18 / 51
断罪編
辺境へ来た理由
しおりを挟む
エンルーダ当主が住まう牙城。
辺境の城は都の皇宮のような優美さは全く無い。
天然の城壁にもなる、険しいリュリアール山脈を背後に組み込み、要塞と国境壁を合わせた長い建築になる。
城の地下はそのまま、山の地下にも繋がっているのだ。まるでリュリアール山脈事態が、エンルーダ要塞にも見える程の迫力。
「とんでも無い場所ですね、、ザード。」
エリオットは想像するより遥かに壮大なエンルーダの佇まいに、要塞の中に入っても唖然とするばかり。
「エリオット、もうザードで無くていい。領主の御前だ。」
ウイルザードは既に忍び隠していたフードを取り払い、其の顔を顕にした。
皇帝からの書状を持つ親善使として、エンルーダ当主が居住するの辺境城の門を潜る。
「あ、はい!殿下!いや、しかし、凄いところですよ。殿下はこんな国境で戦ったご経験もあるんですよね。山越えをしたって、聞きましたけれど、此の先の巨山でなど、、戦い方がわからないです。」
将来は嫡男として領地を治めるまでの第一近衛務めとは言え、エリオットは生粋の騎士希望。
学園生と言う若さで、エンルーダでの国境戦を経験するウイルザードに、興味津々で当時の生活を聞こうとする。
が、早々に出迎えの従者達に頭を下げられ、エリオットの希望は叶えられなかった。
「殿下、まさか我が領地にて、貴方様のご尊顔を拝することになるとは、夢にも思いませんでした。長く生きる者ですな。隣の貴殿も、よほど都の水で退屈の様子。いつでもエンルーダは歓迎しますぞ。」
辺境城に掛かる橋を渡り門を抜けると、当主であるアースローと、次期当主候補のイグザムが直々にウイルザード達を出迎える。
其のままウイルザードとエリオットが通されたのは、エンルーダ要塞の上層階。
山に組み込まれたテラスからは、エンルーダの領土は勿論、遥かシャルドーネの街並みされ見えるのでは無いかと、錯覚する絶景の応接室だ。
皇族を迎える客室でもある。
「本当ですか!!其の時は、何卒よろしくお手合わせ願いたいです!」
領主アースロの言葉にエリオットが嬉々として応えると、再びウイルザードがエリオットを嗜める。
「やめておけ、エンルーダは山岳ゲリラ戦を得意とされる。お前とは畑違いもいいところだ。領主殿もあまり、このものを揶揄わないでいただけると助かる。いや、既に軽く嫌みをいわれたと同じでしょう?」
流石ウイルザードは、エンルーダの2人が好意的に迎えてくれてはいないことを弁えている。
目の前に座するは、諸国を相手に軍畑を駆け抜け続ける現当主と、次期当主。彼らの眼光は終始刺す様に、鋭いのだから。
「此の度はエンルーダに助けて頂きたいことになり、知らせも無く来させてもらった。不躾であるのは十分承知の上。どうか、陛下の書状を認めていただきたく、、」
「例え我が娘に非があったとは言え、毒杯の刑を処したエンルーダにございますぞ。殿下の来訪を喜ぶと思われるかな?」
ウイルザードが全ての口上を述べる間もなく、固辞するようなアースロの声に遮られた。
皇太子ウイルザードの言葉を遮ると言う行いに、思わずエリオットの腰が浮くのを、ウイルザードが片手で止めた。
「其の件にしても、実は謝罪せねばならない。ただ、今は待ってもらいたいと思う。申し訳無いが、
大魔法使いガラテアの骸を、どうにか精霊の元に還し、核石浄化の前に記憶の読み取りを、お願いしたいのだ。父上だけで無く、わたしからもお願いしたい儀である。」
エリオットが動いた瞬間、アースロの隣で控えていたイグザムの拳が動いたことに、ウイルザードは気付くも何もいわず。
