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新しい子

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 一体ルネッサが何の目的で訪れたのか。そうであっては欲しくないと思いながらも、冨岡は邪推してしまう。
 手前味噌ながら移動販売『ピース』は好調だ。もちろん利益も大きい。もしかするとアメリアに集りに来たのかもしれない、と彼女を想うあまり警戒する冨岡。
 そんな冨岡の表情からある程度察知したのか、アメリアは首を横に振る。

「あ、決して良くない話ではありませんよ。今のルネッサは移った施設から十分な給金を得ていますし。経営状態が悪くない教会や養護施設は意外と給金が良いんです」

 冨岡はルネッサのことを何も知らずに警戒してしまい、申し訳なさそうに頭を下げた。

「その、すみません」
「いえ、ルネッサのことを知らなければ警戒するのは当然です。それほど移動販売『ピース』は話題になっていますし、収益を得ていますからね。トミオカさんが状況を精査する目を持っていてくれることは、私たちにとって必要なことだと思います」
「それでもルネッサさんに失礼でした。タイミングがタイミングだっただけに・・・・・・」

 自分の非を認める冨岡に対して、アメリアは食い気味に言葉を続ける。

「トミオカさんがそう思うのも無理ありませんよ。目的はトミオカさんの想像とは違うんですけど、このタイミングだったのは移動販売『ピース』の評判を聞いたからだったので」

 つまり、この教会もしくはアメリアがそれなりのお金を得たと聞きつけてルネッサは訪ねてきた。
 それを聞いた冨岡は先ほどより目的が気になってくる。
 
「えっと、それじゃあルネッサさんは何のためにアメリアさんを訪ねて来たんですか?」
「それが・・・・・・新しい子をこちらで引き取れないか、という話だったんです」
「新しい子? うーんと、この教会でフィーネちゃん以外の子を育ててほしいってことですよね?」

 念の為に冨岡が聞き返し確認をするとアメリアは説明を続けた。
 そもそもルネッサはこの街の施設ではなく、平原を半日ほど西に進んだビオラールという街で商人が運営する養護施設で働いているという。
 その街には養護施設に類する施設が一つしかなく、常に子どもで溢れかえっているらしい。その上でどうしても受け入れられない場合には、他の街の施設に請け負ってもらっている。
 今回も人数の都合上どうしても受け入れられなかったのだと、アメリアは言葉を続けた。

「ちょうどその時、移動販売『ピース』がこの教会のものだと知り、元職員だったルネッサが交渉に来たんです」

 アメリアの話を聞いた冨岡はなるほど、と頷く。

「それで、アメリアさんはどのように答えたんですか?」
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