ゆうきと森のおじさん
中学一年生のゆうきは一学期を半分過ぎたある日、学校の先生やクラスメイトたちの声が聞こえなくなりました。ゆうきの身に突然起こった変化に心当たりのあるゆうきの父、なつきは高校生の頃にゆうきと同じ経験をもつ弟のはるきに連絡し、夏の間ゆうきをまかせることにしました。東京から北海道までひとりで旅をすることになったゆうきを待っていたのは、約束を平気ですっぽかす自由奔放な「はるきおじさん」でした。おじさんの別荘で暮らすことになったゆうきは森の中を散歩中に大切なボールペンを落としたことがきっかけで森の動物たちに出会います。不思議なことにゆうきには動物たちの話す言葉を聞き取ることができました。ひつじにもらったカチューシャをつけて人間であることを隠してこっそり動物たちの「赤い月の音楽会」に紛れ込んだゆうきは、飛び入り参加で成功を夢見るうさぎに誘われてなかば無理やりステージで歌うことになってしまいます。引っ込み思案で目立つことがきらいなはずのゆうきでしたが、演奏を聞いているうちに自然と歌詞が浮かび心のままに歌い、飛び入りのステージは大成功に終わりました。次の日、「名前をつけてほしい」と頼まれたうさぎに「ナル」と名付け友達になり、ゆうきが即興で歌った歌にナルから「森の旅の詩」という曲名をつけてもらいました。なぜ自分は動物たちの言葉がわかるのか。その答えを知っているのではないかと思われたはるきおじさんは、夏の間ゆうきの面倒を見るという約束をすっかり忘れて長期間の仕事に出かけてしまいます。ほぼひとりの生活を始めることになったゆうきを助けてくれたのは森でカフェを経営している優しいくま、そしてうさぎのナルでした。二学期を前に東京に帰らなくてはならないゆうきとナルに別れの時が訪れます。冬休みに必ず会いに来ると約束したゆうきの元に仕事から帰ったおじさんが現れ、不思議な「ちから」の答え合わせが始まりました。
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