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第2章
第4王女との遭遇
しおりを挟む歓迎パーティーの前の陛下たちとの挨拶には予定通りフレッドと私の2人だけで行くことにした。
案内され、兵士についていくとその途中で女性が立っているのが目に入る。ゴテゴテしいその格好の女性はフレッドを見つけると、目を輝かせて近寄ってくる。
「フレッド様、お待ちしておりました。今日は私の為に来てくださってありがとうございます。長旅で疲れたんじゃありません?さぁ、こちらへ。最高のおもてなしをいたしますわ」
あら……想像以上にすごい人……
結婚したことはこの国にも報告しているのに、新婚の2人を前に「私の為に来てくださって」と言う方なんている?しかもこれが王女だなんて。
「王女殿下、お久しぶりでございます。カリシャール国フレッド・ナシェルカがご挨拶申し上げます。私のような隣国の一介の貴族にわざわざ声をかけて頂けるなど、王女殿下のその御心に感謝致します。しかしこれから妻と共にダリジャン陛下へのご挨拶に参りますので、おもてなしはご遠慮させて頂きますね」
フレッドは”妻と”と言うときにわざと私の腰を引き寄せて存在をしっかりと見せつけるように行動した。
そのおかげで王女はようやく諦める。
ことなどなく、ギッと私を睨みつけた。
「あら、あなたがフレッド様と結婚できたという幸運な女性ね。私はティラ―ス・クルールート、この国の第4王女よ。この国にいる間はフレッド様の事を借りても文句なんてないわよね。あなたは今までフレッド様の事を独占していたのでしょうから、それ以上望むだなんて、それは欲張りすぎというものよ」
私に堂々とそんな事を言い放つ王女。
これには思わず閉口してしまった。こんな王女であれば確かに問題にしかならないかもしれない。
だが、気を取り直して私は貴族として挨拶を行うことにする。
「王女殿下、お初にお目にかかります。私サリー・ナシェルカと「あ、結構よ。私、自分に必要な方の名前しか覚えないの。だから自己紹介されてもしょうがないのよね」………」
……わぉ………
私は思わずフレッドを見てしまう。「こんな人どうしたらいいの?」そんな思いを心に抱いて。
フレッドは同じように私を見つめ、困ったように眉を下げて微笑んでいる。まるで安心してとでも言うように腰にあてている手をトントンと動かして。
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