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悪漢の村4

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「どうしようかな」
「一旦村の外に出てはいかがですか」
「ガビはその方がいいと思うのかい」
「中には心ならずもゴロツキにしたがっている者いるでしょう。そんな者達を巻き込むこともありません」
「ガビは優しいな」
「誰もが私達のような力を授かっている訳ではないのです」
「そうだな」
 ガビの言う通りだ。
 余が自分の意志を貫けるのは、世の理から外れた力を授かって産まれてきたからだ。
 そうでなければ、自分の為だけなら命を賭けて抵抗出来ても、愛する者を人質に取られたら、血を吐く思いを押し殺してでも、悪に屈していたかもしれない。
「ではまいりましょう」
「ああ」
「あの、その、え」
「村を出るのだよ」
「パパは、パパは一緒じゃ駄目なの」
「大丈夫ですよ。パパも必ず助けてあげますよ」
「ほんとう。おねえさん」
「本当ですよ」
 ガビの母性が全開だ。
 だがその分、この娘を苦しめたゴロツキ共は、地獄を見ることになる。
 可哀想だとは思わないが、娘に見せるような場面ではない。
 いや、もしかしたら、既にもっと酷い光景を見て生きてきたのかもしれない。
 宿屋の店主は、妻が無理矢理客を取らされていたと言っていた。
 うん、やっぱりゴロツキ共には、地獄を見せてやらなければならないな。
「お、どうやってここに来やがった」
「本当に分からないのか」
「何やってやがる、叩きのめせ」
「「「「「「おうぅぅぅ」」」」」
 最初に宿屋で手加減して、わざとアジトに逃がしたドチンピラが、余達を誰何しながらも怖がって逃げ出そうとした。
 それに対して兄貴分だろうゴロツキが、弟分を指図して襲い掛かってきた。
 だが、まあ、なんだ。
こんな連中など瞬殺だが、殺すと黒幕が怖気づいてしまう可能性がある以上、殺さず戦力を削る。
「おら、おら、おら」
「やめろ。やめろ。近づくな。やめてくれ。やめてください」
「そう言って助けを願う者を、嬲り者にしてきたのであろう。今更自分達だけ助けてもらおうなどと、虫がよすぎるとは思わないか」
「すみません。ゆるして下さい。あやまります。二度としません。どうか御慈悲を」
「外道に与える慈悲などない」
「ギャァァァ」
 問答無用で、村の出入り口を守っていたゴロツキを、十二人全員半殺しにした。
 楽に殺してやる義理など全くない。
 死ぬまで終わらぬ苦痛にのたうち回るがいい。
 手首足首の関節四カ所と、肘と膝の関節四カ所を、キッチリ粉砕骨折させてやった。
「やい、屑ども。屑の頭に伝えるのだ」
「ウギャァアァアァアァ。いたい、いたい、いたいよぉぉぉぉ」
「臆病風に吹かれたのなら、穴倉に隠れて震えていろとな。屑で隠れた汚物にはそれが御似合いだとな。ふあははぁはぁ」
 余は態と汚い言葉でゴロツキのボスを罵った。
 これだけ馬鹿にされたら、余達を殺さない限りメンツが立たないだろう。
 こういうゴロツキの集団では、メンツを潰されたままにしておくと、下の者に追い落とされたり、別の組織に潰されたりする可能性が高い。
 危険だと判断するだけの頭があっても、少々無理しても、余達を殺そうとするはずだ。
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