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第八話 シルヴィア、魔王と結ばれる
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シルヴィアとその両親が魔族の拠点に逃れてきて、それなりの月日が流れた。
(また胸が膨らんでしまいました……戦闘の邪魔なのに……まあでも、それでグリムが戦いで有利になるのならいいかもですね)
シルヴィアは二十歳を迎え、以前にもまして身心ともに女性らしくなった。
「いくぞシルヴィア!」
「ええ(今日こそは勝ってくださいね)」
この頃になると、流石のシルヴィアも自分の気持ちに気づくようになった。自分はグリムのことが好きなのだと、好きで好きでたまらないのだと。
日に三度の戦いの度、その気持ちが溢れて仕方なくなっていた。戦うだけじゃなく、もっと違うことがしたいと思うようになっていた。
グリムはいまだにシルヴィアを倒すほどの力を身に着けてはいないものの、かなり実力を伸ばしていた。それでも頭一つ分、シルヴィアの実力の方が抜けているが、ほとんど同じ程度の実力といっていい。
この世界で最強の存在は間違いなく自分たち二人だと、シルヴィアは胸を張って断言できた。
「ふぅふぅ、どうやら時間切れのようだな」
「ええそうですね(また引き分けですか……)」
もういいのではないか。いっそ手加減してやろうか。いやそんなのは駄目だ失礼だ。本気で戦わなければいけない。いやでも負けないと結婚できないし……。
最近のシルヴィアは、グリムと戦う度にそんなことを自問自答している。
好きならさっさと自分から告白してしまえばいい話なのだが、そうもいかない。シルヴィアは恋愛に対し基本臆病で受身だ。
エリックの時だって、エリックがぐいぐいと前のめりだったからこそ、恋愛関係が成立していたのである。今も魔王が「俺が戦いに勝ったら結婚しろ」と押してくるからその気になっているのである。
一般人とはだいぶ異なる恋愛(初恋を成就させ結婚に至るかと思いきや公衆の面前で破棄され処刑されかけ助けられた鬼に惚れる)しかしてこなかったシルヴィアは、自分から告白するなんて難しい真似はできなかった。
地形を変動させる大規模魔法を連続で発動したり、歴代最強と謳われる魔王の四肢を切り離して首を刎ねるよりも、恋愛の方が遥かに難しかった。
(うー、どうすればいいのですかぁ)
シルヴィアは戦場では勇猛果敢に切り込んでいくくせに、恋愛という戦場では非常にヘタレであった。
「今日もいい勝負だった。シルヴィアよ明日も頼むぞ」
「はい(それだけですか。もっとお喋りしたいと思わないのですかこの男は)」
片やグリムはというと、毎回シルヴィアと戦うのを楽しんでいて、当初の結婚云々なんて、もはや気にしていない有様だった。
そもそも結婚すれば毎日戦えるからというアホみたいな理由でえシルヴィアに求婚したグリムは、日に三度戦えている今の状態に大変満足していた。グリムとしてはこれ以上の関係など望むべくもなかった。
グリムが勝った際にそれをきっかけにシルヴィアが結婚の話を進めるか、シルヴィアが積極的にアプローチをかけるか、いずれかの方法をとらなければ、二人の仲は進展しそうになかった。
ヘタレのシルヴィアとしては、グリムが勝つのを待っている状態なのだが、妙な所で律儀であるシルヴィアは手を抜かないで鍛錬をするので差は一向に縮まらなかった。
化け物二人の戦闘能力が日に日に増えていくだけであった。二人だけで世界が滅ぼせるのではないかというくらいであった。
戦闘狂のバカップル。そのまま二人の仲は永遠に縮まらないかと思われたが、ひょんなことをきっかけに物事は大きく進むことになった。お節介を焼こうという者が現れたのである。
言うまでもなく、二人の仲をやきもきしながら見守っていた者たちである。シルヴィアの両親、グリムの親代わりである爺、それと姉貴分であるリリスであった。
「若、いい加減にシルヴィア嬢と結婚なされ。恋する乙女をいつまで待たせるおつもりですかな」
「またその話か爺。まだ俺様が勝ってないから駄目だといつも言っておろうが。勝ったら結婚するのだ。俺様は一度決めたことは貫き通す男だ」
「ボルボックス爺の言う通りよぉ。乙女をあれだけ傷物にしておいて、いつまで待たせる気なのよ! 毎回毎回シルヴィアちゃんの身体をボロボロにさせちゃって! 酷いわよ!」
