大東亜戦争を有利に

英国空母は・・・

沈んでない、マーガレットⅡ世

　ハイゲン達は独逸帝国キール軍港潜水艦埠頭に帰った。　歓迎式典もない。　家人が迎えにきていただけだ。　おかしい、と思いつつ司令部へ。　「ハイゲン、さきほど帰還しました。」　と潜水艦隊司令のデーニッヒに申告した。　「ごくろう、英国空母の写真は。」　「いえ、魚雷６発あたり、撃沈しましたが。」とハイゲンだ。　潜水艦隊司令のデーニッヒは、「なにを言ってるんだ、さきほどニュースで、マーガレット王女が１日艦長で、ロイヤルネイビーの式典が終わったばかりだ、ポーツマスに空母はいるぞ。」　「へ、どうなってるんだ。」　ハイゲンは煙に包まれたように退出した。　独逸帝国の新聞は写真入りで、マーガレット王女と空母のツーショットをでかでかと１面に掲載していた。　まちがいない、オレが潜望鏡からうかがった空母だ。　では、あの６発の爆発はなんだったんだ。　命中しなければ、魚雷は燃料が尽きて海底に沈んで終わりである。　ハイゲンは空母からの対魚雷音波兵器で命中前に破壊されたとは夢にも思わなかったのである。　独逸潜水艦のソナー員も魚雷の爆発音で、耳に弊害がでないように、イヤフォンははずしていたのだ。　まあ、それで、対魚雷音波兵器の超音波の餌食にならなかったのだが。　・・・・・すこし、前の空母マーガレットⅡ世の艦橋だ。　「もうすぐ、ポーツマスだな。」　「長かったですね。」　と艦橋の士官らが思いにふけっていた。　とつぜん、警報音だ。　「ピィィィｘン、ピィィィン。」　「おい、魚雷警報だ。」と皆がさけぶ。　　合成音声が、ＣＩＣの高速演算機からでた。　「対魚雷破壊音波、自動発射、６回、６回。」　（英語で発音だが、ここは著者が日本語訳で書いています。）　数秒で、空母の右舷に巨大な水柱が６本立った。　ドウウウウウウウンンンと６回の爆発音だ。　「潜水艦だ。」　護衛駆逐艦が魚雷が来た方向に即、向かう。　英国譲渡空母は、ポーツマス軍港での式典で、正式に英国へ引き渡される。　それまで、日本海軍の臨時の艦長がいるのである。　艦長は我がアベ、イヤ山田総理から、くれぐれも英国までの航海を問題なきように、ケチがつかないように、間違っても攻撃など受けないように頼むと、言われていた。　もう、すこしでのところで、ケチが付いた。　すると、鎌倉造船幹部（いちおう、船を渡すまで造船会社も責任があり、幹部が乗ってるのだ。）が、モノホンの魚雷で、対魚雷音波兵器が効果あり、と判明したのだ。　それで、鎌倉造船幹部は、「対魚雷音波兵器の試験が、完全に成功しました、この兵器は、軍事機密あつかいですから、外部には漏らさないでください。」　臨時の日本軍の艦長は、、「そうか、試験であったのか、では内密にすること。」と解釈したのだ。　ハイゲンの独逸帝国海軍魂の６発の魚雷は、こうして闇に葬られたのである。　そして、６発の魚雷を海中に不法に投棄したとして、ハイゲンは始末書を書かされたそうな。（魚雷は爆弾より高額なのだ。）　　始末書で済んで、めでたい話ではあるが、めでたくも無い話であった。　そして、魚雷は空母へ向けて撃ったとのハイゲンの証言は、誰も信用しなかったのである。　 これで、英国にも、空母が正式に配備となったのである。　対ソ連ギガント包囲網は完成したのであった。