文字の大きさ
大
中
小
6 / 16
5話
「やあ、ジェミー嬢。
今日はよく来てくれたね」
「ご招待してくださり感謝の言葉もありません」
「いやあ、正直に話すと、ジェミー嬢と話すと楽しくてね。
ジェミー嬢が来てくれないと寂しいのだよ」
「ありがたいお言葉を賜り、感謝の言葉もありません」
「もうそんな型通りの挨拶は止めて、ダンスでも踊ろうよ」
屋敷に籠りがちの私を、レオナルド様は常に気をかけてくださいました。
顔全体に醜い傷の残った私は、社交界に出るのが嫌だったのです。
このような傷があると、結婚など望めません。
いくら貴族の結婚は政略でも、このような醜い顔を見たい者はいません。
結婚できたとしても、持参金や台所領目当の没落貴族でしょう。
生涯一度もベットを共にする事もないでしょう。
だから、一人で生きていけるように自分を鍛えました。
剣や槍はもちろん、勉強にも励みました。
私が強ければ、アイラに人質にされることもなかったでしょう。
そうすれば、あの時の結末も変わっていたでしょう。
アイラを殺すことができたのです。
それに、魔力があった時代の研究をすれば、この傷を治すことができるかもしれません……
そんな私に、レオナルド様は舞踏会に誘ってくださいました。
レオナルド様主催の、ごく限られた友人だけが参加する舞踏会です。
私は躊躇してしまいました。
このような顔を人前に出たくない!
そう思ってしまいました。
ですが、レオナルド様の招待状には、プレゼントもついていたのです。
鮮やかに装飾された、顔全体を覆う仮面を贈ってくださったのです。
私は意を決して参加することにしました。
顔の傷は隠せても、鮮やかで美しくても、仮面を被って舞踏会に参加するのです。
とても奇異な目で見られる事でしょう。
レオナルド様は好意でしてくださったのでしょうが、私は晒し者になるでしょう。
ですが、レオナルド様の数々の好意と助力には心から感謝しています。
結果傷つくことになっても、参加させてもらうのが感謝のしるしです。
その時はそう思っていました。
ですが参加してみて、レオナルド様の優しさを思い知りました。
レオナルド様も仮面をつけておられたのです。
いえ、レオナルド様だけでなく、参加者全員が仮面をつけていたのです。
私が奇異な目に晒される事はありませんでした。
レオナルド様の優しさに涙が流れました。
その時からです。
私に社交の誘いがあるたびに、その日のうちにレオナルド様からも誘いの使者が来るようになりました。
後に侍女達を問い詰めました。
レオナルド様の依頼で、私に社交の誘いがあると伝えることになっていたのです。
なんとなく予感していました。
いえ、期待していたといっていいでしょう。
私がレオナルド様と時間を合わせて社交に参加すると、レオナルド様も仮面をつけてくださっていました。
悪意や興味本位で、私を社交に誘った主催者は驚き慌てていました。
ウィンターレン公爵家とリクストバラ侯爵家が傾いた原因は知っています。
私を笑い者のしようとして、レオナルド様に疎まれたら破滅ですから。
ですが、レオナルド様は容赦されませんでした。
「伯爵。
貴君の性根はよく分かった。
この事、終生忘れないよ」
レオナルド様も私も幼過ぎたのです。
正義感が強すぎて、腹芸など使えなかったのです。
それが、レオナルド様を貴族士族から厭われる遠因となり、冤罪に陥れられる事に繋がってしまったのです。
今日はよく来てくれたね」
「ご招待してくださり感謝の言葉もありません」
「いやあ、正直に話すと、ジェミー嬢と話すと楽しくてね。
ジェミー嬢が来てくれないと寂しいのだよ」
「ありがたいお言葉を賜り、感謝の言葉もありません」
「もうそんな型通りの挨拶は止めて、ダンスでも踊ろうよ」
屋敷に籠りがちの私を、レオナルド様は常に気をかけてくださいました。
顔全体に醜い傷の残った私は、社交界に出るのが嫌だったのです。
このような傷があると、結婚など望めません。
いくら貴族の結婚は政略でも、このような醜い顔を見たい者はいません。
結婚できたとしても、持参金や台所領目当の没落貴族でしょう。
生涯一度もベットを共にする事もないでしょう。
だから、一人で生きていけるように自分を鍛えました。
剣や槍はもちろん、勉強にも励みました。
私が強ければ、アイラに人質にされることもなかったでしょう。
そうすれば、あの時の結末も変わっていたでしょう。
アイラを殺すことができたのです。
それに、魔力があった時代の研究をすれば、この傷を治すことができるかもしれません……
そんな私に、レオナルド様は舞踏会に誘ってくださいました。
レオナルド様主催の、ごく限られた友人だけが参加する舞踏会です。
私は躊躇してしまいました。
このような顔を人前に出たくない!
