃない?
「女神と呼ばれし者って絶対キヒターのせいじゃんか……発明家とか食の伝導者とか……もうつっこむ気も起きないよ。でも、最後の文字化けが謎すぎる!」
『なにそれ?』
「見る?」
『いいの?』
「もちろん! クラオルとグレウスだからね」
二人にステータスを全部開示すると、二人とも首を傾げた。
前のハテナ一色とは違ってこの文字化けは何か意図があるのかな?
クラオルがガイ兄に聞いてくれたんだけど、「私もわからないけど、そのうちわかるだろうから気にしなくて大丈夫」って言われたらしい。
そんなんでいいの!? 変なのじゃないよね!?
「とりあえず、他の人に見せるときは名前と年齢だけにしておく……」
『そうね。職業も人によってはランクに触れてきそうだから、それがいいと思うわ』
野菜を洗っていたことも忘れて、グレンから〈今日のご飯はなんだ!?〉と念話が飛んでくるまで、ソファでクラオルとグレウスをモフモフしていた。
感想 1,821
あなたにおすすめの小説
「子を産めない妻はいらない」と離縁されたので、七人の孤児がいる辺境伯家に嫁ぎます~なぜか全員に懐かれました
ゆぷしろん「子を産めない妻はいらない」
七年尽くした夫にそう告げられ、伯爵夫人アメリアは若い愛人にすべてを奪われた。
手元に残ったのは、わずかな生活費と母の形見だけ。居場所を失った彼女のもとへ届いたのは、北の辺境伯グレンからの求婚状だった。
そこに記されていたのは、前夫が一度も見ようとしなかったアメリアの功績。求められたのは跡継ぎを産む妻ではなく、戦争で荒れた領地と屋敷を共に守る伴侶だった。
だが、嫁ぎ先で待っていたのは、親を失い心に傷を抱えた七人の孤児たち。
反発する少年、言葉を閉ざした幼子、飢えを恐れる少女。アメリアは叱るのではなく、一人ずつ寄り添っていく。
やがて子どもたちは彼女を「かあさま」と呼び始める。
そんな幸せを取り戻しかけたある日、彼女を捨てた前夫が再び現れて――。
捨てられた三歳の聖女ですが、辺境伯家に拾われたら家族全員が過保護でした
由香神殿で無能と決めつけられ、三歳で捨てられた少女リリア。
辺境伯家に保護された彼女は、厳つい辺境伯やお兄様たち、領民にまで溺愛されながら幸せな日々を送ることに。
けれど実はリリアは、数百年に一人現れる伝説級の聖女だった。
これは捨てられた幼女聖女が、たくさんの愛に包まれながら成長していく物語。
絆の糸が見える幼女は、辺境伯家の宝物になりました ~捨てられた私が本当の家族を見つけるまで~
由香雪山に捨てられた三歳の幼女リリアには、人と人を結ぶ「絆の糸」が見える力があった。
実の家族から伸びる糸は途切れそうなほど細い。
けれど、冷血辺境伯と呼ばれるアレクシスから伸びる糸は温かな金色に輝いていた。
前世では孤独だったリリアは、辺境伯家で初めて家族の愛を知る。
これは捨てられた幼女が、本当の家族の宝物になるまでの心温まる物語。
お飾り継母のはずでしたが、冷酷侯爵家の幼女たちが離してくれません
五十嵐紫義母と異母妹に虐げられながら生きてきた子爵令嬢セシリアは、ある日突然、“氷の侯爵”と恐れられる辺境侯爵レオンハルトへ嫁ぐことになる。
それは愛のない政略結婚——のはずだった。
けれど侯爵家で待っていたのは、冷たい侯爵ではなく、母を亡くして寂しさを抱えた幼い姉妹だった。
「……おかあさま、いなくならない?」
夜泣きをする次女ミーナ。
無理に大人びようとする長女リリア。
セシリアは戸惑いながらも、温かな食事を作り、小さな手を握り、少しずつ姉妹との距離を縮めていく。
やがて冷え切っていた侯爵家に、笑顔とぬくもりが戻り始める。
しかしその裏では、亡き前妻の死にまつわる秘密と、侯爵家を狙う陰謀が静かに動き出していた——。
これは、“お飾りの継母”として嫁いだ女性が、不器用な侯爵と幼い姉妹に愛されながら、本当の家族になっていく物語。
悪役令嬢の幼女時代に戻ったので、お兄様を救います ~断罪回避より家族優先です!~
由香断罪され、すべてを失った悪役令嬢ルシア。
死んだはずの彼女が目を覚ますと、そこは五歳の頃の世界だった。
今度こそ病弱なお兄様を救い、家族の破滅を回避したい!
幼女になった元悪役令嬢が、前世の知識を武器に運命へ立ち向かう家族愛たっぷりの逆行ファンタジー。
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
最強の魔王ですが、転生したら公爵家の愛され幼女でした ~平和に暮らしたいだけなのに、家族も王子様も聖獣も過保護すぎます~
由香かつて世界を統べた最強の魔王。
長き眠りの果てに目覚めると、公爵家の五歳の令嬢リリアーナへと転生していた。
今度こそ平穏な人生を送ろうと決めたのに、父も母も兄たちも超過保護。
さらには王子や聖獣まで集まり始めて……?
本人は世界最強なのに、なぜかみんなに守られてばかり。
愛され幼女が巻き起こす、勘違いだらけのほのぼのファンタジー!
旦那様には好きな人がいる
えくれあ私の旦那様である、テオドール・セルヴァン侯爵様には好きな人がいる。
それは、幼馴染であり、王太子妃でもあるマチルダ様だ。
お二人は、いつもとても仲睦まじいご様子で、そんな叶わぬお二人の恋をそっと見守るのが私の日常だった。
そんなある日、夜会にめったに顔を出さない王太子殿下に、ダンスに誘われて。それがきっかけで、私の日常は少しずつ変化し始めた。