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ショック
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会社の廊下を歩いていると、後ろから声をかけられた。
「美香さん!?」
「ああ、雪華さん。こんな時間まで残業?」
「ええ、今日夕方打ち合わせ入っちゃってこんな時間に……って美香さんこそ!大丈夫なんですか?こんな時間まで残業なんて!あ、なんか事務課トラブルあったんでしたっけ?」
雪華さんは矢継ぎ早に話しかけてくる。私は笑いながら答えた。
「まあ、夫には事情を説明したから大丈夫。もしかしたらちょっと数日色々制限がかかるかもしれないけど……」
「制限かかるなんて!美香さんは一生懸命仕事してるだけなのに!」
なぜか雪華さんが憤慨している。
そう言いながら二人で会社を出た。会社の門の所に敦さんが待っていた。
「美香さん!お疲れ様です。かわいそうにこんな時間まで……」
そう言いながら駆け寄ってきた。
「もうこんな時間まで仕事するなんて事が無いように……って、あれ?石川も一緒だったんだ?」
え?今敦さん何て言った?
私がぽかんとしている横で、バツが悪そうに顔をそらしている雪華さんがいた。
敦さん、何で、雪華さんの名前……。
「ど、どうも。お久しぶりです先輩」
雪華さんはしどろもどろになりながら、敦さんに挨拶した。
「ど、どういう事なの?」
思わず私は雪華さんのほうを見た。
「知り合いなの?だってそんな事一言も……」
私は動揺して二人を見つめた。
「あ、石川言ってなかったの?石川とは古い知り合いなんだけど、美香さんと同じ会社だって知って、よかったら友達になってあげてってお願いしてて」
敦さんがあっさりとした様子で言う。
一方の雪華さんはとても気まずそうな顔でこちらを一切見ない。どうして。どうして知らないふりをしていたの。
「あの、美香さん」
恐る恐る、といった様子で雪華さんは私に顔を向ける。
「あの、これは」
「雪華さんは、敦さんの知り合いだったのね。ずっと、知らないふりをしていたんだ」
私はとても怖い顔をしていたのだと思う。
ずっと、私の味方だというふりをして、私に協力するふりをして、友達のふりをして!
私は感情がぐちゃぐちゃになった。
「敦さん、行きましょう」
私はそう言って敦さんを引っ張ると、雪華さんに雪華さんに挨拶することなく、家路に急ぐのだった。
帰り道の事は全く覚えていない。その日、私は家に帰ってからも、ショックで何もする気になれず、最低限のことをこなして不貞腐れるようにベットに潜り込んだ。
敦さんのほうは、私が残業で疲れたのだと思い込んでおり、優しく寝せたままにしてくれた。
考えてみれば、おかしなことはあった。
雪華さんが初めて敦さんをみたはずの時、知らないはずなのにはっきりと「旦那さん」と言い切ったこと。
男女問わず、自分の知らない人と私が親しくしようとすぐに機嫌が悪くなる敦さんが、雪華さんからのメッセージをみても一切問い詰めをしなかったこと。
一体雪華さんはどういうつもりだったのかしら。
敦さんのいうとおり、ただ言われて友達になったのなら、別に敦さんのことを知らないふりなどする必要はないはずだ。
やっぱり私の会社での動向を、敦さんに報告するために近づいたのかしら。だとしたら、今回の映画の件はまるで筒抜けのはずだ。敦さんは知ってて私を泳がせているのだろうか。それとも、まだ知らなくて、もっと計画が完成されてから雪華さんは報告するつもりだったのだろうか。
「一緒に行くって言ったとき、あんなに嬉しそうにしてくれていたのに」
あれは嘘だったのだろうか。私は悲しくなって枕に顔を押し付けた。
「美香さん!?」
「ああ、雪華さん。こんな時間まで残業?」
「ええ、今日夕方打ち合わせ入っちゃってこんな時間に……って美香さんこそ!大丈夫なんですか?こんな時間まで残業なんて!あ、なんか事務課トラブルあったんでしたっけ?」
雪華さんは矢継ぎ早に話しかけてくる。私は笑いながら答えた。
「まあ、夫には事情を説明したから大丈夫。もしかしたらちょっと数日色々制限がかかるかもしれないけど……」
「制限かかるなんて!美香さんは一生懸命仕事してるだけなのに!」
なぜか雪華さんが憤慨している。
そう言いながら二人で会社を出た。会社の門の所に敦さんが待っていた。
「美香さん!お疲れ様です。かわいそうにこんな時間まで……」
そう言いながら駆け寄ってきた。
「もうこんな時間まで仕事するなんて事が無いように……って、あれ?石川も一緒だったんだ?」
え?今敦さん何て言った?
私がぽかんとしている横で、バツが悪そうに顔をそらしている雪華さんがいた。
敦さん、何で、雪華さんの名前……。
「ど、どうも。お久しぶりです先輩」
雪華さんはしどろもどろになりながら、敦さんに挨拶した。
「ど、どういう事なの?」
思わず私は雪華さんのほうを見た。
「知り合いなの?だってそんな事一言も……」
私は動揺して二人を見つめた。
「あ、石川言ってなかったの?石川とは古い知り合いなんだけど、美香さんと同じ会社だって知って、よかったら友達になってあげてってお願いしてて」
敦さんがあっさりとした様子で言う。
一方の雪華さんはとても気まずそうな顔でこちらを一切見ない。どうして。どうして知らないふりをしていたの。
「あの、美香さん」
恐る恐る、といった様子で雪華さんは私に顔を向ける。
「あの、これは」
「雪華さんは、敦さんの知り合いだったのね。ずっと、知らないふりをしていたんだ」
私はとても怖い顔をしていたのだと思う。
ずっと、私の味方だというふりをして、私に協力するふりをして、友達のふりをして!
私は感情がぐちゃぐちゃになった。
「敦さん、行きましょう」
私はそう言って敦さんを引っ張ると、雪華さんに雪華さんに挨拶することなく、家路に急ぐのだった。
帰り道の事は全く覚えていない。その日、私は家に帰ってからも、ショックで何もする気になれず、最低限のことをこなして不貞腐れるようにベットに潜り込んだ。
敦さんのほうは、私が残業で疲れたのだと思い込んでおり、優しく寝せたままにしてくれた。
考えてみれば、おかしなことはあった。
雪華さんが初めて敦さんをみたはずの時、知らないはずなのにはっきりと「旦那さん」と言い切ったこと。
男女問わず、自分の知らない人と私が親しくしようとすぐに機嫌が悪くなる敦さんが、雪華さんからのメッセージをみても一切問い詰めをしなかったこと。
一体雪華さんはどういうつもりだったのかしら。
敦さんのいうとおり、ただ言われて友達になったのなら、別に敦さんのことを知らないふりなどする必要はないはずだ。
やっぱり私の会社での動向を、敦さんに報告するために近づいたのかしら。だとしたら、今回の映画の件はまるで筒抜けのはずだ。敦さんは知ってて私を泳がせているのだろうか。それとも、まだ知らなくて、もっと計画が完成されてから雪華さんは報告するつもりだったのだろうか。
「一緒に行くって言ったとき、あんなに嬉しそうにしてくれていたのに」
あれは嘘だったのだろうか。私は悲しくなって枕に顔を押し付けた。
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