妖精に嫌われた姫と妖精が隠す妖精の愛し姫

39.回想～婚約破棄のパーティーの後～⑤

それでも口に布を嚙まされたままのシャーロットは口も聞けず、「うぅぅっ」と大きな声を出しながら何かを訴えている。

「ほう…これほどとは…

いいだろう。シャルル、お前には特別待遇の席を用意しよう。しかしこれからは私のためだけに忠誠を誓いその力を私のために使うようにわかったな？

それからお前たち、このことは他言無用だ。
まぁ、お前たちが何を言おうと誰が信じるとも思えんがな」


「父上！！それでしたら私も！！」

「うるさい、お前にシャルルのような力があるのか？

まぁだがそうは言ってもお前は私の息子だ。1度だけチャンスをやらないこともない。

だがそれまでは周りの目もある。牢屋で過ごせ。

ただしそのチャンスをものにすることができなかったり、それまでに問題を起こした場合、どちらも後はないと承知しておけ」

冷たくそう言い放った王。
この言葉を最後に王子とシャーロットは牢に入れられ、同時にシャルルと体型が似通った女
が牢に入れられた。


同時に王は以前愛人を囲っていた部屋にシャルルを連れて行った。

「シャルル、お前の力は素晴らしい。
あの公爵がお前を見染めた気持ちがよくわかるよ。

だがあ奴にはそなたを使いこなせなかったのだろうな。
どうだ、今後私にだけ尽くすというのなら今よりも数倍いい暮らしを約束してやろう」

そういってシャルルを抱き寄せた。

シャルルもこの男が自分を利用するためにこんなことをしていることはわかっている。
それでもこの国で一番高貴な存在とされる男が、自分を求めている。自分を必要としている。それが心が震えるほどに嬉しかった。

だから王が求めるように力を出せるように練習し、王と共にある道を選んだのだ。

こうしてあの国際会議の出来事が起きてしまった。
国際会議にて異例の捕縛騒動が。