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愛は変態を助長させる

20:どこで愛し合うか、は問題?

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 真翔さんは僕の身体を一旦、
コタツの上におろした。

ここでも抱かれたことがあるので
僕は抵抗なくコタツに座る。

本当は行儀が悪いことなんだろうけど
もう慣れてしまった。

このアパートは狭いから
僕はこの部屋のいたるところで
真翔さんに抱かれたことがある。

玄関や廊下や、このコタツの上、
もちろん寝室でも。

キッチンではさすがにないけれど、
キスは何度もした。

真翔さんは僕が脱ぎ落したワンピースを持ち、
それをキッチンの椅子の背に掛けてくれた。

こことキッチンまでは、
真翔さんの長い脚だとほんの数歩だ。

「これでいいか?」

僕は頷く。

けれど真翔さんは僕のそばに戻らずに、
じっと僕を見た。

「真翔さん?」

「あ、いや、その」

真翔さんは頬を赤くして
僕から顔を背けた。

そんな様子が、真翔さんらしくなくて。
僕は真翔さんの所に行く。

「ごめん、ちょっと酔ってるみたいで」

僕がキッチンまで行くと、
真翔さんはそんなことを言う。

「冷たい水を飲みますか?」

あの店で真翔さんは
あまり飲んでないと思ったけれど、
もしかしたらアルコール度数が
強いお酒を飲んでいたのかもしれない。

僕が冷蔵庫を開けようとすると、
真翔さんは、違うんだ、と
僕の手を掴んだ。

僕が真翔さんを見上げると、
顔を赤くした真翔さんの
唇が僕の首に触れる。

「ここで……悠子ちゃんを
抱きたいって思って」

ここで?

ここ?

キッチンで、ってこと?

頭にハテナマークが飛び交う。

「その、悠子ちゃんが
ここで料理をする姿を見るのが
俺は大好きで……悠子ちゃんの
手料理も好きで。

だから、大好きな悠子ちゃんが
俺のために料理してくれる
ここで、悠子ちゃんを
抱きたいって……って、
何言ってんだ、ごめん。
やっぱり酔ってて……」

真翔さんが早口でそんなことを言う。

僕はその意味を考えて、
嬉しさと恥ずかしさに、
急に体温が熱くなった。

それって、真翔さんが僕のこと
大好きってことだよね?

僕も真翔さんのことが、好き。

なら、いいのかも。

キッチンで、なんて
倒錯的な気がするけれど、
真翔さんがここでしたいのなら、
ベットに行く必要は無いと思う。

ベットも狭いし、
真翔さんを感じることができるのなら
僕はどこでも、いい。

「いいですよ、ここで」

僕は真翔さんを見上げる。

「僕も、真翔さんが大好きだから、
真翔さんを今すぐ、感じたい」

僕の言葉に、真翔さんが目を見開き、
すぐにとろけるような顔になる。

「嬉しい」

真翔さんが僕に口づけた。

僕は冷蔵庫に背中を預けて
真翔さんの唇を受け止める。

僕はワンピースを脱いでいたから
すでに下着しか身に付けていない。

真翔さんの指が僕の胸に触れ
下着の中に指を潜り込ませた。

僕は他人が怖かったし、
悠子ちゃんも同じだと思う。

だからこの体は真翔さんが
触れるまでは、誰も触れなかったし、
真翔さんが最初に触れた時も
体はこわばっていた。

でも今は違う。
触れられるのが嬉しいし、
真翔さんに触れられるとすぐに
体の力が抜けていく。

真翔さんの指の動きで、
自然と下着のホックが外れ
僕の胸があらわになる。

真翔さんは胸の谷間に
顔を寄せるとそのまま突起に吸い付いた。

「ふ……ぁ」

僕は思わず声を漏らす。

真翔さんに求められていると
思うだけで、僕は体が疼き始めた。

「ここ、すぐに固くなるように
なったよね」

真翔さんが胸の突起をつつく。

「可愛いよ」

「あ、……ひっぱらないで……」

恥ずかしい。
恥ずかしいけれど、やめて欲しいわけではない。

「それに、ここも」

真翔さんの指が、僕の足の付け根へと延びる。

閉じていた太ももの間に手を入れて、
優しく僕の足を開かせると
真翔さんはその奥に指を伸ばした。

真翔さんは布地の上から、
何度も、何度も、形を確かめるように
執拗に指でなぞる。

「濡れてきたね。
ほら、ここも飛び出してきた」

つん、と突かれたが、
僕は突然の刺激に、思わず真翔さんにしがみつく。

「ここは感じるところだから、
ゆっくり触ろうか」

真翔さんは言いながら
また下着の上から指を這わしてくる。

「濡れてるから、ほら、わかる?
俺の指が、入ってしまいそうだよ」

言われなくても、
僕の身体の入り口に真翔さんの
指の感触がする。

けれど、下着があるからだろう。
入口あたりに触れられている感覚はあるが
指は中まで入ってこない。

甘い痺れがじれったいような、
けれど続いて欲しいような、
奇妙な感覚に陥る。

真翔さんは布地の上から
何度も僕の秘所を擦りながら、
胸の突起を口に入れた。

僕は膝がガクガクする。

「可愛い」

真翔さんの甘い声がする。

「悠子ちゃんの可愛い姿、
もっと見せて?」

そう言ったかと思うと、
真翔さんは僕の下着をずらして
直接僕の秘所に触れて来た。

「キモチイイ?」

入口付近を執拗に擦られ、
真翔さんのゴツゴツした指が
僕の体内に入ってくる。

「狭くて、熱いね」

僕は立っていられなくなってきて、
真翔さんの腕にしがみついた。

「まだ、大丈夫?」

何が?と思ったけれど
僕は曖昧に頷いた。

すると、突然、真翔さんの指が
僕の身体の奥まで、グイ、ッと押し込まれた。

「ーーーーっ」

僕はビックリして思わず体に力が入る。

「今、きゅっと、俺の指を
締め付けたの、わかった?」

なんて言われたけれど、
僕は首を振るばかりだ。

真翔さんの指は長くて、
僕は体から力が抜けそうになる。

でも、足の力を抜くと、
真翔さんの指が深く体に突き刺さるようで
僕は必死で真翔さんの腕を掴み、
そしてすぐそばのテーブルに手を付いた。

「もっと、指を増やしてもいい?」

真翔さんの声は、あまい。
けれど、酔っているからだろうか。

いつもの真翔さんとは違って
何故か強引な、拒絶できない雰囲気がする。

もっとも僕が真翔さんを
拒絶するなど、絶対にないのだけれど。

でもさすがに声に出すのは恥ずかしくて
小さく頷くと、真翔さんは
とても嬉しそうな顔をした。





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