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後日談(レイズ伯編)
しおりを挟むある時、お父様とお祖父様が、スティーブ様と婚約していた時の話をしました。
「どうもきな臭いレイズ家とあの馬鹿息子の交流が頻繁にあると思って、レイズ家について調べていたら急に婚約の話を持ってきてな。即破棄しようとも思ったんだが、どちらにしても一度結んでしまえば婚約破棄ということになってしまう。それならば様子を見ようということになってな。そしたら調べていると息子の家に来るたびにあの息子はナディアの部屋に入り浸っているという。これはいいネタだと思ったんだよ。だからマリアにはこちらから接触する必要はないと言っていたんだがまさかパーティーの場であちらから婚約破棄を申し出てくれるなんてな。あれには笑う顔が抑えられんかったわ。そしたらアイザックも今だとばかりに婚約を申し出るし。まあ、結果としては全てがうまくいったからよかったがな」
お祖父様……悪い顔して笑っていますよ……
「それに、当主はリアムに決定していたんだが、あいつを決定的に納得させるものが欲しかった。私の一存だとただ文句しか言わないと思ってな。だから時間をかけて探すために子爵領を任せてみたらすぐにレイズ伯を子爵領に連れて行ってな。おかしいと思ったんだ。領地経営などしないと思っていたからな。そしたらなんだかわからんが、畑でもなく日当たりがよくない林の中でなにかを育てようとしていると報告があがってな。
まぁ、その前に私がレイズ伯について調べていると知った宰相たちが近づいて来てな。禁止薬物に関わっている可能性があると聞いていたから、すぐに話にいったんだよ。そしたらその日のうちに専門家を連れて子爵領に行き、禁止薬物だと確定していたんだ。自分の息子はここまで馬鹿なのかと失笑したよ。
そして、誰が管理しているのかを確認し、レイズ伯の手のものだとわかった。ここまであのパーティーの時には調べがついていたんだが、その先について調べ終わっていなくてな。レイズ伯達を捕らえることはできなかった。
だから裁判までに警察を総動員し、裁判直前にようやく隣国へ輸出品を押収することができたんだ。あの時捕らえることができなくてすまなかったな」
そうお祖父様は謝ってくれますが、私はレイズ伯爵家が捕らえられようとそうでなかろうとあまり気にもしませんでした。私と関りがないから正直どうも思っていませんでした。だから謝ってもらう必要はないのです。
でも一つだけ聞きたいことがありました。
「でも子爵領の皆さんは大丈夫だったのですか?税の横領だって、薬物の栽培だって迷惑がかかったのではありませんか?」
「ああ、元々少しの間管理するものを変更する。それにあたり不都合が出た場合、即管理人に連絡をしてほしいと伝えていたんだよ。だから税が引き上げられた時も報告が上がり、引き上げ分の税はこちらで負担するので、命じられた通り納めて欲しいと伝えていたから問題も起こらなかった。そして薬物の栽培に関してはわかった時点でその林への立ち入りを禁ずる連絡をしていたので、誰も立ち入らなかったそうだ」
さすが……元お父様はいいとこなしですね……
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