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愛は変態を助長させる

54:初エステ

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 ホテルの部屋に
大興奮していたら
綾子さんから連絡が来た。

ホテルのエステと
プールの貸きり予約が
出来たと言う。

僕はその旨を
真翔さんに伝えて、
財布だけ持って
ホテルのフロントに向かった。

綾子さんの話では
すぐにエステの予約ができて
その後、すぐにプールに
行けるらしい。

僕の話に真翔さんは
妙な顔をしたような
気がしたけれど
何も言わなかった。

フロントに行くと
綾子さんと先輩さんが
すでに待っていてくれた。

綾子さんは先輩さんと
真翔さんに、時間が来たら
先にプールで待っておくように言う。

ほんと、女王様みたいだ。

真翔さんは心配そうに
僕を見ていたけれど
綾子さんは
「悠子は私が可愛がってあげるのよ」
なんて言って、
僕の手を引く。

僕もやっぱり綾子さんには
逆らえなくて。

真翔さんに、またあとで、
と小さく言って、
綾子さんとホテルの
エレベーターに乗った。

なんでもホテルの3階に
女性向けのフロアがあるらしい。

綾子さんは慣れた様子で
僕の手を引き、
エレベーターを降りた。

「こっちよ」

言われるままに
廊下を歩くと、
すぐに白衣を着た女性たちに
出迎えられた。

ここがエステらしい。

僕、こういうの
初めてなんだけど、
大丈夫かな。

僕がおどおどしながら
お店に入ると、
綺麗な女の人が来て
「本日の施術を
担当させていただきます」と
名前を名乗ってくる。

「じゃあ悠子、あとでね」

と綾子さんはそのまま
いなくなってしまうし、
僕、いったいどうしたら……?

「お嬢様はこちらへ」

とスタッフの人が
僕をベットが1つだけある
小さな部屋に案内してくれて
服を脱いで下着を
履き替えるように言った。

渡された下着は
紙でできていて、
これを履くの?と思ったけれど。

もちろん、僕には
その疑問を口にする勇気はない。

言われるがまま
下着を履き替えて、
服を小さなテーブルの上の
かごの中に入れる。

ベットにうつぶせになるように
言われていたので
僕はベットに寝転がった。

寝るためのベットではなく
施術用のベットなのだろう。

ちょっとだけ狭い。

僕が横になると
すぐに女性の声がして
部屋の中に入って来た。

「全身コースをご予約いただいておりますが
それでお間違いはなかったでしょうか」

なんて言われるけれど
僕は「はい」しか言えない。

だって何も聞かされてないんだもん。

「では、はじめさせていただきますね」

と、スタッフの女性は
僕の背中に大きなタオルを乗せて
肩からゆっくりと僕の身体を
解していく。

気持ちがいい……。

気が付くと、
いつのまにかバスタオルが
無くなっていて、
背中にあたたかいオイルが
垂らされ、まんべんなく背中に塗られる。

「痛いところがあれば
おっしゃってくださいね」

なんて言われたけれど。
驚くほど気持ちが良かった。

背中だけでなく、
腕も、足も、お尻まで
オイルで丁寧に揉んだり、
こすったり。

僕はリンパマッサージと
言うのだと教えてもらい、
老廃物が溜まっている場所は
痛みがあるのだと言われたが
幸い、僕は痛いと
思う場所はなかった。

仰向けになったら
胸の所だけはタオルで
隠されたけれど、
スタッフさんは遠慮なく
僕を全身、オイルまみれにする。

胸もタオルの下に
手を差し込まれて
マッサージされたけれど、
スタッフさんは真剣で
僕は恥ずかしがる暇もなかった。

全身のマッサージが終わったら
僕は体のオイルをタオルで
拭かれ、今度は頭に
オイルを垂らされた。

このまま頭皮もマッサージ
するのだという。

もう、僕このまま寝てもいいかな?

体中の力が抜けて
布団の中に潜りたくなってくる。

「お疲れさまでした」

スタッフさんの声に
僕は、はっと目を開けた。

思わずうとうとしてしまった。

「この後はシャワーを
浴びていただいて終了となります」

スタッフさんは
僕の背中に手を添えて
ベットから体を起こすのを
手伝ってくれた。

「ありがとうございます」

僕はお礼を言って
シャワールームに案内してもらうと
そこには綾子さんがいた。

「悠子、どうだった?」

「物凄く気持ちよかったです」

「でしょう?」

綾子さんは得意そうな顔をする。

「さぁ、早くシャワーを浴びてらっしゃい」

「はい」

「この後はプールよ」

プール。
大丈夫かな。
僕、寝ちゃったりしないだろうか。

僕は急いでシャワーを浴びて
オイルを洗い流す。

シャワーを出ると、
紙の下着を捨てるゴミ箱と
僕の着替えが入った服。
それとタオルがすでに
準備してある。

僕は体を拭いて
大急ぎで着替えた。

着替えてすぐに
シャワールームを出ると
綾子さんが待っていてくれて
パウダールームに連れて行ってくれた。

髪の毛をここで乾かしたり
お化粧したりするらしい。

僕たちがパウダールームに行くと
このお店のスタッフさんとは
また別の制服を着た女性たちが
僕たちを待っていた。

「お待ちしておりました」

その声に綾子さんに頷くと
「見せて頂戴」という。

「急ぎ御用しましたが」

と制服を着た女性が
もっていたのは水着だった。

「悠子、どれがいい?」

3人の女性たちが
それぞれ2つづつ
ハンガーにかかった水着を
手にして僕に見せてくる。

全部で6種類だ。

どれも体を覆う面積が
少ない気がするのは
気のせいだろうか。

女性の水着って、
下着よりも布面積が少ないものなの?

「一人じゃ決めれない?
そうねぇ。
じゃあ……その端のがいいわ。
ピンクで、背中にリボンが付いて
可愛らしいし。

ビキニじゃないのが
残念だけど、
パニエと一体型も悠子にはきっと似合うわ」

パニエってなに?

わからないけど、
綾子さんが示してくれたのは
6着の中で一番、布面積があって
身体が隠れる水着だった。

それだけで僕はもう満足だ。

僕はなんども、
それにしますと大きく頷いた。




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