ただ大きく頭を1度下げると、再び机に頭をつけて願い出る。
皇族がとることの無い、エンルーダ特有の最礼の姿勢をアースロとイグザムに、ウイルザードは見せたのだ。
「で、殿下?!!、そんな。」
その様子にエリオットが顔面蒼白になる。同時に、自分が護衛に選ばれた意味を知る。
もしも常に控える側近近衛ならば、ウイルザードの沽券の為に、目の前のものを切り倒したに違い無い程、重大な光景なのだ。
頭を下げたままのウイルザードに、拳を震わせたイグザムが、動きを止め凝視する。
両者の間に緊迫した沈黙が横たわる。
「記憶の読み取りをですか。」
暫くして、再び声にしたのはアースロだった。しかしすぐようウイルザードは頭を上げたりはしない。
ウイルザードが頭を未だ下げたまま、アースロに応える。
「まずはガラテアの骸の確認を、当主殿に願いたいのだ。」
「、、、多々こちらの言い分はある。しかし、ことは性急。仕方あるまいですな。まずは対面をしましょう。我らの建屋に案内しましょうぞ。今直ぐ取り掛かるように言いつけます。しかし儀式の最中はいかなるものも入れませんからな。こちらで、しばし待たれませ。」
頑なに頭を上げない、ウイルザードに根負けしたアースロが、墓守りに会うことに承諾した。
イグザムが場を読んで侍従を呼ぶと、アースロの言付けを素早く告げる。
今から、墓守りに伝令が飛び、ガラテアの儀式となるのだろう。
「恐れ入ります!下賜品の一部とし建屋に届させる体裁で願いたい。それと、もう1つエンルーダ殿に伺いたいことがあるのだが。」
侍従が出ていくのを安堵の思いで、ウイルザードは確認しつつ、更にアースロへ願い出る。
ここからがウイルザードにとって、もう1つの山場。
「これは、一体改まって。今度は 何様ですかな?」
アースロも思いもしないウイルザードの申し出にも、本題の終わりに、気を緩めていた。
ウイルザードに漸く茶を勧めた時だった。
「実は、、貴殿の令嬢、、タニア嬢の身体に、特徴的な痣がなかっただろうか?今更の話で、言いにくい。貴殿に不快な思いもさせる。が、薔薇の様な痣なのだが。」
ウイルザードが毒杯の刑に処したタニアの話を出す。
「殿下!!今、そんな事を出されるのは、!!」
「ほう、殿下は既に骸になった我が娘にまだ、何か言いがかりを付けますのか。」
「すまぬ、しかし アースロ殿!覚えが無いだろうか!」
「殿下やめてください!せっかくガラテア様の儀式を当主殿に呑んで頂いたばかりなのに!」
ウイルザードの突然の言葉に、エリオットが度肝を抜かれて立ち上がる。
「分かっている!しかし、大切な事なのだ!!」
けれどもウイルザードは引く事を拒んだ!
何故なら、ウイルザードの言葉に意味がわからない様子のアースロとは裏腹に、隣に座るイグザムの両眼が見開き、ウイルザードを睨み付けてきたのだ。
(此奴は何か知っている!!)
ウイルザードはイグザムに向かって再び、
「彼女に、薔薇の痣があったのではないか?!」
吠える如く叫んだ。
イグザムの全身が、ウイルザードへの憤怒で震えているのが分かる。
(もう一声すれば、此奴が何を言うはず!!)
留めの一言をウイルザードがイグザムに浴びせようとした瞬間。
『ブーォーン、、ブーォーン、、ブーォーン、、』
不穏な音がエンルーダに鳴り響く!
応接室の扉が開け放たれ、飛び込んできたのは見張りの侍従!!
「襲撃、墓守りの建屋が襲撃されています!!」
「なに?!!窓をあけろ!!」
叫ばれた自体にアースロがテラスの窓を開け放つ!
