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女神による魔法の説明

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 ようやく自分がいる場所を理解した冨岡。
 この女神様(仮)が本当に女神様なのであればここはアーシという星のエクスルージュという国のクルスマインという街。
 信じるか信じないかよりも、ここまできて疑ってもあまり意味はない。明日にでも本当かどうか確認すればいいだけである。

「アーシってめちゃめちゃアースに似てますね」

 話を聞いた冨岡がそう零すと女神様(仮)の声は少し面倒そうに答えた。

「仕方ないじゃない。どんな世界を作ろうとも同じような文明が生まれるものよ。似たような名前になっても不思議じゃないでしょ? 受け付けているのは質問だけ、文句は対象外なの。他に質問はある?」
「えーっと、じゃあこの世界にある魔法についてを」

 冨岡がそう続けると女神様(仮)は面倒そうにため息をついてから話をする。

「魔法についてかぁ。元から存在しているものを説明するのは難しくない?」
「えぇ・・・・・・確かにそうですが女神様なんですよね?」
「いいえ、美しすぎる大天使ゴット女神様ですが」
「めんどくさいな! 魔法について教えてくださいよ!」

 女神様(仮)の軽薄な言葉で冨岡は緊張も敬意も失いつつあった。
 どうやら女神様(仮)の方も砕けた態度の方が良かったようで気にせずに話を進める。

「だって魔法は魔法だもの。魔力と魔法式を掛け合わせて発動するものよ。けれど異世界人であるあなたには魔法を使うことはできないわ。魔力を持っていないのだから当然よね。後天的に魔力を得る方法はないわ」

 自分が魔法を使えないことがわかると冨岡は少し残念そうにするが、元々使えなかったものだ。一瞬で立ち直り女神様(仮)に話しかける。

「そっか、分かりました。えっと俺がこの世界にいることや何かをすることは女神様にとって何か不都合ですか?」
「うーん、デメリットもメリットもあるって感じよね。ただ面白いからある程度のことは認めるわよ。悪意を持って世界を滅ぼそうとしない限りこの美しすぎる大天使ゴット女神様は干渉しないわ」

 女神様(仮)の言葉を聞くと冨岡は安心した。これから先も自分はこの世界を滅ぼそうなんて思わないだろう。実質何をするのも自由だということだ。

「だったら大丈夫ですね。来たばかりですが俺はこの世界を気に入っているんです。滅ぼすようなことはしませんよ」
「気に入っているのはこの世界かしら、あのアメリアって子かしら。とにかく嘘をついていないみたいだから信じてあげるわ。それにあなたが持ち込む物にも興味があるしね。一つ条件をつけるとするならあなたが異世界人であることは誰にも話してはダメよ。いい?」

 そう言われた冨岡は頷く。

「わ、分かりました」

 元々自分の素性を全て話すつもりはなかったため問題はない。
 冨岡の答えを聞いた女神様(仮)はこう続ける。

「教えられることはそれくらいね。あなたには彼とは違う物語を描いてもらいたいものね。それじゃあ、お別れよ。バイバーイ」

 驚くほど軽い挨拶をすると女神様(仮)の声は一切聞こえなくなった。
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