そう思ってしまいました。
ですが、レオナルド様の招待状には、プレゼントもついていたのです。
鮮やかに装飾された、顔全体を覆う仮面を贈ってくださったのです。
私は意を決して参加することにしました。
顔の傷は隠せても、鮮やかで美しくても、仮面を被って舞踏会に参加するのです。
とても奇異な目で見られる事でしょう。
レオナルド様は好意でしてくださったのでしょうが、私は晒し者になるでしょう。
ですが、レオナルド様の数々の好意と助力には心から感謝しています。
結果傷つくことになっても、参加させてもらうのが感謝のしるしです。
その時はそう思っていました。
ですが参加してみて、レオナルド様の優しさを思い知りました。
レオナルド様も仮面をつけておられたのです。
いえ、レオナルド様だけでなく、参加者全員が仮面をつけていたのです。
私が奇異な目に晒される事はありませんでした。
レオナルド様の優しさに涙が流れました。
その時からです。
私に社交の誘いがあるたびに、その日のうちにレオナルド様からも誘いの使者が来るようになりました。
後に侍女達を問い詰めました。
レオナルド様の依頼で、私に社交の誘いがあると伝えることになっていたのです。
なんとなく予感していました。
いえ、期待していたといっていいでしょう。
私がレオナルド様と時間を合わせて社交に参加すると、レオナルド様も仮面をつけてくださっていました。
悪意や興味本位で、私を社交に誘った主催者は驚き慌てていました。
ウィンターレン公爵家とリクストバラ侯爵家が傾いた原因は知っています。
私を笑い者のしようとして、レオナルド様に疎まれたら破滅ですから。
ですが、レオナルド様は容赦されませんでした。
「伯爵。
貴君の性根はよく分かった。
この事、終生忘れないよ」
レオナルド様も私も幼過ぎたのです。
正義感が強すぎて、腹芸など使えなかったのです。
それが、レオナルド様を貴族士族から厭われる遠因となり、冤罪に陥れられる事に繋がってしまったのです。
感想 8
あなたにおすすめの小説
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
[完結]いらない子と思われていた令嬢は・・・・・・
青空一夏私は両親の目には映らない。それは妹が生まれてから、ずっとだ。弟が生まれてからは、もう私は存在しない。
婚約者は妹を選び、両親は当然のようにそれを喜ぶ。
「取られる方が悪いんじゃないの? 魅力がないほうが負け」
妹の言葉を肯定する家族達。
そうですか・・・・・・私は邪魔者ですよね、だから私はいなくなります。
※以前投稿していたものを引き下げ、大幅に改稿したものになります。
(完)婚約解消からの愛は永遠に
青空一夏エリザベスは、火事で頬に火傷をおった。その為に、王太子から婚約解消をされる。
両親からも疎まれ妹からも蔑まれたエリザベスだが・・・・・・
5話プラスおまけで完結予定。
婚約者の私より幼馴染の方が好きと言われたので、皆に知らせてから別れます
天宮有伯爵令嬢のメリナは、婚約者のガルーザ王子から蔑まれていた。
ガルーザは幼馴染で侯爵令嬢のマインが好きなようで、メリナと別れることを目論んでいる。
評判を落とそうと嫌がらせをしてくるガルーザに対して、メリナは我慢の日々を送っていた。
そして誕生日の前日に「お前よりマインの方が好きだ」と言われたことで、メリナは行動する。
ガルーザがマインを好きだと皆に知ってもらい、婚約破棄が決まった。
その後ガルーザは、メリナがいなくなり後悔することとなる。
妹が嫌がったので、呪われた辺境伯へ身代わりで嫁ぎました。ところで、毎晩私の寝台で眠る黒狼は旦那様ですか?
