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公爵の救い方

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「それで事態が終息するとは言い切れません。旦那様の想定よりも、状況は荒れていますから。しかし、旦那様は国王様への謁見さえ通れば、とお考えのはずです」

 冨岡の問いに答えるダルク。
 ここで新たな疑問が浮上した。

「そもそも、こうなる前に国王様への謁見は出来なかったんですか? いや、公爵様がそうしなかったということは、出来なかったんでしょうけど・・・・・・他の貴族たちが動いてからの謁見じゃなければいけない理由があるんですね?」
「すみません、私もそれほど詳しい話は聞かされておらず・・・・・・ですが、旦那様には何かお考えがあったのではないか、と」

 ダルクの言葉を聞いた冨岡は、まだ自分が全ての状況を理解できていないのだと受け止める。
 わからないことはあまりにも多い。
 しかし、これからすべきことはわかった。

「ともかく、どうにかして公爵様が国王様への謁見を行えるようにする。まずはそこからってことですね」

 冨岡が言うとダルクは表情を曇らせながら頷く。

「確かにそうです。しかし、今の旦那様が国王様と謁見できるかどうか・・・・・・何しろ国家反逆罪に問われておりますので」
「こ、国家反逆罪!?」

 想像していた以上の重い罪に、冨岡は驚いた。
 国家反逆罪は、どの時代のどの国でも重罪である。もっとも重い罪と言ってもいい。
 ここまでダルクから話を聞いていた冨岡は、キュルケース公爵に着せられた罪を『とりあえず出頭させることが目的である微罪』だと思い込んでいた。
 事実との差に目眩すら覚える。

「国家反逆罪って、そんな・・・・・・いや、公爵様の行動は階級制度を脅かす、と他の貴族たちが考えているのなら、国家反逆罪につなげてもおかしくはないですね。本当に手段を選ばない方法だ。それだけの重罪なら、国王様に合わせるわけにはいかない・・・・・・そういうことですね」

 思考をまとめ、冨岡はダルクに問いかけた。
 無言で頷くダルクの表情は、何もできない自分を責め立てているようにも見える。
 大雑把にではあるが、ある程度事態の流れは把握できた冨岡。
 これから先は、より正確な情報が必要だ。その情報を基に、キュルケース公爵が国王への謁見を行えるよう、動く。今の冨岡に思いつくのはそれくらいだった。
 冨岡は鼻から思い切り息を吸い込むと、ソファから立ち上がり、ダルクとローズに頭を上げる。

「こんな時に色々聞かせてくれてありがとうございます。まだ何ができるかはわかりませんが、俺は俺にできることをしてみます」
「トミー・・・・・・」

 ローズは冨岡のつむじに向けて、存外そうな表情を浮かべた。
 同時にダルクも、薄く口を開いて驚いている。

「トミオカ様・・・・・・相手はこの国の貴族。一人や二人ではなく、ほとんどの貴族ですよ。公爵家を潰すために手段を選ばない権力者たちが、相手なんです。目をつけられれば・・・・・・」
「相手が誰かなんて関係ありませんよ。公爵様が俺の目的のために動いてくれたように、俺も・・・・・・俺がそうしたいから動くんです。それにアメリアさんが言ってくれたんですよ。この国で学園が作れないなら他国でもいいって。誰に目をつけられても関係ありませんよ」
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