眼下に広がるエンルーダの地。其の場所の至るところから火の手が上がっていいた。
「殿下!!」
辺境の城は都の皇宮のような優美さは全く無い。
天然の城壁にもなる、険しいリュリアール山脈を背後に組み込み、要塞と国境壁を合わせた長い建築になる。
城の地下はそのまま、山の地下にも繋がっているのだ。まるでリュリアール山脈事態が、エンルーダ要塞にも見える程の迫力。
「とんでも無い場所ですね、、ザード。」
エリオットは想像するより遥かに壮大なエンルーダの佇まいに、要塞の中に入っても唖然とするばかり。
「エリオット、もうザードで無くていい。領主の御前だ。」
ウイルザードは既に忍び隠していたフードを取り払い、其の顔を顕にした。
皇帝からの書状を持つ親善使として、エンルーダ当主が居住するの辺境城の門を潜る。
「あ、はい!殿下!いや、しかし、凄いところですよ。殿下はこんな国境で戦ったご経験もあるんですよね。山越えをしたって、聞きましたけれど、此の先の巨山でなど、、戦い方がわからないです。」
将来は嫡男として領地を治めるまでの第一近衛務めとは言え、エリオットは生粋の騎士希望。
学園生と言う若さで、エンルーダでの国境戦を経験するウイルザードに、興味津々で当時の生活を聞こうとする。
が、早々に出迎えの従者達に頭を下げられ、エリオットの希望は叶えられなかった。
「殿下、まさか我が領地にて、貴方様のご尊顔を拝することになるとは、夢にも思いませんでした。長く生きる者ですな。隣の貴殿も、よほど都の水で退屈の様子。いつでもエンルーダは歓迎しますぞ。」
辺境城に掛かる橋を渡り門を抜けると、当主であるアースローと、次期当主候補のイグザムが直々にウイルザード達を出迎える。
其のままウイルザードとエリオットが通されたのは、エンルーダ要塞の上層階。
山に組み込まれたテラスからは、エンルーダの領土は勿論、遥かシャルドーネの街並みされ見えるのでは無いかと、錯覚する絶景の応接室だ。
皇族を迎える客室でもある。
「本当ですか!!其の時は、何卒よろしくお手合わせ願いたいです!」
領主アースロの言葉にエリオットが嬉々として応えると、再びウイルザードがエリオットを嗜める。
「やめておけ、エンルーダは山岳ゲリラ戦を得意とされる。お前とは畑違いもいいところだ。領主殿もあまり、このものを揶揄わないでいただけると助かる。いや、既に軽く嫌みをいわれたと同じでしょう?」
流石ウイルザードは、エンルーダの2人が好意的に迎えてくれてはいないことを弁えている。
目の前に座するは、諸国を相手に軍畑を駆け抜け続ける現当主と、次期当主。彼らの眼光は終始刺す様に、鋭いのだから。
「此の度はエンルーダに助けて頂きたいことになり、知らせも無く来させてもらった。不躾であるのは十分承知の上。どうか、陛下の書状を認めていただきたく、、」
「例え我が娘に非があったとは言え、毒杯の刑を処したエンルーダにございますぞ。殿下の来訪を喜ぶと思われるかな?」
ウイルザードが全ての口上を述べる間もなく、固辞するようなアースロの声に遮られた。
皇太子ウイルザードの言葉を遮ると言う行いに、思わずエリオットの腰が浮くのを、ウイルザードが片手で止めた。
「其の件にしても、実は謝罪せねばならない。ただ、今は待ってもらいたいと思う。申し訳無いが、
大魔法使いガラテアの骸を、どうにか精霊の元に還し、核石浄化の前に記憶の読み取りを、お願いしたいのだ。父上だけで無く、わたしからもお願いしたい儀である。」
エリオットが動いた瞬間、アースロの隣で控えていたイグザムの拳が動いたことに、ウイルザードは気付くも何もいわず。