「ボロボロって、そんなのすぐに回復するからいいだろうが。そんなことを言ったら俺様なんて毎回手足を切り落とされているんだぞ? 首ですら何回か落とされたぞ? 俺様の方が毎回ボロボロだぞ?」
「いいから早く結婚するの!」
「そうですぞ! ワシが死ぬ前に若の子を見せてくだされ! 後生ですぞ!」
「な、何だお前ら急に……」
そんな感じで、グリムは丸め込まれることになった。
「オラ、シルヴィアの晴れ姿が見てえなぁ」
「アタシも早く見たいわぁ」
「……ぜ、善処します」
シルヴィアの方はそんな感じで丸め込まれることになった。常に親孝行したいと思っているシルヴィアには、めちゃくちゃ効果的な煽りであった。
「シルヴィア、お前、俺様のことが好きなのか?」
「……は、はいそうです(言った! 言ってしまった!)」
「そうか。俺様もお前のことが好きだぞ強いし」
「そうですか嬉しいです(強い?)」
微妙にずれた会話となったが、シルヴィアの思いはグリムにも通じることとなった。
こうして二人の仲は一気に進展した。恋人同士になったのだ。
当初グリムは一度決めたことを違えたくなかったので、ひとまず交際ということで、例の一騎打ちに勝ったら正式に結婚を申し込もうと考えていた。
だがゆっくり交際なんてしている暇はなかった。
「王よ! 呑気に交際なんてするな!」
「そうだ! 魔族の男ならすぐに結婚しろ!」
「そうだそうだ! しょうもない拘りなんて捨てろ!」
魔族の王たるグリムには早く結婚しろという圧力が、魔族各界から沢山届いていたのだ。俺たちの偉大なる王がいつまでも嫁なしの戦闘狂だなんて耐えられない、という声が日に日に高まっていった。
魔族内の世評をわりと気にする方であるグリムは、シルヴィアとの一騎打ちに勝ってから結婚するという俺様ルールを、泣く泣く引っ込めざるを得なかった。
シルヴィアの方はというと、思い込んだら一途なので、すぐ結婚でも構わなかった。
こうして、二人は交際期間をあまり経ずに結婚となった。
まああの日に三度の戦いをデートと換算すれば、長期間の交際を経てのゴールインとも言えるのだが。
「魔族の王グリム。そして聖女シルヴィアよ。健やかなる時も病める時も共に支え合うことを、魔神と女神に誓えますか?」
「誓おう」
「誓います」
二人の結婚式で神父役を務めたゴブリンは、「大怪我してもすぐに回復するこいつらに病める時なんてあるのか?」と至極真っ当な疑問を抱きつつも、しっかりとマニュアル通りの進行をしたのであった。
「ふ、不束ものですがよろしくお願いいたします」
「あぁこちらこそ頼む」
結婚した二人は初めての快楽を知る。
エネルギーの発散方法と言えば戦闘することしか知らなかった二人は、無尽蔵の体力で以って夫婦の営みを繰り返す。
淫魔であるリリスでさえドン引きするくらいの激しい営みが連夜繰り広げられることになった。
「ばぶー!」
そしてほどなくして子どもが生まれることになる。
ゴブリンと人間の形質の両方を受け継いだハーフの男の子だ。名をグルポンという。
「これが俺様の子か。俺様とシルヴィアに似て強い子となろう」
「そうですね」
二人はグルポンを精一杯愛した。シルヴィアの両親も、ボルボックス爺もリリスもその子を愛した。
ちなみに、グリムの子を見るまで死ねないと言っていたボルボックス爺であるが、実際に子を見た後は、この子が成人するのを見届けるまで死ねないとか言い始めた。
魔族は生命力に溢れて元々長寿である上、グリムほどではないとはいえ魔神の加護も受けている大魔法使いのボルボックス爺は、成人くらい余裕で見届けられそうであった。
魔族と人族。魔王と聖女。
そんな壁を越えて結ばれた二人はこのまま魔族の拠点で仲睦まじく暮らしていく――かと思いきや、そうはならなかった。
風雲急を告げる事態が発生したのである。
「大変よぉ! 人国の軍勢が大山脈に向けて動いているわ! この拠点を落とそうってことみたい!」
偵察に行っていたリリスが慌てた様子で戻ってくる。
新たに人国の国王となったエリック。
そのエリック率いる大軍勢が、シルヴィアたちのいる拠点に向けて進軍してきたのであった。
魔族を完全に根絶やしにしようという新王の方針によるものだった。世界のほぼ全てを手に入れたエリックは、魔族に最後に残された楽園にまで手を伸ばそうとしてきたのであった。
「ふん人国め。我らが魔族を根絶やしにするためについにこの拠点を潰しにきたか」
「もはや魔族は人国を攻める気などないというのに……エリックよ愚かですよ」
