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24. 王太子=ワガママって思うの私だけか?
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「返す返す、貴女を手放す事を惜しいと思うてなりません」
「いえ、私はまだ納得…、承服しておりません」
カナック国王ジェスター7世陛下に、ウィルバーム王国クレイン王家よりの親書の事を聞かされ、祖国が改めて私を求め、帰国を強く願っている事を知った直後、共に居たステラ王妃は、流石にやむを得ないという表情を見せたのだけど。
座を立ったジュスラン殿下は私の元へ来ると、しっかり肩を掴んできて。
「承服しかねます。そもそも彼女の本意でも無い。やっと、やっと巡り会えた女だと言うのに」
お気持ち、とても嬉しいです、殿下。
それに、掴まれた肩から…伝わってきます。
知り合って間もないのに…、私は、愛されてるって思っていいんですよね?
「お気持ちは嬉しく思います、ジュスラン殿下。ですが、流石に帰らざるを得ないと。そう望まれる私は、以前よりは幸せなのかもしれません」
「違うだろ!貴女に国政をやらせようとしているだけだ‼︎」
…ある意味有り難く。そして、相変わらず此方の話を聞かないのですね…。
いや、声は勿論顔にも出しませんが。
今のアルフォート殿下は、私をとても愛されてらっしゃると思いますよ。何しろ前世からの恋人同士。運命的な転生者の2人が悲恋に終わるなんて、この世界の神がそれ程捻くれているとは思いませんし。
…転生時にも会った事無いですけど。
あのゲーム世界の神は創世母神ボルグァイナ。
世界と、あらゆる生きとし生ける者を産み出したと言われた女神で、ゲーム画面では白き乙女と呼べる衣装の、慈愛の笑みを浮かべる神秘的な女性神だったけど。
私自身回復呪文が使えますし、聖職者もいて教会もある世界。多分、何処かで世界の行末を見守って下さってるのでしょう。
何故、私と祐介を転生させたのか?
これは絶対、女神の意思の筈。
只の気紛れかもしれませんが…。
「ジュスラン。向こうが、恥を晒してまで彼女の帰国を願うてきたのだ。そして我が国はそれに応えた。この意味、わかるな」
「ですが、それは彼女の意思では」
「其方、国の信が個人の意より軽いと思うてか?」
「そ、その様な事は…」
「ジュスラン殿下。色々とありがとうございました。此度の帰国は、決して無理強いされて決めた…訳ではございませんから。少なくとも私は納得はしております。それに、元であり、今更の感はあっても、婚約者として求められている事、嬉しく思うのも事実なので」
「嬉しく思う?そうなのか」
「不思議です。婚約破棄を宣言され愛想も尽きた筈でしたのに」
恋心が再燃。
実はそこまで気持ちが動いた訳じゃ無い。
でも、前世では目を離せない、世話焼きが苦にならない幼馴染。現世では婚約者として数年過ごして来た相手だ。
どうしても心底憎めない。
嫌いになれない。
ヨリを戻せる自信もあまり無いのだけど。
婚約者としての義務感だけで側にいる。断言してしまうのはやっぱり嘘って、心の何処かで何かが否定するのよ。
謀殺されるかもしれないけど。
そのフラグを必死に折っていた筈なんだけど。
こうなると残念ながら正ヒロインと全面対決せざるを得ない。
勝って得られるのが、王太子の寵愛なのが、イマイチ腑に落ちないのだけど。
「父上、すみません。やはり承服しかねます。マーガレット嬢。私も共に行く。アルフォート王子から奪い取りたいのだ」
は?
何を言い出すの?
それに、あのカタリナ嬢はどう動くかしら?
もう、丸く収める気無いの?
って、陛下?王妃殿下も、ジュスラン殿下を止めてよ⁉︎
その諦め切った表情!早くない?
「殿下?それは」
「悪いけど聞けない。私は共に行くよ、マーガレット嬢」
謀殺フラグは解消出来そうだけど。
コレ、どうすればいいの?
