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第六章

第88話:量産

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 俺は古竜素材の武器と防具を急いで作った。
 だが素材が全コボルト族と全オーク族に配るほどの量がなかった。
 仕方がないので純血竜素材の武器と防具も作った。
 戦士以外のコボルト族とオーク族にはそれで我慢してもらう。
 彼らなら人族と違って悪用しないと信じられる。

 同じ人間を信じられないのは哀しいが、この世界の神が堪忍袋の緒が切れて絶滅させる気でいるくらいだ、俺が信じられなくて当然ともいえる。
 それでも人族を絶滅させたいわけではない。
 だからこそ使い魔とドッペルゲンガー、強化型ドッペルゲンガーと属性竜級の使い魔竜を大陸各地に派遣して護っているのだ。

 古竜素材と純血竜素材の武器と防具が完成する頃には丸一日経っていた。
 大魔境で無尽蔵に生み出される魔獣と魔蟲、竜種を斃していると古代竜級の魔力であろうと直ぐに減ってしまうのだ。
 斃した魔獣や魔蟲、竜種の魔晶石や魔宝石から魔力を補充しなければ、アルファ、ベータ、ガンマの三体とも魔力が半分以下になっていただろう。

 俺は四体目の古代竜級ドッペルゲンガー、デルタを創り大魔境に送り出した
 デルタには一日がかりで創り出した武器と防具を持たせた。
 更に魔法袋にある魔核と魔晶石を全て使って、古代竜級ドッペルゲンガー補充用の圧縮強化魔晶石を大量に創り出して運ばせた。
 それで新しい三体の古代竜級ドッペルゲンガーを創るよりも、稼働中のアルファ、ベータ、ガンマを長時間稼働させた方がいい。

「よう、今度来たのは何て名前なんだい」

 ビリルギルド大戦士長が支援に送ったデルタに声をかけてきた。
 全員と繋がっているので頭の中で優先順位を付けないと混乱する。
 今は大魔境最優先で、他の人族都市に送った連中は自動反応させている。

「初めまして、俺はデルタだ。
 ジェイコブから補充用の魔宝石を預かって来た。
 俺とアルファが残る、ベータ、ガンマは手元にある素材を持って帰ってくれ」

 デルタの支援と補充用の魔晶石、三体の魔力残量と手に入った魔晶石と魔宝石。
 それを計算してアルファは魔力が充満した状態にしてある。
 ベータ、ガンマは魔力がほぼ半減してしまっている。
 この状態では大魔境にはおいておけない。
 直ぐに素材を持って戻さないと古代竜と遭遇した時が危険なのだ。

 それに今回手に入った古竜群れの素材はどうしても確保しておきたい。
 純血竜と属性竜の素材も活用したい。
 彼らから手に入れた魔宝石を圧縮強化して古代竜級ドッペルゲンガーを創り出す。
 今稼働中の古代竜級ドッペルゲンガーは四体で、補充用の圧縮強化魔宝石は九体分になっている。

 だが大魔境から素材を持ち帰ることができれば、古代竜級ドッペルゲンガーは九体となり、補充用の圧縮強化魔宝石は十体分になる。
 そして彼らに古竜や純血竜を生きたまま捕獲させることができれば、もっと多くの古代竜級ドッペルゲンガーを創り出す事が可能になる。
 いや、亜龍級ドッペルゲンガーの制作すら不可能ではなくなるのだ。
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