魔王グリムとその妻となった聖女シルヴィアは、協力してその危機に立ち向かうことになった。
(また胸が膨らんでしまいました……戦闘の邪魔なのに……まあでも、それでグリムが戦いで有利になるのならいいかもですね)
シルヴィアは二十歳を迎え、以前にもまして身心ともに女性らしくなった。
「いくぞシルヴィア!」
「ええ(今日こそは勝ってくださいね)」
この頃になると、流石のシルヴィアも自分の気持ちに気づくようになった。自分はグリムのことが好きなのだと、好きで好きでたまらないのだと。
日に三度の戦いの度、その気持ちが溢れて仕方なくなっていた。戦うだけじゃなく、もっと違うことがしたいと思うようになっていた。
グリムはいまだにシルヴィアを倒すほどの力を身に着けてはいないものの、かなり実力を伸ばしていた。それでも頭一つ分、シルヴィアの実力の方が抜けているが、ほとんど同じ程度の実力といっていい。
この世界で最強の存在は間違いなく自分たち二人だと、シルヴィアは胸を張って断言できた。
「ふぅふぅ、どうやら時間切れのようだな」
「ええそうですね(また引き分けですか……)」
もういいのではないか。いっそ手加減してやろうか。いやそんなのは駄目だ失礼だ。本気で戦わなければいけない。いやでも負けないと結婚できないし……。
最近のシルヴィアは、グリムと戦う度にそんなことを自問自答している。
好きならさっさと自分から告白してしまえばいい話なのだが、そうもいかない。シルヴィアは恋愛に対し基本臆病で受身だ。
エリックの時だって、エリックがぐいぐいと前のめりだったからこそ、恋愛関係が成立していたのである。今も魔王が「俺が戦いに勝ったら結婚しろ」と押してくるからその気になっているのである。
一般人とはだいぶ異なる恋愛(初恋を成就させ結婚に至るかと思いきや公衆の面前で破棄され処刑されかけ助けられた鬼に惚れる)しかしてこなかったシルヴィアは、自分から告白するなんて難しい真似はできなかった。
地形を変動させる大規模魔法を連続で発動したり、歴代最強と謳われる魔王の四肢を切り離して首を刎ねるよりも、恋愛の方が遥かに難しかった。
(うー、どうすればいいのですかぁ)
シルヴィアは戦場では勇猛果敢に切り込んでいくくせに、恋愛という戦場では非常にヘタレであった。
「今日もいい勝負だった。シルヴィアよ明日も頼むぞ」
「はい(それだけですか。もっとお喋りしたいと思わないのですかこの男は)」
片やグリムはというと、毎回シルヴィアと戦うのを楽しんでいて、当初の結婚云々なんて、もはや気にしていない有様だった。
そもそも結婚すれば毎日戦えるからというアホみたいな理由でえシルヴィアに求婚したグリムは、日に三度戦えている今の状態に大変満足していた。グリムとしてはこれ以上の関係など望むべくもなかった。
グリムが勝った際にそれをきっかけにシルヴィアが結婚の話を進めるか、シルヴィアが積極的にアプローチをかけるか、いずれかの方法をとらなければ、二人の仲は進展しそうになかった。
ヘタレのシルヴィアとしては、グリムが勝つのを待っている状態なのだが、妙な所で律儀であるシルヴィアは手を抜かないで鍛錬をするので差は一向に縮まらなかった。
化け物二人の戦闘能力が日に日に増えていくだけであった。二人だけで世界が滅ぼせるのではないかというくらいであった。
戦闘狂のバカップル。そのまま二人の仲は永遠に縮まらないかと思われたが、ひょんなことをきっかけに物事は大きく進むことになった。お節介を焼こうという者が現れたのである。
言うまでもなく、二人の仲をやきもきしながら見守っていた者たちである。シルヴィアの両親、グリムの親代わりである爺、それと姉貴分であるリリスであった。
「若、いい加減にシルヴィア嬢と結婚なされ。恋する乙女をいつまで待たせるおつもりですかな」
「またその話か爺。まだ俺様が勝ってないから駄目だといつも言っておろうが。勝ったら結婚するのだ。俺様は一度決めたことは貫き通す男だ」
「ボルボックス爺の言う通りよぉ。乙女をあれだけ傷物にしておいて、いつまで待たせる気なのよ! 毎回毎回シルヴィアちゃんの身体をボロボロにさせちゃって! 酷いわよ!」
「ボロボロって、そんなのすぐに回復するからいいだろうが。そんなことを言ったら俺様なんて毎回手足を切り落とされているんだぞ? 首ですら何回か落とされたぞ? 俺様の方が毎回ボロボロだぞ?」
「いいから早く結婚するの!」
