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25. 敵の敵は味方
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2国の王太子による令嬢の奪い合い。
話として聞けば、下手な芝居よりも笑えるモノだと思うの。
当事者の令嬢でなければ…。
事もあろうに、ジュスラン殿下は自身が隣国ウィルバーム王国へ赴き、バルター公爵令嬢をかけて、隣国王太子アルフォート=クレインと勝負すると宣言してしまった。
カナック国王ジェスター7世陛下の「すまんなぁ」という諦め切った上で、面白がっている様にも見えた笑みを、私は生涯忘れないと思う。
ふざけんなよ!どいつもこいつも‼︎
いや、公爵令嬢だから声は勿論、顔にも出しませんけど。
「モテモテですわね、お嬢様」
リサ?貴女も他人事?
「もう、開き直って愉しむしか有りませんもの」
ある意味、否定出来ないのが腹ただしいわ。
一方その頃…。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆☆★☆★☆★☆
「私に話とは?」
「貴女が…。そもそも貴女があの女を亡き者にしていれば!」
「それは御無理と言うモノ。国外に出て行ってもらえば御の字なのですから。それに、それを言うならば貴女こそ王太子殿下を射止めておれば済んだ事では」
「な、男爵令嬢如きが」
「現状、公爵令嬢とは言え貴女に敬意を表する必要があるとは思えませんが」
どの様な伝手が有ったのか?
私に接触を求めて来たのはカタリナ=バーグマン。カナック王国の公爵令嬢で、ジュスラン王太子の婚約者最有力候補だったと聞くわ。
呼び出しに応じ、近衛魔導師団の者の移動呪文で国境付近の街テラスへ来てみると、彼女も同様の手段で先に到着していた。
「まぁ、いいわ。貴女の手は何処迄届くの?傭兵か冒険者で、貴女の手は如何程持てるのかしら?」
「そこそこは。とは言え、マーガレットをどうにか出来る程の手を持てるかとなると、残念ながら確信出来る訳では有りません」
「そう。流石に筆頭公爵家の令嬢相手は厳しいと言う訳?」
「それもですが、元々マーガレット自身が冒険者としてもソコソコ出来るのです。その上、共に居る騎士カールは近衛騎士団長とも互角に戦える腕だそうですし、リサは元ランクB魔導師冒険者。傭兵なら1部隊はいるでしょうし、冒険者だとランクA位の者を雇わねば。財力は問題無いにしても、このクラスになると簡単に此方の口車には乗ってくれません。それはご納得戴けますわね」
出て行くのならば。
そう言って静観したのは、この実力差によるのよ。『魅了』の力で動く程度の者の手では彼女達をどうこう出来得る筈も無く。合法的に居なくなってくれるのに、此方が危ない橋を敢えて渡るなんて愚か者のする事。
「は?公爵令嬢が冒険者の真似事が出来ると言う訳?」
「あの様相は変装する為だけでは無いのですよ。彼女は野宿すら実践済ですわ」
カタリナが目を剥くのもわかる。
私も最初聞いた時に、報告者の正気を疑った。公爵令嬢が冒険者の真似事等、何の戯言かと。
だがマーガレットは野宿すら苦にする事も無い程アウトドアに慣れていて、虫や蛇も苦手としていなかったのよ。
「何なのよ!あの女は‼︎」
それから罵詈雑言のオンパレード。
ひとしきり悪様に罵った後で。
「まぁいいわ。では此方の手のモノを使って亡き者にしてあげるわ」
共通の敵を持つ身だから。
貴女さえ居なくなれば…。
覚悟なさい!マーガレット=バルター‼︎
話として聞けば、下手な芝居よりも笑えるモノだと思うの。
当事者の令嬢でなければ…。
事もあろうに、ジュスラン殿下は自身が隣国ウィルバーム王国へ赴き、バルター公爵令嬢をかけて、隣国王太子アルフォート=クレインと勝負すると宣言してしまった。
カナック国王ジェスター7世陛下の「すまんなぁ」という諦め切った上で、面白がっている様にも見えた笑みを、私は生涯忘れないと思う。
ふざけんなよ!どいつもこいつも‼︎
いや、公爵令嬢だから声は勿論、顔にも出しませんけど。
「モテモテですわね、お嬢様」
リサ?貴女も他人事?
「もう、開き直って愉しむしか有りませんもの」
ある意味、否定出来ないのが腹ただしいわ。
一方その頃…。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆☆★☆★☆★☆
「私に話とは?」
「貴女が…。そもそも貴女があの女を亡き者にしていれば!」
「それは御無理と言うモノ。国外に出て行ってもらえば御の字なのですから。それに、それを言うならば貴女こそ王太子殿下を射止めておれば済んだ事では」
「な、男爵令嬢如きが」
「現状、公爵令嬢とは言え貴女に敬意を表する必要があるとは思えませんが」
どの様な伝手が有ったのか?
私に接触を求めて来たのはカタリナ=バーグマン。カナック王国の公爵令嬢で、ジュスラン王太子の婚約者最有力候補だったと聞くわ。
呼び出しに応じ、近衛魔導師団の者の移動呪文で国境付近の街テラスへ来てみると、彼女も同様の手段で先に到着していた。
「まぁ、いいわ。貴女の手は何処迄届くの?傭兵か冒険者で、貴女の手は如何程持てるのかしら?」
「そこそこは。とは言え、マーガレットをどうにか出来る程の手を持てるかとなると、残念ながら確信出来る訳では有りません」
「そう。流石に筆頭公爵家の令嬢相手は厳しいと言う訳?」
「それもですが、元々マーガレット自身が冒険者としてもソコソコ出来るのです。その上、共に居る騎士カールは近衛騎士団長とも互角に戦える腕だそうですし、リサは元ランクB魔導師冒険者。傭兵なら1部隊はいるでしょうし、冒険者だとランクA位の者を雇わねば。財力は問題無いにしても、このクラスになると簡単に此方の口車には乗ってくれません。それはご納得戴けますわね」
出て行くのならば。
そう言って静観したのは、この実力差によるのよ。『魅了』の力で動く程度の者の手では彼女達をどうこう出来得る筈も無く。合法的に居なくなってくれるのに、此方が危ない橋を敢えて渡るなんて愚か者のする事。
「は?公爵令嬢が冒険者の真似事が出来ると言う訳?」
「あの様相は変装する為だけでは無いのですよ。彼女は野宿すら実践済ですわ」
カタリナが目を剥くのもわかる。
私も最初聞いた時に、報告者の正気を疑った。公爵令嬢が冒険者の真似事等、何の戯言かと。
だがマーガレットは野宿すら苦にする事も無い程アウトドアに慣れていて、虫や蛇も苦手としていなかったのよ。
「何なのよ!あの女は‼︎」
それから罵詈雑言のオンパレード。
ひとしきり悪様に罵った後で。
「まぁいいわ。では此方の手のモノを使って亡き者にしてあげるわ」
共通の敵を持つ身だから。
貴女さえ居なくなれば…。
覚悟なさい!マーガレット=バルター‼︎
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