「いえ、私はまだ納得…、承服しておりません」
カナック国王ジェスター7世陛下に、ウィルバーム王国クレイン王家よりの親書の事を聞かされ、祖国が改めて私を求め、帰国を強く願っている事を知った直後、共に居たステラ王妃は、流石にやむを得ないという表情を見せたのだけど。
座を立ったジュスラン殿下は私の元へ来ると、しっかり肩を掴んできて。
「承服しかねます。そもそも彼女の本意でも無い。やっと、やっと巡り会えた女だと言うのに」
お気持ち、とても嬉しいです、殿下。
それに、掴まれた肩から…伝わってきます。
知り合って間もないのに…、私は、愛されてるって思っていいんですよね?
「お気持ちは嬉しく思います、ジュスラン殿下。ですが、流石に帰らざるを得ないと。そう望まれる私は、以前よりは幸せなのかもしれません」
「違うだろ!貴女に国政をやらせようとしているだけだ‼︎」
…ある意味有り難く。そして、相変わらず此方の話を聞かないのですね…。
いや、声は勿論顔にも出しませんが。
今のアルフォート殿下は、私をとても愛されてらっしゃると思いますよ。何しろ前世からの恋人同士。運命的な転生者の2人が悲恋に終わるなんて、この世界の神がそれ程捻くれているとは思いませんし。
…転生時にも会った事無いですけど。
あのゲーム世界の神は創世母神ボルグァイナ。
世界と、あらゆる生きとし生ける者を産み出したと言われた女神で、ゲーム画面では白き乙女と呼べる衣装の、慈愛の笑みを浮かべる神秘的な女性神だったけど。
私自身回復呪文が使えますし、聖職者もいて教会もある世界。多分、何処かで世界の行末を見守って下さってるのでしょう。
何故、私と祐介を転生させたのか?
これは絶対、女神の意思の筈。
只の気紛れかもしれませんが…。
「ジュスラン。向こうが、恥を晒してまで彼女の帰国を願うてきたのだ。そして我が国はそれに応えた。この意味、わかるな」
「ですが、それは彼女の意思では」
「其方、国の信が個人の意より軽いと思うてか?」
「そ、その様な事は…」
「ジュスラン殿下。色々とありがとうございました。此度の帰国は、決して無理強いされて決めた…訳ではございませんから。少なくとも私は納得はしております。それに、元であり、今更の感はあっても、婚約者として求められている事、嬉しく思うのも事実なので」
「嬉しく思う?そうなのか」
「不思議です。婚約破棄を宣言され愛想も尽きた筈でしたのに」
恋心が再燃。
実はそこまで気持ちが動いた訳じゃ無い。
でも、前世では目を離せない、世話焼きが苦にならない幼馴染。現世では婚約者として数年過ごして来た相手だ。
どうしても心底憎めない。
嫌いになれない。
ヨリを戻せる自信もあまり無いのだけど。
婚約者としての義務感だけで側にいる。断言してしまうのはやっぱり嘘って、心の何処かで何かが否定するのよ。
謀殺されるかもしれないけど。
そのフラグを必死に折っていた筈なんだけど。
こうなると残念ながら正ヒロインと全面対決せざるを得ない。
勝って得られるのが、王太子の寵愛なのが、イマイチ腑に落ちないのだけど。
「父上、すみません。やはり承服しかねます。マーガレット嬢。私も共に行く。アルフォート王子から奪い取りたいのだ」
は?
何を言い出すの?
それに、あのカタリナ嬢はどう動くかしら?
もう、丸く収める気無いの?
って、陛下?王妃殿下も、ジュスラン殿下を止めてよ⁉︎
その諦め切った表情!早くない?
「殿下?それは」
「悪いけど聞けない。私は共に行くよ、マーガレット嬢」
謀殺フラグは解消出来そうだけど。
コレ、どうすればいいの?
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