「そうですぞ! ワシが死ぬ前に若の子を見せてくだされ! 後生ですぞ!」
「な、何だお前ら急に……」
そんな感じで、グリムは丸め込まれることになった。
「オラ、シルヴィアの晴れ姿が見てえなぁ」
「アタシも早く見たいわぁ」
「……ぜ、善処します」
シルヴィアの方はそんな感じで丸め込まれることになった。常に親孝行したいと思っているシルヴィアには、めちゃくちゃ効果的な煽りであった。
「シルヴィア、お前、俺様のことが好きなのか?」
「……は、はいそうです(言った! 言ってしまった!)」
「そうか。俺様もお前のことが好きだぞ強いし」
「そうですか嬉しいです(強い?)」
微妙にずれた会話となったが、シルヴィアの思いはグリムにも通じることとなった。
こうして二人の仲は一気に進展した。恋人同士になったのだ。
当初グリムは一度決めたことを違えたくなかったので、ひとまず交際ということで、例の一騎打ちに勝ったら正式に結婚を申し込もうと考えていた。
だがゆっくり交際なんてしている暇はなかった。
「王よ! 呑気に交際なんてするな!」
「そうだ! 魔族の男ならすぐに結婚しろ!」
「そうだそうだ! しょうもない拘りなんて捨てろ!」
魔族の王たるグリムには早く結婚しろという圧力が、魔族各界から沢山届いていたのだ。俺たちの偉大なる王がいつまでも嫁なしの戦闘狂だなんて耐えられない、という声が日に日に高まっていった。
魔族内の世評をわりと気にする方であるグリムは、シルヴィアとの一騎打ちに勝ってから結婚するという俺様ルールを、泣く泣く引っ込めざるを得なかった。
シルヴィアの方はというと、思い込んだら一途なので、すぐ結婚でも構わなかった。
こうして、二人は交際期間をあまり経ずに結婚となった。
まああの日に三度の戦いをデートと換算すれば、長期間の交際を経てのゴールインとも言えるのだが。
「魔族の王グリム。そして聖女シルヴィアよ。健やかなる時も病める時も共に支え合うことを、魔神と女神に誓えますか?」
「誓おう」
「誓います」
二人の結婚式で神父役を務めたゴブリンは、「大怪我してもすぐに回復するこいつらに病める時なんてあるのか?」と至極真っ当な疑問を抱きつつも、しっかりとマニュアル通りの進行をしたのであった。
「ふ、不束ものですがよろしくお願いいたします」
「あぁこちらこそ頼む」
結婚した二人は初めての快楽を知る。
エネルギーの発散方法と言えば戦闘することしか知らなかった二人は、無尽蔵の体力で以って夫婦の営みを繰り返す。
淫魔であるリリスでさえドン引きするくらいの激しい営みが連夜繰り広げられることになった。
「ばぶー!」
そしてほどなくして子どもが生まれることになる。
ゴブリンと人間の形質の両方を受け継いだハーフの男の子だ。名をグルポンという。
「これが俺様の子か。俺様とシルヴィアに似て強い子となろう」
「そうですね」
二人はグルポンを精一杯愛した。シルヴィアの両親も、ボルボックス爺もリリスもその子を愛した。
ちなみに、グリムの子を見るまで死ねないと言っていたボルボックス爺であるが、実際に子を見た後は、この子が成人するのを見届けるまで死ねないとか言い始めた。
魔族は生命力に溢れて元々長寿である上、グリムほどではないとはいえ魔神の加護も受けている大魔法使いのボルボックス爺は、成人くらい余裕で見届けられそうであった。
魔族と人族。魔王と聖女。
そんな壁を越えて結ばれた二人はこのまま魔族の拠点で仲睦まじく暮らしていく――かと思いきや、そうはならなかった。
風雲急を告げる事態が発生したのである。
「大変よぉ! 人国の軍勢が大山脈に向けて動いているわ! この拠点を落とそうってことみたい!」
偵察に行っていたリリスが慌てた様子で戻ってくる。
新たに人国の国王となったエリック。
そのエリック率いる大軍勢が、シルヴィアたちのいる拠点に向けて進軍してきたのであった。
魔族を完全に根絶やしにしようという新王の方針によるものだった。世界のほぼ全てを手に入れたエリックは、魔族に最後に残された楽園にまで手を伸ばそうとしてきたのであった。
「ふん人国め。我らが魔族を根絶やしにするためについにこの拠点を潰しにきたか」
「もはや魔族は人国を攻める気などないというのに……エリックよ愚かですよ」
魔王グリムとその妻となった聖女シルヴィアは、協力してその危機に立ち向かうことになった。
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