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資金調達
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市場には様々な食品を扱う店が並んでおり、冨岡も昨日軽く目を通していた。
その時にも感じていたことだが、手の込んだものというよりも焼いただけのものや素材そのままのものが多い。
プチワイバーンの串焼きも肉を串に刺して塩で味をつけたものだ。
市場調査という目的があるため冨岡はフィーネに売っているものの詳細を聞きながら歩いていく。
「フィーネちゃん、あれが何かわかるかい?」
「えっとね、果物だよ。オレンディアっていうの。手で皮を剥いて中身を食べるんだ。フィーネも食べたことあるよ」
冨岡たちが話題にしているのは蜜柑のような果実だった。屋台で木箱のまま売られているオレンディアを眺めながらこちらの世界について考察する。
どうやら植物については元の世界とそれほど違いがないらしい。林檎やバナナのような果実も確認された。
果物を使用した料理ならばこちらの世界でも用意できるだろう。
他にも生肉を販売している店や魚を取り扱っている店もあり、ある程度の食材は揃っていることがわかった。しかし、料理に関してはそのまま焼いたものや野菜をごちゃ混ぜにしたスープのようなものが多く、現代料理とは比べ物にならないだろう。
「やっぱり、手の込んだ料理なら売れそうだな。あとは値段次第・・・・・・向こうの世界で食材を購入して売ったとしても資金が尽きることはないけれどアメリアさんの収入にするためにはしっかり利益にならないと意味がない。銀貨が千円くらいなら銀貨一枚で二つ買えるくらいにしておけばいいかな」
冨岡が考え込んでいるとフィーネが首を傾げた。
「どうしたの、トミオカさん。何か困ってる?」
「ん? ううん、なんでもないよ。それよりも何か食べてみようか。朝ごはんの後だけど食べられそうかな?」
「うん! フィーネ食べられるよ」
フィーネの言葉を聞いた冨岡は周囲を見渡して何かを探す。
探しているのは貴金属を取り扱うような店だ。
今の冨岡はこの世界の通貨を持っていない。一旦、金の指輪を売り当面のお金を作ろうとしているのである。
だが、冨岡にはこちらの世界の文字が読めずどの店がどんな店なのか分からない。
冨岡がキョロキョロと見回していることに気づいたフィーネが優しく問いかける。
「何か探してる?」
「あー、うん。貴金属・・・・・・えっと指輪を買い取ってくれそうなお店を探してるんだ。流石に知らないよね」
「フィーネ、知ってるよ」
「え、本当かい?」
「うん、一度先生と行ったことがあるんだ。どうしてもお金がない時に先生が持ってたものを売りに行ったんだよ」
そう言いながらフィーネは冨岡の手を引いた。
冨岡はアメリアが自分の身だけでなく所有物まで犠牲にしてフィーネを守り続けてきたのだろうと知り、支えたいという気持ちが強くなる。
フィーネに連れられて市場を歩いていくと古い煉瓦造りの店にたどり着いた。
「ここだよ」
その時にも感じていたことだが、手の込んだものというよりも焼いただけのものや素材そのままのものが多い。
プチワイバーンの串焼きも肉を串に刺して塩で味をつけたものだ。
市場調査という目的があるため冨岡はフィーネに売っているものの詳細を聞きながら歩いていく。
「フィーネちゃん、あれが何かわかるかい?」
「えっとね、果物だよ。オレンディアっていうの。手で皮を剥いて中身を食べるんだ。フィーネも食べたことあるよ」
冨岡たちが話題にしているのは蜜柑のような果実だった。屋台で木箱のまま売られているオレンディアを眺めながらこちらの世界について考察する。
どうやら植物については元の世界とそれほど違いがないらしい。林檎やバナナのような果実も確認された。
果物を使用した料理ならばこちらの世界でも用意できるだろう。
他にも生肉を販売している店や魚を取り扱っている店もあり、ある程度の食材は揃っていることがわかった。しかし、料理に関してはそのまま焼いたものや野菜をごちゃ混ぜにしたスープのようなものが多く、現代料理とは比べ物にならないだろう。
「やっぱり、手の込んだ料理なら売れそうだな。あとは値段次第・・・・・・向こうの世界で食材を購入して売ったとしても資金が尽きることはないけれどアメリアさんの収入にするためにはしっかり利益にならないと意味がない。銀貨が千円くらいなら銀貨一枚で二つ買えるくらいにしておけばいいかな」
冨岡が考え込んでいるとフィーネが首を傾げた。
「どうしたの、トミオカさん。何か困ってる?」
「ん? ううん、なんでもないよ。それよりも何か食べてみようか。朝ごはんの後だけど食べられそうかな?」
「うん! フィーネ食べられるよ」
フィーネの言葉を聞いた冨岡は周囲を見渡して何かを探す。
探しているのは貴金属を取り扱うような店だ。
今の冨岡はこの世界の通貨を持っていない。一旦、金の指輪を売り当面のお金を作ろうとしているのである。
だが、冨岡にはこちらの世界の文字が読めずどの店がどんな店なのか分からない。
冨岡がキョロキョロと見回していることに気づいたフィーネが優しく問いかける。
「何か探してる?」
「あー、うん。貴金属・・・・・・えっと指輪を買い取ってくれそうなお店を探してるんだ。流石に知らないよね」
「フィーネ、知ってるよ」
「え、本当かい?」
「うん、一度先生と行ったことがあるんだ。どうしてもお金がない時に先生が持ってたものを売りに行ったんだよ」
そう言いながらフィーネは冨岡の手を引いた。
冨岡はアメリアが自分の身だけでなく所有物まで犠牲にしてフィーネを守り続けてきたのだろうと知り、支えたいという気持ちが強くなる。
フィーネに連れられて市場を歩いていくと古い煉瓦造りの店にたどり着いた。
「ここだよ」
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