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雇用は冒険者ギルドで

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「人を雇うのって難しいですね。いや、雇うどころか探す段階で迷子です」

 職業紹介所でもあればいいの、と冨岡はため息をつく。
 もしもここがファンタジーゲームの中ならば、ギルドや酒場で仲間を集めるところだ。受付のお姉さんに話しかけ『仲間を雇う』というコマンドを選べばすぐに紹介してくれる。やれやれ、そんな便利な世界であればいいのに。
 ああ、ここがファンタジーな世界だったらいいのにな。

「って、ここはファンタジーな世界じゃん!」

 自分の思考に自分でツッコミを入れ叫ぶ冨岡。
 あまりに突然すぎたため、アメリアはビクッと体を揺らした。

「ど、どうしたんですか、トミオカさん。ファンタジーな世界?」

 アメリアが問いかけると冨岡は首を横に振る。

「いえ、こっちの話です。あ、話は変わりますけど・・・・・・うん? 変わらないのかな。話は変わらないんですけど」
「そんな話の始め方は聞いたことないです」
「聞きたいことがあって、この街にギルドなんてありませんか?」

 呼び方は違うかもしれないが、一番可能性が高いと思う『キルド』という名称で尋ねた。
 ギルドとはファンタジーなゲームや小説、漫画やアニメにおいて冒険者が所属する組合のようなものである。冨岡の雑な知識で『仕事を依頼し、冒険者が請け負う』というシステムを思い出したのだ。
 一か八かのつもりだった冨岡の問いかけに対し、アメリアは目玉焼きの作り方でも聞かれたような表情で答える。

「えっと、冒険者ギルドの話ですよね。それは当然ありますよ。あまりにも小さい村でなければほとんどの街にありますよね? トミオカさんの国ではそうじゃないんですか?」

 どこの街にも冒険者ギルドが存在していることは常識らしい。どこまでもわかりやすいファンタジー世界だな、と冨岡は苦笑した。

「あ、いや、呼び方が違うのかなーって思っただけです」

 何とか誤魔化してみる。
 するとアメリアは「そっか、そうですよね」と納得し、話の続きを聞くために冨岡の顔を眺めた。
 可愛らしい視線を受けた冨岡は言葉を続ける。

「なるほど、この街では冒険者ギルドって呼ぶんですね。じゃあ、その冒険者ギルドで仕事を依頼することは可能ですか?」
「もちろん可能です。冒険者さんは依頼を受けて魔物を退治したり、護衛をしたり、素材を採取したり。それによって収入を得ていますからね・・・・・・ってまさか」
「冒険者の方を雇いましょう!」

 それはあまりに突飛なアイデアだったらしく、アメリアは反応に困り「うええ?」と聞いたことのない言葉を漏らした。
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