月白ゆいか妹ミリアが嫌がったため、伯爵令嬢エレナは呪われた辺境伯ルーファスのもとへ身代わりで嫁がされる。
婚礼初夜、夫はエレナに「夜は必ず寝室の扉に鍵をかけろ」と告げ、彼女を一人残して去ってしまった。
けれど夜半、鍵をかけたはずの寝室で、エレナの寝台の足元に大きな黒狼が眠っていた。
黒狼はエレナを襲わない。むしろ毛布を戻し、彼女を守るようにそばにいる。
金色の目。胸の傷。昼間の夫と同じ反応。
「もしかして、旦那様ですか?」
怖い噂だけで夫を判断したくないエレナは、黒狼の正体と呪いの秘密に自分から向き合っていく。
これは、身代わりで嫁がされた令嬢が、呪われた辺境伯を怪物ではなく夫として呼び、自分の居場所を選び直す物語。
【完結】追放された元・大聖女の行方は誰も知らない。
五十鈴 美優「本日をもってお前との婚約を破棄する。大聖女の称号も剥奪し、王都からの追放を命ずる」
ユリアナは平民ながら強い癒しの力を持っていた。1000年に一度現れるとされる大聖女の称号を得て、婚約者となった王子リッドと共に魔物討伐に邁進する日々を送っていた。
だがリッドはユリアナを休ませることなく働かせ、ユリアナの癒しの力を濁らせていた。
そんな時に圧倒的な力を持つ上級魔物が、王国北部に襲来する。
ユリアナは全力を尽くしたものの、多くの犠牲を出してしまった。
ユリアナはその責任を押し付けられ、大聖女の称号を剥奪される。リッドからの婚約破棄に加え、王都からの追放を命じられた。
それから一年。ユリアナはユーリと名を改め、顔を隠し、新たな職に就いていた。
妹が選ばれたと思っていたら、本当に選ばれていたのは私でした
ゆきの ひより 家族に疎まれ、妹の影に隠れて生きてきたセレナ。
ついに家を出た彼女が辿り着いたのは、辺境の小さな村だった。
そこで初めて“自分の価値”を知り、静かな幸せを見つけていく。
一方その頃、都では妹アンジェリカが“公爵夫人になる”と浮かれていた。
だが顔合わせの日、思いもよらぬ事実が明らかになり、社交界は一夜にして騒然となる。
そしてある夕暮れ、村に一人の公爵が現れる。
「……見つけました。ずっと、あなたを――」
二年前の夜、ローズガーデンで交わした一瞬の邂逅。
その記憶だけを頼りに、彼はずっと探し続けていた。
忘れられた娘が、静かな村で再び光を取り戻す物語。
ざまぁと再生と、二年越しの恋の行方。
かわいそうな私をやめることにしました。
石河 翠ドローレスは、かつて魔物に襲われた影響で耳がよく聞こえない。そのため屋敷内でできる執務を担っていたが、社交を控えているせいで、婚約者と妹に関する良くない噂が広がってしまっていることに気づく。
婚約者と妹の不名誉な噂を払しょくしたい。そう願ったドローレスは耳の手術を受けることを決める。これですべてがうまくいくと思いきや、婚約者も妹も主人公の身体に負担をかけるようなことばかりしでかしてくる。このままでは再び耳が聞こえなくなる可能性が高い。
家族のことを思うばかり、いろいろなことを呑み込んでいた彼女だったが……。
可哀想な自分をやめたヒロインと、ヒロインが前を向けるように見守るヒーローの恋物語。ハッピーエンドです。
この作品は他サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID:4470778)をお借りしております。