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第2章

話し出した事実①

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「申し訳ありません…全てお話しいたします。ですがどうかひとつだけ。
こんなこと頼める立場でないのはもちろん承知です。ですがどうか、、、、家族は……どうか、、見逃してください……お願いします!!どうか……どうか……」

「とりあえず先に話を聞こう。ただし、もし虚偽があった場合、こちらとしては即刻王家に君も家族も引き渡しことにする。くれぐれも虚偽がないように」

その言葉にポツポツと話しだした内容は聞くだけで気分が悪くなるような内容だった。

まず予想通りだったのは、私を襲おうとしたことは第4王女から指示されたからだと言うこと。
だが肝心なのはなぜ彼女が王女に従ってしまったかと言うこと。もちろん王女という立場の前には従うしか、他なかったんだろう。だがそれ以上の恐怖を彼女は感じていた。
7歳の時にパーティーで男性に褒められてしまった。それがために、ただそれがために、彼女は王女に目をつけられてしまった。そして嫌がらせが始まった。

でもそのぐらいならよかった。自分は伯爵家の長女でもない。跡継ぎでもない。だから王女のこれ以上の不興を買わない為にも、社交界に出なければ良い、そう思っていた。
でもそんなセレーン嬢の思惑とは裏腹に、社交界にでなければ王女からの招待状が届いた。皇女からの招待状が届くと、当主である父に参加しろと叱責される。社交界では侮辱され、ドレスにジュースをかけられることだって何度だってあった。

そんな社交の場での嫌がらせでは満足できなくなったのか、王女からメイドとして採用したいと言う申し出が伯爵家にあった。それを受けた父は嬉々として王女に会いに行った。そして相場より多い契約金を受け取ってしまった。

「私はその料金で王女に売られたのです。それからは最下級の仕事を割り振られ、水仕事ばかりで、荒れている手のまま社交の場に必ず参加させられました。そんなにしてもまだ何が気にいらないのか、ある日私が部屋で寝ていると部屋で物音がし、1枚の衣類も身にまとわない男の人がそこにはいました。その人は普段、王女の寝室に出入りしている方の1人で、誰の差し金かなんてすぐにわかりました。けれどわかったところでどうしようもできなかった。王宮の中に住んでいる私に逃げる場所なんてない。逃げようとしたところで表に兵士がいたらきっと捕まえられる。逃げることなんてできなかった。ただただ溢れ出る涙を流して、ニヤニヤとする男の顔を見ながら、気持ち悪さとその痛みにただ耐えるだけ。

男がいつ帰ったかも分からないけれど、ぼーっとして朝になっても、シーツが汚れていたって、誰が変えてくれるわけでもなく、男の欲求が体中を汚していても、誰が清めてくれるわけでもない。

こんな状況を作ってしまった自分を呪うしかできなかった。

それなのに王女の気が済むことなんてなくって、次は他の令嬢を男に襲わせる手伝いをしろと言ってきたんです。もちろん最初は断りました。でもそうすると妹のセリーヌを襲わせると言ったんです。まだ12歳になったばかりの妹を男に襲わせると。

そんなことどうしても許せなかった。

父は女は自分の道具としか思っていない。それでも私たちは、母と妹3人で協力してどうにか助け合ってきた。もしも王女が妹を襲わせようとしているだなんて父に言ったところで助けてくれるとは限らない。それどころか慰謝料としてお金だけ受け取って何もなかったことにする可能性の方が大きかった。お金ではとても片付けられないことなのに。そんなことを当たり前にする父だから私が妹を守らなきゃと思ったんです。

だからといって他の人を傷つけたかったわけではない。謝っても許されないことをしたとわかっています。でも私には当時、いえ、今だって他にどうしたらよかったのかわからない。他の方法なんて私にはなかった………


どうかお願いします。

お願いします。罰は私だけで、家族は知らないのです。

お願いします。どうか、どうか……」
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