ただ大きく頭を1度下げると、再び机に頭をつけて願い出る。
皇族がとることの無い、エンルーダ特有の最礼の姿勢をアースロとイグザムに、ウイルザードは見せたのだ。
「で、殿下?!!、そんな。」
その様子にエリオットが顔面蒼白になる。同時に、自分が護衛に選ばれた意味を知る。
もしも常に控える側近近衛ならば、ウイルザードの沽券の為に、目の前のものを切り倒したに違い無い程、重大な光景なのだ。
頭を下げたままのウイルザードに、拳を震わせたイグザムが、動きを止め凝視する。
両者の間に緊迫した沈黙が横たわる。
「記憶の読み取りをですか。」
暫くして、再び声にしたのはアースロだった。しかしすぐようウイルザードは頭を上げたりはしない。
ウイルザードが頭を未だ下げたまま、アースロに応える。
「まずはガラテアの骸の確認を、当主殿に願いたいのだ。」
「、、、多々こちらの言い分はある。しかし、ことは性急。仕方あるまいですな。まずは対面をしましょう。我らの建屋に案内しましょうぞ。今直ぐ取り掛かるように言いつけます。しかし儀式の最中はいかなるものも入れませんからな。こちらで、しばし待たれませ。」
頑なに頭を上げない、ウイルザードに根負けしたアースロが、墓守りに会うことに承諾した。
イグザムが場を読んで侍従を呼ぶと、アースロの言付けを素早く告げる。
今から、墓守りに伝令が飛び、ガラテアの儀式となるのだろう。
「恐れ入ります!下賜品の一部とし建屋に届させる体裁で願いたい。それと、もう1つエンルーダ殿に伺いたいことがあるのだが。」
侍従が出ていくのを安堵の思いで、ウイルザードは確認しつつ、更にアースロへ願い出る。
ここからがウイルザードにとって、もう1つの山場。
「これは、一体改まって。今度は 何様ですかな?」
アースロも思いもしないウイルザードの申し出にも、本題の終わりに、気を緩めていた。
ウイルザードに漸く茶を勧めた時だった。
「実は、、貴殿の令嬢、、タニア嬢の身体に、特徴的な痣がなかっただろうか?今更の話で、言いにくい。貴殿に不快な思いもさせる。が、薔薇の様な痣なのだが。」
ウイルザードが毒杯の刑に処したタニアの話を出す。
「殿下!!今、そんな事を出されるのは、!!」
「ほう、殿下は既に骸になった我が娘にまだ、何か言いがかりを付けますのか。」
「すまぬ、しかし アースロ殿!覚えが無いだろうか!」
「殿下やめてください!せっかくガラテア様の儀式を当主殿に呑んで頂いたばかりなのに!」
ウイルザードの突然の言葉に、エリオットが度肝を抜かれて立ち上がる。
「分かっている!しかし、大切な事なのだ!!」
けれどもウイルザードは引く事を拒んだ!
何故なら、ウイルザードの言葉に意味がわからない様子のアースロとは裏腹に、隣に座るイグザムの両眼が見開き、ウイルザードを睨み付けてきたのだ。
(此奴は何か知っている!!)
ウイルザードはイグザムに向かって再び、
「彼女に、薔薇の痣があったのではないか?!」
吠える如く叫んだ。
イグザムの全身が、ウイルザードへの憤怒で震えているのが分かる。
(もう一声すれば、此奴が何を言うはず!!)
留めの一言をウイルザードがイグザムに浴びせようとした瞬間。
『ブーォーン、、ブーォーン、、ブーォーン、、』
不穏な音がエンルーダに鳴り響く!
応接室の扉が開け放たれ、飛び込んできたのは見張りの侍従!!
「襲撃、墓守りの建屋が襲撃されています!!」
「なに?!!窓をあけろ!!」
叫ばれた自体にアースロがテラスの窓を開け放つ!
