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反乱編
13話
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クリスティアンがアリアンナと話し合っているころ、皇宮では熾烈な戦いが展開されていた。
圧倒的に不利だった皇帝だが、皇帝専用の魔道具の力で持ちこたえていた。
ギリギリの状態ではあったが、皇太子や皇后に首を取られてはいなかった。
だが皇太子と皇后は、この時のために密かに魔道具を集めていた。
皇帝専用の強力な魔道具ほどではなかったが、皇太子と皇后が権力にあかせて集めた魔道具だけあって、そこそこ強力な魔道具が数多く集まっていた。
皇帝が籠城する執務の間に皇太子勢が突入しようとしたとき、急ぎ皇城に戻ったファインズ公爵の率いる軍勢が、皇都の城門や皇城の城門を塞いでいた皇太子勢を蹴散らしてやってきた!
この時には、日和見していた貴族士族も『皇帝陛下の御恩に報いる』と心にもないことを叫びながら、ファインズ公爵軍に合流していた。
合流したどころか、今まで日和見していたことを隠蔽し、あわよくば大手柄にしようと先を争って先方を務めようとした。
だが天の神々は甘くない。
いや、天の神々の時間感覚では、とてもではないが人間に手厚い加護など与えることは不可能なので、その辺は神々の御子が任されている。
その神々の御子は、最初から全てを見ていた。
冷たくさめた目で、皇族と貴族士族を見続けていた。
戦況が劇的に一変した。
遠巻きに日和見していた貴族士族が、一斉に皇太子と皇后の首を取ろうと、槍や剣を構えて殺到したのだ。
それに慌てた俄か皇太子勢は、蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。
槍や剣を捨てて投降しようとした者達は、容赦なく首を取られた。
それに恐れをなして、ほとんどの将兵が皇太子と皇后を見捨てて逃げ出した。
カーカム侯爵は馬鹿ではない。
強大な皇国で権謀術数の限りを尽くし、皇帝陛下弑逆をあと一歩まで持ち込めるくらいには優秀なのだ。
このままではろくな抵抗もできずに皆殺しになると直ぐに判断した。
だから名誉など関係なくに逃げた。
脱兎のごとく逃げた!
だが、再起の旗頭を捨てなかった。
その点には命をかけた。
情勢判断がでずに騒ぐだけの愚かな皇太子と皇后を殴って気絶させ、荷物のように運んで皇宮・皇城・皇都の城門を突破し、自らの拠点である侯爵領に逃げた。
それを可能にしたのは、強欲だがそれなりに有能な皇太子の側近貴族だった。
彼らは自分達が絶対に許されないことを理解していた。
だから生き延びるために死力を尽くして戦った。
戦ったと言っても、逃げるための戦いだ。
カーカム侯爵の軍勢と一緒に、一点突破で逃げ出した。
それを可能にしたのは、多くの日和見していた貴族士族が、助け出された皇帝陛下の前に出て顔を確認してもらい、味方したと認定してもらおうとしたためだった。
追撃ができなくなってしまったのだ。
その時クリスティアンは冷徹な決断を下していた。
圧倒的に不利だった皇帝だが、皇帝専用の魔道具の力で持ちこたえていた。
ギリギリの状態ではあったが、皇太子や皇后に首を取られてはいなかった。
だが皇太子と皇后は、この時のために密かに魔道具を集めていた。
皇帝専用の強力な魔道具ほどではなかったが、皇太子と皇后が権力にあかせて集めた魔道具だけあって、そこそこ強力な魔道具が数多く集まっていた。
皇帝が籠城する執務の間に皇太子勢が突入しようとしたとき、急ぎ皇城に戻ったファインズ公爵の率いる軍勢が、皇都の城門や皇城の城門を塞いでいた皇太子勢を蹴散らしてやってきた!
この時には、日和見していた貴族士族も『皇帝陛下の御恩に報いる』と心にもないことを叫びながら、ファインズ公爵軍に合流していた。
合流したどころか、今まで日和見していたことを隠蔽し、あわよくば大手柄にしようと先を争って先方を務めようとした。
だが天の神々は甘くない。
いや、天の神々の時間感覚では、とてもではないが人間に手厚い加護など与えることは不可能なので、その辺は神々の御子が任されている。
その神々の御子は、最初から全てを見ていた。
冷たくさめた目で、皇族と貴族士族を見続けていた。
戦況が劇的に一変した。
遠巻きに日和見していた貴族士族が、一斉に皇太子と皇后の首を取ろうと、槍や剣を構えて殺到したのだ。
それに慌てた俄か皇太子勢は、蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。
槍や剣を捨てて投降しようとした者達は、容赦なく首を取られた。
それに恐れをなして、ほとんどの将兵が皇太子と皇后を見捨てて逃げ出した。
カーカム侯爵は馬鹿ではない。
強大な皇国で権謀術数の限りを尽くし、皇帝陛下弑逆をあと一歩まで持ち込めるくらいには優秀なのだ。
このままではろくな抵抗もできずに皆殺しになると直ぐに判断した。
だから名誉など関係なくに逃げた。
脱兎のごとく逃げた!
だが、再起の旗頭を捨てなかった。
その点には命をかけた。
情勢判断がでずに騒ぐだけの愚かな皇太子と皇后を殴って気絶させ、荷物のように運んで皇宮・皇城・皇都の城門を突破し、自らの拠点である侯爵領に逃げた。
それを可能にしたのは、強欲だがそれなりに有能な皇太子の側近貴族だった。
彼らは自分達が絶対に許されないことを理解していた。
だから生き延びるために死力を尽くして戦った。
戦ったと言っても、逃げるための戦いだ。
カーカム侯爵の軍勢と一緒に、一点突破で逃げ出した。
それを可能にしたのは、多くの日和見していた貴族士族が、助け出された皇帝陛下の前に出て顔を確認してもらい、味方したと認定してもらおうとしたためだった。
追撃ができなくなってしまったのだ。
その時クリスティアンは冷徹な決断を下していた。
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