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第一章

閑話 可愛いプラム3

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― 現代のテイラー家 ―

キャシーがジェラルドに、いつものようにドレスを強請っていた。

「ねぇ、ジェラルド様?私、プラレットのドレスが欲しいわ!あれを着たら、ジェラルド様の横に立つのに相応しいと思うの。ジェラルド様みたいに素敵な人の横に立つ為には、プラレットのドレスしかないと思うの!」

「キャシーは何を着ても輝いているのに、私の為にと考えてくれたんだね?よし、明日にでも買いに行こう!」


しかし、テイラー領にあるプラレット・テイラー支店に向かった二人は店に入ることすらできなかった。屈強な護衛二人組に止められてしまったのだ。

「私は次期テイラー伯爵だぞ!私が来てやったんだ!何故入れないのだ!」

「そうよ!ジェラルド様は次期伯爵で、私は次期伯爵夫人よ?ドレスを買いに来たのよ!」

そう言って喚く二人に護衛達は冷静に言い放った。

「申し訳ございません。当店は大変忙しく、予約も殺到しておりますので…ご予約されていないお方はどなたであれ、入店はできません」

「ご予約されてからお越しください」

「では、予約はいつ取れるのだ…?」

ジェラルドは屈強な護衛には太刀打ち出来ないと思い、渋々と引き下がり、護衛達に質問した。

「さぁ…?私共にはわかりかねます。どうぞ本日のところはお帰り下さいますように…」


屋敷に帰ったジェラルドはすぐにプラレットに手紙を出したが、返事は一向に来なかった。


「ふんっ!メグお姉ちゃんを傷付けたやつに、ドレスを売るわけないじゃない!一生予約待ちよ!」

ブティックのオーナーであるプラムは、送られて来た手紙を破いて捨てたのだった。


「なんでプラレットのドレスが買えないのよー!!」

キャシーの脱ぎ散らかしたドレスが散乱する一室で叫んだ大きな声が、テイラー家の屋敷に響き渡るのだった。
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