眼下に広がるエンルーダの地。其の場所の至るところから火の手が上がっていいた。
「殿下!!」
777
あなたにおすすめの小説
お飾り王妃の死後~王の後悔~
ましゅぺちーの
恋愛
ウィルベルト王国の王レオンと王妃フランチェスカは白い結婚である。
王が愛するのは愛妾であるフレイアただ一人。
ウィルベルト王国では周知の事実だった。
しかしある日王妃フランチェスカが自ら命を絶ってしまう。
最後に王宛てに残された手紙を読み王は後悔に苛まれる。
小説家になろう様にも投稿しています。
結婚して5年、初めて口を利きました
宮野 楓
恋愛
―――出会って、結婚して5年。一度も口を聞いたことがない。
ミリエルと旦那様であるロイスの政略結婚が他と違う点を挙げよ、と言えばこれに尽きるだろう。
その二人が5年の月日を経て邂逅するとき
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
〈完結〉【書籍化・取り下げ予定】「他に愛するひとがいる」と言った旦那様が溺愛してくるのですが、そういうのは不要です
ごろごろみかん。
恋愛
「私には、他に愛するひとがいます」
「では、契約結婚といたしましょう」
そうして今の夫と結婚したシドローネ。
夫は、シドローネより四つも年下の若き騎士だ。
彼には愛するひとがいる。
それを理解した上で政略結婚を結んだはずだったのだが、だんだん夫の様子が変わり始めて……?
貴方が側妃を望んだのです
cyaru
恋愛
「君はそれでいいのか」王太子ハロルドは言った。
「えぇ。勿論ですわ」婚約者の公爵令嬢フランセアは答えた。
誠の愛に気がついたと言われたフランセアは微笑んで答えた。
※2022年6月12日。一部書き足しました。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
史実などに基づいたものではない事をご理解ください。
※話の都合上、残酷な描写がありますがそれがざまぁなのかは受け取り方は人それぞれです。
表現的にどうかと思う回は冒頭に注意喚起を書き込むようにしますが有無は作者の判断です。
※更新していくうえでタグは幾つか増えます。
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
夫は私を愛してくれない
はくまいキャベツ
恋愛
「今までお世話になりました」
「…ああ。ご苦労様」
彼はまるで長年勤めて退職する部下を労うかのように、妻である私にそう言った。いや、妻で“あった”私に。
二十数年間すれ違い続けた夫婦が別れを決めて、もう一度向き合う話。
あなたのことなんて、もうどうでもいいです
もるだ
恋愛
舞踏会でレオニーに突きつけられたのは婚約破棄だった。婚約者の相手にぶつかられて派手に転んだせいで、大騒ぎになったのに……。日々の業務を押しつけられ怒鳴りつけられいいように扱われていたレオニーは限界を迎える。そして、気がつくと魔法が使えるようになっていた。
元婚約者にこき使われていたレオニーは復讐を始める。
【完結】「お前とは結婚できない」と言われたので出奔したら、なぜか追いかけられています
22時完結
恋愛
「すまない、リディア。お前とは結婚できない」
そう告げたのは、長年婚約者だった王太子エドワード殿下。
理由は、「本当に愛する女性ができたから」――つまり、私以外に好きな人ができたということ。
(まあ、そんな気はしてました)
社交界では目立たない私は、王太子にとってただの「義務」でしかなかったのだろう。
未練もないし、王宮に居続ける理由もない。
だから、婚約破棄されたその日に領地に引きこもるため出奔した。
これからは自由に静かに暮らそう!
そう思っていたのに――
「……なぜ、殿下がここに?」
「お前がいなくなって、ようやく気づいた。リディア、お前が必要だ」
婚約破棄を言い渡した本人が、なぜか私を追いかけてきた!?
さらに、冷酷な王国宰相や腹黒な公爵まで現れて、次々に私を手に入れようとしてくる。
「お前は王妃になるべき女性だ。逃がすわけがない」
「いいや、俺の妻になるべきだろう?」
「……私、ただ田舎で静かに暮らしたいだけなんですけど!!」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる