上 下
163 / 479

豪華な料理とは

しおりを挟む
 何とか話を合わせる冨岡に、そう優しく説明するアメリア。
 彼女の言葉に違和感を覚えた冨岡は「ん?」と首を傾げる。

「あれ、今『昨夜驚いた』って言いましたよね? もう驚いていないってことですか?」
「いえ、まだ驚いてはいますけど、それよりも・・・・・・その話は夕食の時にでもしませんか? 少し長くなるので、フィーネの勉強も進みませんしね」

 アメリアに言われ、冨岡も夕食の準備がそれほど進んでいないことに気づいた。話に夢中になってしまうと、いつまで経っても空腹のままである。

「そうですね」

 話の続きが気になる気持ちを抑えて、冨岡は料理に戻った。
 一旦、アメリアとフィーネを労う料理に集中する。フィーネのリクエストは『美味しいもの』だ。それに対して冨岡は『豪華な料理』にしようと答えた。
 冨岡にとって『豪華な料理』とは何だろうか、と考えた結果、誕生日などに自分が食べてきた料理に辿り着く。
 今夜のメニューはグラタン、唐揚げ、チャーハン。どれも冨岡の大好物だ。
 祖父、源次郎が誕生日に作ってくれた料理でもある。
 先ほど冨岡が切っていた玉ねぎはグラタンに入れる用だった。

「玉ねぎのくし切りはこれでいいかな。あとは鶏肉か」

 玉ねぎを切り終えた冨岡は続いて、鶏肉の下処理に入る。それと同時に鍋に水を張り、火にかけた。

「鶏肉はグラタンにも唐揚げにも使うから、切り方は二種類だな」

 グラタン用の鶏肉は食べやすいように細かく、唐揚げは一口大に切る。グラタン用の鶏肉は直ぐにフライパンで炒めて、色が白に変わってきたところで玉ねぎを投入。塩胡椒で味付けをして、しばらく炒める。
 具材を先に炒めておくことで、中が生焼けになることを防ぐのだ。
 それと同時に先ほど鍋に貼った水が沸騰する。そこにマカロニと塩ひとつまみを入れて軽くかき混ぜた。
 グラタン用の具材はほとんどこれで完成。時間の都合上、ホワイトソースは既製品のものを使う。

「フライパンの火を止めてから、次は唐揚げの味付けだ。ちょっとだけ漬け込みたいから、揚げるのはグラタンをオーブンで焼いてからかな」

 一口大に切った鶏肉をボウルに入れ、すりおろしにんにく小さじ一杯、すりおろし生姜小さじ一杯、塩胡椒少々、醤油と酒を大さじ一杯入れて保存用ラップをかけた。
 そのタイングでマカロニが茹で上がったので、一度グラタンの調理に戻る。

「まずはマカロニを敷いて、ホワイトソースを半分かける。その上に炒めた玉ねぎと鶏肉を並べて、残りのホワイトソースをかけたらチーズを多めに・・・・・・よし、あとはオーブンで焼けば完成だ」

 耐熱用の大きなグラタン皿に材料を集結させたところで、予熱していたオーブンに投入。あとは様子を見ながら焼いていくだけだ。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

言いたいことはそれだけですか。では始めましょう

恋愛 / 完結 24h.ポイント:4,423pt お気に入り:3,570

「お前の席ねーから」とパーティーを追放された俺、幼い聖女の守護騎士になる

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:877

1年後に離縁してほしいと言った旦那さまが離してくれません

恋愛 / 完結 24h.ポイント:4,487pt お気に入り:3,767

【完結】愛されない令嬢は全てを諦めた

恋愛 / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:348

マジックアイテム「すま~ほ」異世界だって稼ぎます!

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:235pt お気に入り:1

朝起きたら、ギルドが崩壊してたんですけど?――捨てられギルドの再建物語

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:655

処理中です...