日本戦車を改造する。

ゆみすけ

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電子照準器の開発。

海のニコン、陸のトプコン。(トプコンは東京光学。)

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 これは、今野少尉が内地へ凛子を連れて陸軍省へ顔だしを・・・の、当時の話である。
大阪陸軍工廠へ斎藤主任を訪ねてときの話である。
 今野少尉にとり、専門分野ではなかったので、理解ができなかったのだが・・・
「やあ、お久しぶりです。」と、今野少尉だ。
 「え、え、満州の工場は、どうですか。」と、斎藤主任だ。
「新型九七式魔改造改が、試作完成して量産へ・・・」
 「そうですか、当方も負けてはいられませんな。」と、主任だ。
「じつは、欧州でソ連軍の大軍が確認されてまして。」
 「まさか、あのウワサはマジなんですか。」「え、え。」
「あの、ドイツが数に負けたという。」と、今野少尉が・・・驚く。
 「まあ、冬将軍も味方でしたから、なんともいえませんが。」と、主任だ。
「でも、ドイツが敗走したのは・・・」「え、え、マジです。」
 「信じられませんよ、あのドイツ戦車がですよ。」と、今野少尉だ。
ドイツ製の戦車は世界イチという伝説が世界を支配していたころだ。
 ソ連製と聞いても、「あっ、そう。」で、笑った時代だったのだ。
つまり、シナ製とソ連製はトントンだったのだ。

 「わが国は、ドイツと軍事技術で争っていましたからね。」
「しかし、機械関係では勝てないと踏んで、電子工学へ移行したんですよ。」と、主任だ。
 「機械の精度や工作では、ドイツのマイスターには勝負になりません。」
「しかし、電子工学は新しい学問の応用です。」
 「それに、活路を見出した日本の技師なのですよ。」と、自信満々の主任だ。
「それに、どうやら電子技術は日本人の相性がいいのですよ。」
 「なぜだが、わかりませんが。」と、言う主任だ。
確かに、最近になり無線機や通信機が良くなったような・・・
 「そうですよ、アンテナ技術では、どこにも負けませんよ。」
「最新のサイクロトロンも完成まじかなんですよ。」と、主任だ。
 「これは、最高機密なんですが。」と、マジ顔だ。
「いや、聞かなかったことにしますよ。」と、慌てる今野君だ。
 サイクロトロンが完成したなら、ウラン235の生成も・・・
じつは、サイクロ・・・なんのことだ・・・知識がついていかない少尉殿である。

 電気と日本人技師とは、相性がいいのはマジなのだ。
ジーゼルエンジンの燃料噴射ポンプも、ドイツ製には勝てなかったのだ。
 ところが、機械式を電気回路で動作させると・・・うまくいくのである。
電波の応用もあるのだ。
 電波は光と性質が同じである。
そして、光との差は周波数なのである。
 つまり、波なのだ。
モノに当たる光の反射波で色や形を眼は認識するのだ。
 そう、眼は光のレーダー受信機といってもいいのである。
なら、電波を反射させて、位置を特定できないかな・・・
 そこから、電波照準器が考えられたのである。
光学技術と電気技術の合体なのである。
 モノと物を組み合わせて、そして小型化する。
照準器は小型でないと・・・戦車の砲塔には入らないからだ。
 レーダーの日本での実験は陸軍がはじめたのである。
まちがった精神論で陸軍を揶揄するパヨク連中のウソ800なぞ、どうでもいいのだ。
 なぜ、米軍(GHQ)は日本陸軍を解体したのか・・・
それは、恐ろしかったからだ。
 食料さえあれば、負けない大東亜戦争なのだ。
腹が減っては、いくさはできないからだ・
 
 「では、25両の加藤戦車隊が大連港へ到着するのは、あと2日なんだな。」
「え、え、奉天の短波通信所からの暗号電文です。」と、通信兵卒だ。
 「よし、25両を3班にわけて、迎え撃つのはハルピンだ。」と、本郷司令官が決断した。
「準備が整い次第、出発しろ。」「輸送隊の編制や出発時間は追って指示する。」
 「通信機の点検と周波数の確認を忘れるな。」
「暖気運転は15分だ。」
 「修理班は集合して、乗車割をするぞ。:
隊内はハチの巣をつついた騒ぎだ。
 「いいか、これが最終決戦だと、おもえ。」「おう!」
各隊員らは自分の戦車へ向かって走る、走る。
 点検や暖気運転で15分なぞあっという間なのだ。
燃料キャツプを開けて、軽油が満タンか確認する。
 蓄電池の容量を電流計で確認する。
ジーゼルエンジンのヒーターへ電流を流す。
 赤いランプが・・・まだ、点かないぞ。
「あせるな。」と、車長が操縦士へ・・・
 赤ランプが点灯する。
スタータモータのスイッチを入れる。
 「キュルン・キュルン。」と、スターターが廻る。
やがて、「ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ。」と、18気筒のジーゼルエンジンが眼をさます。
 「回転200~300までだ。」と、アイドル運転だ。
春へむかっているのだが・・・満州は内地に比べて寒冷だ。
 それで、15分のアイドル運転なのだ。

 「今野から各車、ピ。」「確認を取るピ。」「2号車からだピ。」
「2号車、準備OKピ.」「3号車OKピ。」
 このピ音はスタンバイキーの音だ。(以下の通信からは略すピ。)
いちいち、どうぞとか了解って言わなくていいから便利なのだ。
 中には、ピ音だけの猛者もいるのだ。
無線通信室から通信兵が・・・あわてて駆け出してくる。
 なんか、叫んでいるがエンジン音で聞こえない。
やがて、無線が入る。
 「こちら、本部だ。」
「ソ連軍は、三本松を渡った。」「ソ連軍は、三本松を渡った。」
 「各自の健闘を祈る。」
ここに、ソ連軍の第4次侵攻が始まったのである。
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