嘘つきと迷子の猫〈記憶を失くしたふりの彼〉
弟が連れてきたのは、記憶喪失だという見知らぬ少年だった。
仕方なく一晩だけ泊めることにしたけれど、どうにも様子がおかしい。
軽口を叩きながら距離を詰めてきて、やけに馴れ馴れしい。
――そのくせ、時折見せる目は笑っていなかった。
「どうして忘れちゃったの、水織」
名前を呼ばれた瞬間、背筋が凍る。
嘘をついているのは彼か、それとも――。
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嘘をついているのは彼か、それとも――。
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