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マッケンジー邸

4.釘を刺された

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「2人に言っておきたいことがあるんだけど」

 スペンサーが冷ややかな目で、イーサンとセオを睨みつけた。

「リディアの意思を無視したらただじゃおかないから。
マーサ、しっかり見張っといてくれないかな。
見たところこの件に関して、父上は余り役に立ちそうにないから」

「畏まりました。リディア様とライリー様はとてもよく似ておいでなので、坊っちゃまのおっしゃる通りだと思います」


「お兄様? 私時々だけど無茶をする事があるからイーサンやセオ、ルーカスに諌めてもらった方がいい時もあるのよ」

「リディア、ルーカスって?」
 スペンサーが訝しげな顔をしている。

「ルーカスはね、実務担当って感じかしら。
商会員の人事や帳簿管理を担当してくれてるの。
商会の事は、いつも4人で話し合って決めるのよ」


 スペンサーがイーサンとセオに、
「もしかして伏兵?」

「さて、どうだろうな。ルーカスは腹が読めねえとこがあるから。
あいつが立てる戦略には隙がないから、味方にしとくにゃ最高だが敵になったら一番やばいタイプだな」

「セオはどう思う?」

「信頼できる男です。情報分析はルーカス、行動力はイーサンが一番です」

「セオの得意は何?」

「俺ですか? えーっと俺は「セオは調整役だな。こいつが全員を纏め上げてる」」


「ふうん・・リディア、今度来る時はルーカスも連れてきてくれるかな?」

「えっ? お兄様はルーカスに会いたいの?」


「この流れで分かってないとか、かなり重症だね。父上は?」

「私? お前は商会に興味があるのか?」

 スペンサーは父親を呆れ顔で見た後、
「マーサ、頑張ってくれ」

「はい、心得ております」


 スペンサーはリディアの目を覗き込みながら、
「ポーレット伯爵家は商会と深い関係があるし、リディアは将来俺に商会に関わって欲しいんだろ?」

「勿論よ、そうなったら最高ですわ」

「だったらルーカスを連れてきてくれるかな?」

「ええ、分かったわ。3人が商会の屋台骨ですものね」


 リディアはスペンサーに上手く丸め込まれたことに気づかず、とても嬉しそうにしていた。


「仕事では知識もあって、行動力や判断力も申し分なさそうなのに。
リディアがここまで偏ってるのは、一体誰の責任なんだろう」

 全員を見回すスペンサーの目に戸惑う者と慌てる者がいたが、マーサは一人期待の目でスペンサーを見つめていた。


「マーサ、問題点と解決策は思いつくかい?」

「今までお嬢様は商会を大きくして坊っちゃまを探すことしか考えておられなかったので、精神面が育ってないのだと」

「つまり、俺のせいもあると?」

「いえ、そう言うわけでは」

 マーサが慌てて弁解しようとしたが、
「いや、お陰で解決策が見つかったから。
なるべく早くリディアの矯正に取り掛かれるよう方法を考えるよ」


「またディスられてる。今度は絶対間違いないわ」
 リディアは一人頬を膨らませていた。

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