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明かされる真実編

28.卵が先か鶏が先かという話(1)

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 一年が過ぎ、そしてまた一年が過ぎた。

 ステボの時刻表示だと十二時間しか過ぎていないが、イノリンが開発したという年月日表示付きの魔導時計がそれを教えてくれている。

 ベッドから降りた俺は、伸びをして体をほぐし、部屋のカーテンを開ける。遮られていた光が部屋に差し込み、一気に明るくなる。

「う、もう時間?」

 隣のベッドで寝ていたフィルが目を覚まし、欠伸をしながら半身を起こす。これも、もう見納めになるのかと思うと、少し寂しくなった。

「今日で最後だからね。早めに準備しようと思って」

「あ、そっか」

 フィルはそれ以上は何も言わず、身支度を整え始めた。一階に降りると、もうヤス君とサクちゃんが食卓に着いていた。朝の挨拶をしつつ、俺とフィルも席に着く。

「二人とも早いね」

「ユーゴの飯を食うのも、今日で最後だと思ったらな、気がいた」

「いや、作ってある分は渡すから。皆で食べてよ」

「あざっす。つーか、サクやん、今は言わないでくれません?」

「そうだよ。しんみりするだろ」

 朝食は、俺たちがパーティーを組むことになった日に食べたムーカウステーキのセットにした。色々あったな、と思い出を語り合って食べた。

 皆とは、これでお別れだ。俺だけ別行動になる。

 そして、その後も二度と会うことはない。

 そういう運命の中に俺たちはいた。

 今日も家を出て訓練場に向かう。外観は屋根付きのドーム型建造物。中は桃花仙トウカセンの魔物の巣窟と繋がっていて、開いた穴から続々と魔物が出てくる。イノリノミヤ、いや、イノリンが俺たちの為に用意していた特別鍛練施設だ。

 その扉の前で、鍛練後のエリーゼたち女子組が待っていた。

「おはよう、皆」

「ああ、おはよう」

 皆で朝の挨拶を交わす。が、空気が重い。

「先、行ってますね」

 ヤス君が気を利かせて、鍛練場の中に入っていった。フィルとサクちゃんも後に続く。三人が姿を消すなり、イザベラが抱きついてきた。

「ユーゴ! アタイ、忘れないからな! 絶対忘れない!」

 それだけ言うと、頬にキスして駆けていった。

「ユーゴさん、アタクシも!」

 次はレノアが。ニーナは無言で抱きついてきた。

「たまには、私のことも思い出してくれ」

 最後はエリーゼが涙ぐんでそう言った。

「誰のことも忘れないよ。絶対に」

 俺はそう答えて、女子たちとハグをして別れた。

 本当、あっという間だったよな……。

 心で呟くと、この生活を始めた日のことが思い起こされた。

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